ウ・ホウトウ(于鳳桐)について
名前 | ウ・ホウトウ(于鳳桐) |
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生年月日 | 1984年12月15日 |
国 | 中国 |
出身 | 中国黒龍江省伊春 |
プロフィール | 7歳でスピードスケートを始める。2002年ソルトレークシティ五輪男子500メートルと1000メートルに出場。2003〜2004年シーズンと2004〜2005年シーズンにW杯100メートルで2年連続総合優勝。2005〜2006年シーズンW杯500メートル総合10位。2006年トリノ五輪500メートル5位、1000メートル34位。2006〜2007年シーズンW杯100メートルで総合5位、500メートルで総合7位。2008〜2009年シーズンW杯500メートルで総合優勝、100メートルで総合2位。2010年バンクーバー五輪500メートル7位。
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中国の若き星は距離克服が課題に
ウ・ホウトウ(于鳳桐)が生まれ育ったのは中国の黒龍江省という街。「氷の街」と称されるハルビンから近いこの街もまた、1月の平均気温はマイナス22.5℃と極寒の地。そのためウインタースポーツが盛んで、特にスケートが最も普及しているスポーツ。
ウも7歳になるとスケートを始めますが、日本のスケート教室とは異なり、ウは最初からスピードスケートの選手としてスケートを開始。まさにスピードスケートのために生まれ、スピードスケートをするために生きてきたと言える人物で、世界ジュニア記録も保持していました。
そんなウが世界の表舞台に初めて登場したのは02年のソルトレイクシティオリンピック。男子500mの中国代表に選出されたウでしたが、この時の成績は21位と今一つ。500mではウの持ち味が生きず、冴えないスケートに終始します。
というのも実はウの本職はスピードスケートでも100mという超短距離戦。抜群のスタートから飛び出してそのまま逃げ切るウのスタイルは100m戦ならではと言えますが、500m、ひいては1000mを戦うほどの体力は当時18歳のウには酷なものでした。オリンピックの個人種目ではどんなに短くても500mが最短距離なので、500mを耐えうるスタミナをつけることがウへの課題となりました。
トリノ五輪で5位に入り距離にめどが
ウ・ホウトウ(于鳳桐)はオリンピック終了直後から、練習を再開。持ち前のスピードを伸ばすのはもちろんですが、それ以上にスタミナの養うことに重点を置きます。スタートダッシュが抜群なウは先行逃げ切り勝ちが主ですが、それ以上に好位に付けてのレースや後方から差すレースなどあらゆる形でスタミナをつけて乗り切ろうと画策します。
そんな中でもウのスピードはやはり世界レベル。10代最後となった03-04シーズンと20歳になったばかりで迎えた04-05シーズンに開催されたワールドカップでは得意の100m戦へ出場して両大会で見事に総合優勝。あの爆発的なスピードには誰もついていけませんでした。しかし、500m戦以上の距離になるとウは途端に勢いを失い、簡単に負けるレースが増えていきました。
ウの課題となっていた500mの距離の対応にめどがついてきたのがトリノオリンピックを目前に控えた05-06シーズン。この年のワールドカップでウは500m戦に果敢に挑むと、世界の強豪選手たちを相手に10位に奮闘。それまで20位より下の順位で終わることも多かっただけに世界のトップクラスの選手たちを相手に10位は健闘の部類。トリノオリンピックへの期待を沸かせました。
迎えたトリノオリンピック。ウは中国代表選手として男子500mに出場。ワールドカップでの滑りからメダルは難しくとも入賞ならと期待を持たれましたが、ウはその期待にこたえる形で5位入賞を果たし、距離を延ばしても好成績を挙げることができました。
返す刀でウは男子1000mにも挑戦。しかし、得意の100mから10倍となる距離ではさすがにウの持ち味は活きず34位に終わっています。
得意の100mでまさかの大敗
トリノオリンピックで距離へのメドを掴んだウ・ホウトウ(于鳳桐)。得意の100mに加えてスピードスケートのメインストリームとも言える500mもこなせるようになれれば活躍の幅も広がり、さらにオリンピックでのメダルも期待できます。次のバンクーバーオリンピックを迎えるころには25歳、選手として脂が乗り切った時期に挑戦できるという点もウには追い風が吹いていました。
ところがスタミナをつける練習を積んだことが裏目に出たか、07-08シーズンはまさかのスランプ。かつて連覇を飾ったワールドカップの100m戦ではまさかの総合5位に終わり、そして500mも7位。ウ最大の持ち味となっていたスピードが損なわれたことで、得意としていた100m戦を落としてしまうというまさかの結果に終わりました。
ワールドカップで500mの壁を超える!
抜群のスタートダッシュを武器としたウ・ホウトウ(于鳳桐)。その爆発的なスピードが持ち味で100m戦などの短距離界では敵なしの強さを誇っていましたが、そんなウがまさかのワールドカップ総合5位。得意としていた距離で落としたことはウにとってはかなりショッキングな出来事で、その後の成績に暗い影を落としました。
リベンジを期した08-09シーズン。ウは前年のリベンジを期して、100mと500mに出場。前年の成績が今一つだっただけにどんな成績を残すかと思われましたが、ウは見事にリベンジ。100mで総合2位につけて復活をアピールすると、それまで苦手としていた500m戦で自身初となる総合優勝を達成。長年課題としていた距離を克服したことでついにオリンピックのメダルも射程圏内に捕らえることに。翌年開催のバンクーバーオリンピックがいよいよ楽しみになってきました。
そうして迎えた10年のバンクーバーオリンピック。ウは500m戦に出場。メダルの期待がかかりましたが、残念ながら7位にとどまり、メダル獲得はなりませんでした。