全試合に出場したのは筒香、山田、松田、小林
1次ラウンドと2次ラウンドの計6試合を終えて、侍ジャパン28人のうち6試合すべてに出場したのは、筒香嘉智、山田哲人、松田宣浩、小林誠司の4人である。そのうち松田は12日のオランダ戦では途中から出場しており、6試合すべてに先発出場したのは筒香、山田、小林の3人だ。まさに不動のレギュラーという存在で、決勝ラウンドでも怪我で出られないということでもなければ、間違いなく先発出場することだろう。
この4人は数字を見ても良い結果が残っている。筒香は6試合で22打数8安打3本塁打8打点4四球の打率.364.だ。イスラエル戦での先制ホームランなど、一発の魅力もさることながら、得点圏に走者を置いた場面ではしっかり得点に結びつけるタイムリーヒットを放っており、まさに4番としての仕事をきっちりと果たしている。小久保監督も「筒香の4番は外さない」と話しており、頼れる日本の主砲である。
山田は初戦のキューバ戦から2次ラウンド最初のオランダ戦までは、17打数3安打2打点の打率.176と不調で、本来の打撃ができていなかった。しかし14日のキューバ戦で先頭打者ホームランを放つとエンジンがかかり、この日は4打数3安打2本塁打3打点1四球と見事な成績。翌15日のイスラエル戦でも4打数2安打1四球1盗塁と活躍し、復調してきた。6試合のトータルで25打数8安打2本塁打5打点5四球1犠飛1盗塁の打率.320という成績を残している。日本プロ野球で2年連続トリプルスリーを達成しており、そんな選手が1番に座ってフリーに打ってくれば、相手は脅威を感じることだろう。
松田は1次ラウンド初戦のキューバ戦で、5回に試合の流れを大きく引き寄せる3ランホームランを放った。この日は5打数4安打1本塁打4打点1盗塁の大活躍で、今大会の侍ジャパンが好スタートを切るきっかけを作った功労者だ。2次ラウンド初戦のオランダとの試合は代走から守備での出場で打席には立たなかったが、6試合トータルで20打数8安打1本塁打7打点1犠飛1盗塁の成績を収めている。先発しなかったオランダ戦はもちろん、スタメンに名を連ねたゲームでもベンチでは誰よりも大きな声を出しており、ムードメーカーとしての役割もしっかりと果たしている。
そして小林は、2次ラウンドまでの大会中に最も力をつけた選手であろう。大会前は巨人の同僚である菅野智之が投げる際の捕手という位置づけであったが、肩の強さを買われて初戦からスタメンに名を連ねると、いわゆるラッキーボーイ的な活躍を見せて、誰もが認める日本代表の正捕手となった。昨年のプロ野球ペナントレースでは12球団の捕手で唯一規定打席に到達したものの、打率はセ・リーグ最下位の.204だった。それが今大会2次ラウンドまでの6試合は、18打数8安打1本塁打6打点1四球3犠打1犠飛の打率.444と大当たりしている。それでも驕った態度をとることは一切なく、ホームランを放った10日の中国戦後のヒーローインタビューでは「しっかりバントを決められるようにやっていきたい」と自分の仕事を全うしようという姿勢を強く見せていた。
5試合の出場でチームに大きく貢献している坂本、中田
©共同通信 この6試合すべてに出場している4人は、偶然にも安打数が8で並んでいる。しかし侍ジャパン打線には、5試合しか出ていないもののそれを上回るヒットを放っている選手がいる。坂本勇人である。5試合のトータルで20打数9安打1打点3四球1犠打1盗塁の打率.450と当たっているのだ。出場した5試合はすべて6番で先発しており、前を打つ4番の筒香、5番の中田翔が走者を還してしまうことが多いため打点は1と目立っていないが、しっかりと繋ぎの役割を果たしている。この打率.450の坂本が、2次ラウンド終了時点での日本チームの首位打者である。
もうひとり5試合の出場ながら、チームを牽引している選手がいる。中田翔だ。15日のイスラエル戦は腰に張りが出たため出場しなかったが、5試合で5安打を放ち、そのうち3本がホームランと5番を打つ主軸らしい働きを見せている。4番の筒香より1試合少ないものの、打点は筒香と並んでチームトップの8を記録している。
以上見てきた6試合すべてに出ている4人に坂本と中田を加えた6人は、このままの調子でチームを引っ張り、決勝ラウンドに臨んでほしい。もちろんどの国が相手になっても、バリバリのメジャーリーガーが出てくることはわかっている。しかしどんな相手であっても、本来の自分たちの力を発揮できれば、勝利に手が届くはずだ。彼らを中心にチームが一丸となり、侍ジャパンが世界一を奪還するシーンを見せてほしい。