社会貢献をしているアスリートを表彰し、応援し、その活動をしっかりと伝えていく

HEROs AWARDで活動を称え、HEROs ACADEMYで人材を育成し、HEROs ACTIONで社会貢献活動を実践する。社会のために活動するアスリートを応援するHEROsの出発点は、シンプルな思いだった。

「いいことをしている人を、ちゃんと評価して讃えたい。それがHEROsのスタート地点です。日本では、チャリティやボランティアに対して、どこか“偽善的”と見る人たちがいて、そのせいでせっかく素晴らしい活動をしているのに、それを表立って言わない人がいる。でもそれでは活動も広がらないし、世の中も変わっていかない。そんな話を中田英寿さんから聞いて、それなら日本でもそういった活動を評価する仕組みをつくろうよと。HEROsでは、社会貢献をしているアスリートを表彰し、応援し、その活動をしっかりと伝えていく。そうすれば、きっと彼らの思いに賛同する人たちも増えてくるはず。チャリティやボランティアに対する無意味な偏見をなくしていきたいと思っています」(笹川順平 日本財団常務理事)

HEROs AWARDの審査員でもある笹川常務理事は、アスリートたちのさまざまな社会貢献活動を目の当たりにして、その大きな力を感じているという。

「やっぱりアスリートはすごいなというのが率直な思いです。社会貢献をし続けるには途方もない精神力と体力が必要。大きな目標をたてて、それをクリアしてきたアスリートはそれらをすでに持っています。しかもトップレベルで活躍してきた方々は、スタジアムや競技会場で多くの声援を浴び、そこから力を与えられた経験を持っている。そうやって自分がもらったパワーに対して恩返ししたいという思い、責任感が強い。彼らは、存在そのものがまさにヒーローでありヒロイン。発信力も説得力が桁違い。アスリートにとって社会貢献は“天職”だと思っています」

HEROsが社会貢献活動を行うためのハブになれればいい

今年で3年目を迎えたHEROs AWARD。ここから生み出される“うねり”に、笹川常務理事は大きな手応えを感じているようだ。

「1年目は参加アスリートが約30人くらいでした。それが3回目にして100名を超える方からパーティに参加したいと言ってもらえるようになりました。パーティが単なる表彰式ではなく、交流の場になっているのがうれしいですね。みんなここに来て、競技や年齢の枠をとっぱらった“横串”の関係を築いている。社会貢献という同じ志を持って集まっているから、仲良くなるのも早いんでしょうね。最初バラバラだったものが横串で繋がり、さらに太くなってきている。今年からはさまざまな形で協賛してくださる企業も増えてきました。利益、メリットではなく気持ちでネットワークがひろがり、つながり、当初は予想もしなかったような動きがどんどん広がっている。そんな変化を日々実感しています」

HEROsの目的は、ビジネスでも売名でもない。「世の中をいい方向に変えていくきっかけづくりをしたいだけ」と笹川理事は語る。

「最終的には、ここが社会貢献活動を行うためのハブになれればいいなと思っています。プロもアマも問わない。アスリートという枠も、日本人という枠も、いつかはなくなっていいと思っています。誰かのために何かをしたいという思いのある人がいれば、できるだけ協力していきたい。今回の受賞者のひとり、巻誠一郎さんが、『ヒーローは決して一人じゃない。だれもがヒーローになりうる』と言っていましたが、まさにそのとおりだと思います。HEROsはあくまでもエンジンに火をつける点火役。そのエンジンを動かし続けるための資金や人脈が必要ならば、どんどん僕らに声をかけてほしいと思っています」

パワーとスピード、そしてカリスマを持つアスリートたちが本気で動き出している。HEROsはこれから日本を、世の中を変える大きな動きをつくっていくだろう。

【HEROs AWARD 2019】日本障がい者サッカー連盟が「HEROs of the year」を獲得!北澤豪会長が目指す“ひとつのサッカー”

12月9日、都内で開催された「HEROs AWARD 2019」。スポーツを通して社会貢献活動を行う個人、団体を表彰するこの賞で最も優れた社会貢献活動者に送られる「HEROs of the year」を獲得したのは、元サッカー日本代表の北澤豪さんが会長をつとめる「一般社団法人日本障がい者サッカー連盟」(JIFF)。北澤会長は、「どんな人がやってもサッカーはサッカー」とその活動に対する思いを語った。

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川上康介