『スラムダンク奨学金』でアメリカンドリームを追う鍵冨太雅 vol.2~「バスケと勉強をしておけ」という環境で勝負の1年間
普通の人では絶対にやらないことをやる人にあこがれる 僕はアメリカの自由なところに魅力を感じます。日本人は人見知りですね。例えばちょっと列に並んでいると、アメリカ人は「列が長いね」とか「何をしにここに来たの?」とか、知らない人とも軽く話すフレンドリーさがあります。そういう人は日本にもいますが、少ないですよね。 それはバスケでも同じで、アメリカ人は白人も黒人もヒスパニックもアジア人も関係なく、「君、上手だね」とか「どこから来たの?」とか仲良くしてもらえます。それこそ『自由の国』という感じで、魅力を感じます。 生活環境は日本もアメリカもどちらも好きですけど、自分はアメリカで育ったと思っています。考え方がオープンと言うか。仲良くウェーイな雰囲気の中に入れば、自分もそうなります。日本ではちょっと隠して、おとなしくしていましたけど(笑)。 NBAではレイカーズが好きです。コービー・ブライアントが大好きだったので。シャック(シャキール・オニール)もですけど、パウ・ガソルやアンドリュー・バイナムもですね。でもやっぱり、とにかくコービーが好きでした。 コービーは他のプレーヤーと違いますよね。言い方が悪いかもしれませんが、狂っていると言うか。(マイケル)フェルプスや(ウサイン)ボルトもそうですが、普通の人では絶対にやらないことをやって実力を発揮する。スター気質というか。コービーだったら外した本数がNBAで一番多いけど、それでも5回も優勝しています。フェルプスもすごい雄たけびを上げたり、普通じゃないんですけど、8個もメダルを取るような選手です。成功している人には狂った部分がある。コービーはその分かりやすい例だと思います。自分には足りない部分なので、我を出していければと思います。 NBAへのあこがれはありますが、その舞台にはほど遠いです。まだちょっと希望が低いのかもしれませんが、これからセントトーマスモアスクールに行き、そして良い大学に入ることができれば、その夢も開けてくると思っています。できる限りのところまでは挑戦したいです。 勉強でトップ、なおかつバスケも強い学校に入りたい 僕が行くプレップスクールは、高校を終えてからの1年間、他の大学コーチに見てもらうために結果を残したり成績を上げたりして、1年間チャンスを作るための学校です。悪く言えば「浪人」なんですけど、アメリカでは普通のことです。 高校ではアピールできなかった、見てもらうチャンスがなかったけど、本当は実力がある選手が通います。セントトーマスモアの監督は殿堂入りの候補になるような指導者で、その監督のコネクションを使って強豪校の監督に見てもらうんです。 大学に入っても同じですが、アメリカは文武両道です。僕が狙っているのは勉強でも全米のトップに行くような大学です。高望みかもしれませんが、勉強でトップ、なおかつバスケも強い学校に入りたいと思っています。 4歳から11歳までニューヨークに住んでいて、ずっと現地校に通っていました。だから英語で会話することには問題ないです。小学校でも成績は良いほうでした。中学時代は東京のスーパー進学校で宿題が大量にあって、いつも勉強に追われていました。高校時代は大濠とアンダーの練習や遠征でものすごく忙しかったのですが、合間合間に時間を見付けて学校の勉強をするようにしていました。 今はSATという統一テストに向けた勉強をしているのですが、高校3年間の英語のブランクがあったにもかかわらず、ちょっとやったら点数が伸びてきています。そう考えると僕は他の人より断然有利だと思いますね。 セントトーマスモアはド田舎の森の中にポツンと学校があるんです。楽しみはそんなにないけど、施設内に寮も体育館もあって、「バスケと勉強をしておけ」という環境ですね。その両方を極めたいです。この1年間が勝負ですね。 先ほどスラムダンク第10期奨学生として米国セントトーマスモアプレップスクールに発つ鍵冨太雅選手@TKagitomi の壮行会がありました!井上雄彦先生@inouetake より流川楓のサインのプレゼントも‼︎鍵冨選手、頑張ってきてください!スラムダンク奨学金事務局 小菅 pic.twitter.com/HEtrzgwsjZ
取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎