世界ランキングは出場国中ダントツ最下位の41位
2017WBCにおいて、イスラエル代表チームに注目が集まっている。今年の1月にWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が発表した世界ランキングは41位。これは今大会の本選出場16チームのうち、断トツの最下位である(ちなみにその上の15番目のチームは、コロンビアの19位)。
ちなみにこの世界ランキングは、U-12からトップチームまですべての国際大会結果を過去4年間見てポイント化したもので、日本は1位、アメリカが2位。以下、韓国、台湾、キューバまでがランキングベスト5となってい。
そんな出場チームランキングで最下位のイスラエルが、1次ラウンドでは韓国を2対1、台湾を15対7、オランダを4対2で降して、見事にA組1位で2次ラウンド進出を決定。2次ラウンドでも、初戦の相手であるキューバを4対1と撃破したのだ。大会前は予選大会から勝ち上がってきた弱小国程度にしか思われていなかったのだが、まさかの快進撃で一気に注目を浴びることになったのである。
元メジャーリーガーを含むマイナーリーグ経験者がずらりと並ぶ
©️共同通信 今大会の開幕ゲームだった韓国対イスラエルの試合を見てみよう。この試合のイスラエルの先発は38歳のエースであるマーキー。16年から所属チームなしのフリーエージェントのようであるが、過去にアメリカ大リーグで15年間プレーし、通算124勝を挙げている元メジャーリーガーだ。04年から09年までの6年間は、毎年二桁勝利をマークしていた実力の持ち主で、実際、韓国打線相手に3回を2安打無失点に抑えた。
マーキーが抑えている間、イスラエル打線は2回表に1死満塁のチャンスを作ると、8番のクリーガ―が押し出しの四球を選んで先制。1対0とした。このクリーガ―は23歳の二塁手で、インディアンズ傘下のマイナーチームに所属している。
5回裏の韓国の攻撃で、2番手のソーントンが四球と死球で無死一、二塁のピンチを招くと、その後を継いだ3番手のブレイクがタイムリーヒットを浴び、1対1の同点となった。ソーントンは現在所属チームがないようであるが、マイナーリーグに6年間所属していた経験がある。ブレイクは16年にヤンキース傘下の2Aに所属していた投手だ。
その後のイスラエル投手陣は、ドジャース傘下のマイナーリーガーであるクレーマー、ホワイトソックス傘下のマイナーリーガーであるカッツ、13年から3年間のメジャー経験のあるゼイドと繋いで、韓国打線を抑えていく。
試合は1対1のまま延長戦へともつれ込んだ。10回表にイスラエルは1死からデービスが四球で歩き、ラバンウエーがセンターへヒット。次打者は倒れて2死一、三塁から、バーチャムがセカンドへタイムリー内野安打を放ち、これが決勝点となって2対1でイスラエルが韓国に勝利した。このデービスは10年から6年間メジャーリーグに在籍し、今年はドジャースとマイナー契約をした内野手。ラバンウエーは11年から4年間メジャーリーグに所属した捕手で、今年はアスレチックスとマイナー契約をしている。そして決勝打を放ったバーチャムは、ロッキーズ傘下のマイナーリーグに所属する遊撃手である。
一方、日本でもプレーした経験のある韓国の主軸の2人、3番打者・金泰均、4番打者・李大浩はイスラエル投手陣を捉えることができず、ノーヒットに終わっている。
次の台湾戦では、現在西武ライオンズに所属する台湾先発の郭俊麟を1回途中に4点を奪ってノックアウトし、2番手のロッテに所属するチェン・グァンユウからも3回に2点を奪うなどイスラエル打線が爆発。終わってみれば20安打を放って、15対7で台湾に勝利した。さらにオランダを4対2で、キューバを4対1で降してしまうのである。
28人全員がユダヤ系アメリカ人の“準アメリカ代表”
1次ラウンドではテルアビブ出身でイスラエルリーグ所属だったリペツという投手がいたのだが、2次ラウンドでは予備投手枠に入ったためベンチから外れることになった。これで現在のイスラエル代表のメンバーは、登録された28人全員がユダヤ系アメリカ人だ。
韓国戦で活躍した選手の何人かの所属を紹介したが、現在のイスラエル代表には現役メジャーリーガーこそいないものの、メジャー経験のある選手は10人いる。残りの18人は全員がマイナーリーグの経験者で、世界ランキング41位だと侮っていてはやられてしまう可能性がある。
2次ラウンドの日本対イスラエルは15日の19時から行われる。相手がどこであろうと打つべき人は打って、繋ぐべき人は繋ぐといった日本らしい野球を期待したい。