チョウ・カイ(張会)について

名前 チョウ・カイ(張会)
生年月日 1988年3月8日
中国
出身 黒竜江省ハルビン市
プロフィール 2010年バンクーバー五輪スピードスケート・ショートトラック女子3000メートルリレーで金メダルを獲得。160センチ、58キロ。

ハルビンでスケートのテクニックを鍛える

チョウ・カイ(張会)が生まれたのは中国のハルビン市。ハルビンと言えば、通称「氷の街」と称されるほど寒い街。1月の平均気温はなんとマイナス18度にも達するという極寒の地。そのためウインタースポーツが特に盛んで、中でもスケートは大人気。チョウがスケートを始めるのには最適な環境だったと言えるでしょう。

そしてチョウは才能にも恵まれていました。スケートリンクで滑れば誰よりも速く、男の子でも彼女に追い付くのは不可能。それどころから彼女は大人よりも速く滑ることもよくありました。そんなチョウの才能に気付いた両親はチョウに対してスケートの特訓を務めるようになり、練習施設を用意してトレーニングを積ませます。

その結果、チョウは中国国家の目に留まるようになり、オリンピック選手を育成するナショナルチームへの加入が認められました。ちなみにチョウと同い年のメンバーとしているのはソン・リンリンなど。他にもチョウと同年代のスケート選手は活躍した選手が多く、1985~88年世代は中国女子のスピードスケート選手たちの当たり年ともいわれています。

同年代の選手ともまれながらナショナルチームに所属

チョウ・カイ(張会)が所属したのは中国のナショナルチーム。どこの国もオリンピックに対する熱意は熱いものがありますが、中国のそれは段違い。実際にチョウたちにもそうだったように日本でいえば中学生、小学生クラスの年齢の子からナショナルチームに加入させて未来のオリンピック選手を育成していきます。

中国のオリンピックに対する意識は徹底していて、お家芸のスピードスケートだけでなくあらゆる競技に当てはまります。その甲斐ああって中国のオリンピック獲得メダル総数は夏季冬季を合わせて何と526個(16年まで)。中でも金メダルは約半数近い213個と言う驚異的な数を叩き出しています。

オリンピック出場時のプロフィールが160センチ、58キロと決して大きくはなかったチョウはほかの同年代の選手に負けまいと奮起し、スタートの合図とともに飛び出すロケットスタートを徹底的に強化。オリンピックをはじめとした世界舞台での活躍を夢見ました。しかし、同年代の選手の層が厚いことに加え、彼女たちが毎年のように世界大会でメダルを量産。18歳のころのトリノオリンピックには声がかからず、さらに世界選手権などの主要な大会でも彼女はあまり活躍できませんでした。

しかし、個人種目で彼女は今一つでしたが、バトンタッチ等の正確さ、そしてチームプレイに徹することのできる性格を買われて、3000mリレーの代表選手として抜擢。これが彼女の運命を変えました。

バンクーバー五輪で金メダル獲得

リレーの選手に選出されたことで活路を見出したチョウ・カイ(張会)。バンクーバーオリンピックに22歳にして出場することになりました。この大会、彼女は500m、1000m、1500mと個人種目に3つ出たうえで得意の3000mリレーに出場。正直、メダルに関してはリレーで期待されていたため個人種目はあまり期待されていませんでしたが…この大会で彼女は大爆発を果たします。

まずは500m。このカテゴリーでは同じ中国が誇る女王、ワン・メンの独壇場となりましたが、チョウはこのカテゴリーでも5位に健闘。1000mに関しては準決勝で1位通過を果たしましたが、決勝でまさかの失格。メダルこそ取れていませんが、個人大会でここまで活躍できた勢いのまま3000mリレーに臨みます。

この競技、チョウが滑った段階では中国は1位、最後のソン・リンリンが逃げ切れば優勝という場面でしたが、ここでメダルを賭けた激しい争いが起こります。

それまで2位を走っていた韓国のパク・スンヒがバトンタッチの際、自国の選手であるキム・ミンジョンの腰を力強く押しました。これで勢いがついたキムはアウトコースからインコースへ切れ込み、インを付いていたソンの進路をふさぐ形に。ソンはこれでスピードを落とさざるを得ず、結果的に2位に後退しそのままゴールを迎えました。やや不満の残る結果に終わり、中国は銀メダルに終わったかと思われました。

しかし、VTR判定の結果、韓国側に反則があったとして失格負け。結果的にソンが1位通過と認定されて中国の優勝・金メダルに変更されることになりました。やや煮え切らない勝ち方ではありますが、チョウはこれで念願の金メダリストの仲間入りを果たしました。

世界選手権など複数の大会で優勝

念願とも言える金メダリストになったチョウ・カイ(張会)。この大会後に本格化を見せ、翌11年には世界選手権で3000mリレーで優勝して金メダル。さらにアジア大会でも優勝とその実力の高さを見せつけました。30歳にして挑むことになりそうな18年の平昌オリンピックでも活躍が期待されています。


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