鳥谷2000本安打達成で広島の悪夢から覚める
さて、まずは前週のおさらい。広島との首位攻防戦は、悪夢のような3連敗でした。阪神にしてみると最悪の結果ではありましたが、それでも、どの試合も紙一重。去年は手も足も出なかった広島と、優勝を懸けて互角の戦いをした――しかも非常に若いメンバーを中心に戦ったことは今後に繋がっていくでしょう。
金曜日、甲子園に帰って、追い上げてきたDeNAとの対戦。ここで2000本安打にあと1本まで迫っていた鳥谷敬があっさりと偉業を達成。まるで悪夢から目覚めたように勢いを取り戻した阪神は、DeNA相手にに3連勝(しかもサヨナラ勝ち2つ)という結果でした。
前週もっとも旬だった鳥谷の2000本安打については、ブログに書きましたので、よかったら読んでみてください。
隼太の一撃は「師匠」の退任とともに
日曜日、大熱戦にケリをつけたのが、「新・代打の切り札」伊藤隼太の一撃でした。
それと時を同じくするように飛び込んできたのが、「掛布雅之2軍監督、今季限りで退任」というニュース。
壁にぶちあたった隼太が、掛布師匠に弟子入りし、打撃を向上させたというストーリーがメディアで伝えられていました。何か縁を感じるタイミングでした。
まだ残り16試合もあるのに、なぜこのタイミングで発表するの?
これについては掛布氏自身が語っていますね。
2年間戦った(相手の)監督に、今年でユニホームを脱ぐということをやっぱり僕の口から伝えて辞めていきたい阪神・掛布2軍監督「充実した4年間だった」(サンスポ)
対戦チームですが、育成という同じ仕事に取り組んでいる同業者。あいさつをして去っていきたいというのは、掛布氏らしい美学と言えます。2軍指導者という仕事を愛していたのがよく伝わってきます。
ファンから「ミスタータイガース」と呼ばれた人気者でありながら、現役晩年、引退後はフロントとの間に確執がありました。
解説者として人気者でしたが、事業の失敗などで大変な苦労もしたとか。
故中村勝広氏の仲介で球団に戻ってきて、金本知憲監督になってからはガッチリとタッグを組んで、スラッガー育成に取り組んできました。
今、その成果が着実に現れている――それなのに、なぜ、退任しなきゃいけないのでしょう。どうにも釈然としません。
掛布氏はフロントに転身する可能性が高そうなので、この「なぜ?」に対する答えは当分の間、聞けないでしょう。
憶測「なぜ掛布2軍監督は退任するのか?」
では、ここは一つ、私が憶測を繰り広げることにします。新聞記事にあった言葉に多少影響を受けているところはありますが、基本的に脳内でこさえた根も葉もない話です。ご了承ください。
(1)世代交代説
経営陣から出てきているキーワードが「世代交代」です。監督という重い役目を練習する場所はあまりありません。もっとも適しているのが2軍監督。「将来の監督」は、2軍監督で訓練を積み、将来の主力たる若手との結びつきを深めておく必要があります。
今岡誠コーチは「監督の器」と言われていますので、そろそろ経験させておきたいというのは理にかなっています。
(2)金本監督の方針と合わなかった説
新聞社によっては、多少触れていました。「(ウェイトトレーニングなど)無理にでもやらせる」という金本スタイルに対して、自分の時間に自分で考えろと、自主性を重んじる掛布スタイル。それが衝突したのだという話ですね。確かにありそうな話です。
(3)掛布氏の評価が高くなりすぎた説
事実がどうかは知りませんが、金本監督の打撃指導によって不調になった選手が何人かいます。それが、掛布氏の打撃指導によって調子が良くなった――そんなケースがいくつかあったように見えました。
もし、選手たちの間で、そんな評価が定着していたとしたら、それは金本監督にしたらやりづらいでしょう。
それに気づいたフロントが、金本監督に気をつかって……という筋書き。
結果が出ているのに、あえて改造人事に踏み切ったのは、そういうアンバランスの是正が目的だったのでは?
(4)フロントが掛布人気を恐れた説
掛布氏は、もともと「信者」が多いスター。失われた時を取り戻すように、タイガースへの愛を表現し、情熱的な指導をする姿に、高い人気がありました。
「次の監督は掛布」という声も、無視できないくらいあります。今のままなら、さらに大きな声になっていく可能性も……。それを球団のフロントが恐れたのかもしれません。
それが良い結果をもたらすのならかまわないと思うのですが、そこは電鉄会社。一度始発駅を出た列車は後戻りできないのです。誰だって、順番に出世したい。監督人事で時計の針を大きく戻すようなことがあれば、球団内人事にも同じことが起きないとも限らない。電鉄会社がもっとも嫌う、「ダイヤの乱れ」が生じかねない……。
人気が沸騰してしまう前に、掛布氏には退いてもらったほうがいい――そんな判断が働いた可能性があります。
……などなど、ほかにもいくつか憶測できますが、まあ、このへんにしておきましょう。
私個人としては、「掛布監督、岡田ヘッドコーチ、バース打撃コーチ、真弓守備走塁コーチ」が実現しないのはとても残念です。
もっとも、それも20年くらい前にやってほしかったことではありますが。