メキシコが取り消され、ベネズエラがプレーオフへ
©️共同通信 2017WBCのD組で、前代未聞の出来事があった。12日(日本時間の13日)にメキシコ対ベネズエラの試合が行われ、メキシコが11対9で勝利。結果、2次ラウンド進出を決めるプレーオフは、イタリアとメキシコが対戦することに決まったと思われた。実際に大会の公式ツイッターでも2次ラウンド進出を決めるプレーオフに出場するチームがイタリアとメキシコだと発表されたのだ。しかし、間もなくそれは削除されて取り消され、イタリアのプレーオフの相手はベネズエラへと変更されたのである。
このD組はプエルトリコが3連勝し、1位で2次ラウンドへの進出を決めている。そして残りのイタリア、ベネズエラ、メキシコの3チームが1勝2敗で並んだのだ。
1次と2次ラウンドで3チームが1勝2敗で並んだ場合、大会規定では当該チーム間の①失点率、それが同じなら②防御率、それが同じなら③打率、それも同じなら④抽選で順位を決め、最下位チームが敗退となって2位と3位のチームでプレーオフを行うことになっている。
この失点率というのは1イニング当たり何点取られたかというもので、当初はイタリアが19回で20失点だったため失点率は1.053、メキシコは18回で19失点だったため1.056、ベネズエラは19回で21失点だったため1.105で、イタリア対メキシコのプレーオフ、ベネズエラの敗退と発表された。
メキシコは9日に行われたイタリア戦で、4点リードで迎えた9回に1死も取れずに5点を失ってサヨナラ負けを喫したのだが、当初はこのイニングを加えてしまっていたのだ。しかし大会本部がイニング数は投球回と同じとすると明言。これによりメキシコは18回で19失点の失点率1.056から、17回で19失点の1.118へと変更になり、ベネズエラの1.105を下回って最下位となったため敗退が決定。イタリア対ベネズエラの2次ラウンド進出を懸けたプレーオフとなったのである。
ベネズエラに11対9で勝利したメキシコのエドガー・ゴンザレス監督は、「主催者から2点差以上での勝利を進出条件として説明されていた」と抗議したが認められず、「ひどい大会だ」との言葉を残した。
かつて失点率で勝ち上がり優勝を果たした日本
ちなみにこの失点率であるが、実は日本もこれで勝ち上がったことがある。06年に行われた第1回大会の2次ラウンドだ。
このときは韓国が3勝して準決勝進出を決めたが、日本、アメリカ、メキシコが1勝2敗で並んだため、当該チーム間の失点率で順位を決めたのだ。日本は17回2/3で5失点だったため失点率は0.28、アメリカは17回で5失点だったため0.29、メキシコは18回で7失点だったため0.77だった。日本はアメリカとの差でわずかに0.01点上回り、準決勝へ進出したのは日本だった。
この2次ラウンドにおけるアメリカ戦で、日本は9回に3対4でサヨナラ負けを喫したのだが、アウトを2つ取っていたのが大きかった。これにより両チームとも5失点ずつだったが、イニング数で2/3多かった日本の失点率がアメリカよりもよい数字になったのだ。
その後、日本は準決勝で韓国を6対0で降し、決勝は10対6でキューバから勝利を収めて、初代WBC王座に輝いたのである。