マリン先生は難しい顔で聴診器を置きました。
「これは……ブラウン管の劣化にともない、基盤まで壊れてしまったみたいだ」
「あ、あ、なおしてあげてほしいやよ!(ぴょん、ぴょん)
「……ベイスたん、よく聞いてね」
「あ、あ、ベイスたん、よくきくやよ!(ぺくぺく)」
「一般的にブラウン管テレビの寿命は3万時間と言われているんだ」
「3まんじかん?」
「そう、3万時間。1日8時間稼働した場合は約10年、16時間稼働した場合は約5年になる計算なんだ」
まさか、テレビさんが……。とつぜん突きつけられた悲しい現実を前に、ベイスたんたちは声を上げて泣きました。
「マリン先生、テレビさん、たすけてあげてほしいやよ!(ぺこぺこ)」
「僕だってそうしたいさ! ……でもテレビさんは旧式のブラウン管テレビ。しかも惑星ベイスター製ときている。そんな特殊な家電のスペア部品はおそらくどこにも残ってないだろう」
「あ、あ……」
「しかも、仮に新しい部品に交換できたとしても……。テレビさんのいままでのメモリー、つまり“記憶”は全て消えてしまうだろう」
「あやや‼」
「もしそうなれば……それはぼくたちの知っている『テレビさん』じゃない」
☆次回は28日(月)の更新です
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