文=座間健司

フォロワー1億人を先に達成したのは?

 レアル・マドリードとバルセロナは言わずと知れた世界を代表するメガクラブであり、毎シーズン、チャンピオンズリーグの優勝候補の筆頭に名が挙がる。歴史、人気、実力でこの2クラブに肩を並べられるのは、世界でもバイエルン・ミュンヘンと(今は低迷しているが)マンチェスター・ユナイテッドくらいしかない。その2クラブが対戦する“エル・クラシコ”は、スペインのリーグ戦の1ゲームに過ぎないが、チャンピオンズリーグ、ワールドカップ決勝と同じくらい世界で最も注目を集める試合となる。2クラブの間には強烈な敵がい心があるがゆえに、観衆にとっては幸運なことにお互いを高め合っている。両チームのエースであるメッシとクリスティアーノ・ロナウドによる毎シーズンのバロンドール争いはその典型だ。

 21世紀の今、世界の各クラブはSNSに力を入れているが、ここでも両者は争っている。バルセロナとレアル・マドリードはフェイスブックのそれぞれの公式ページで、どちらがスポーツクラブとして初めてフォロワー1億人を達成するのかを争っていた。4月7日付のスペイン紙『ラ・バングアルディア』がその争いをレポートしていた。

 し烈を極めたフォロワー1億人達成は、レアル・マドリードが、バルセロナよりも先に達成した。3月31日まで首都の白いチームは、バルセロナよりもフォロワー数が劣っていたが急激な伸びを示し、4月1日に逆転した。レアル・マドリードは今年に入ってから2パーセントずつフォロワー数を増やした。一方、バルセロナは1.6パーセントだった。さらにレアル・マドリードは3月30日から4月1日にかけて3パーセントもフォロワーを増やし、一気にバルセロナを抜き去り、フォロワー数1億人を先に達成した。

 とはいえ、バルセロナは依然として「SNS上では王様だ」という専門家の意見がほとんどを占める。今年に入ってからもSNS上ではレアル・マドリードよりもバルセロナのことが話題になっているデータを紹介した。両チーム共にSNS上でも予算をかけてよりマーケットを大きくしようと日々仕事を進めているが、バルセロナの人気はレアル・マドリードよりも高い。では、レアル・マドリードは3月30日から4月1日の間に集中的にフォロワー数を急激に増やし、1億人フォロワーをバルセロナよりも先に達成できたのか。

抜け目のなかったレアルの戦略

©Getty Images

 レアル・マドリードには明確な戦略があった。元選手やマドリディスタである著名人がそれぞれ自身のアカウントで、クラブを喧伝した。

 例えば、デビッド・ベッカムだ。元レアル・マドリードに所属するフットボール界のアイコンは、現役引退してからも広告などで活躍するなど今もその一投一足が注目を集めるセレブだ。5500万人のフォロワーをSNS上に持つベッカムは4月1日に自身のフェイスブックページで「自分の心の中でいつもこのクラブは特別な場所にいる。フェイスブックでレアル・マドリードのフォローを」と投稿した。

 3200万人のフォロワーを抱えるブラジル人アタッカー、カカや1200万人のフォロワーを持つ元ブラジル代表ロナウドも古巣のフォローを訴える投稿をした。マドリディスタであるスペイン人テニス選手ラファ・ナダル、スペイン人ドライバー、フェルナンド・アロンソもクラブのフォローのお願いを自身のSNSアカウントに投稿している。またスペイン人歌手フリオ・イグレシアス、3大テノールの1人、プラシド・ドミンゴも同じように投稿した。

 さらに1億2000万人のフォロワーがつくクリスティアーノ・ロナウドや2800万人のベイル、2200万人のセルヒオ・ラモスや3200万人のハメス・ロドリゲスなど現所属のスターたちも当然ながらクラブの戦略にコラボレーションした。

 OB、現役、そしてサポーターである著名人のネームバリューを活かすという見事な戦略で、レアル・マドリードは約48時間で350万人のフォロワーを新たに獲得し、1億人フォロワーをバルセロナよりも一足先に達成した。バルセロナはレアル・マドリードの数時間後に、1億人フォローを達成し、今はスポーツチームとしてSNS上で最も注目を集めるチームだ。しかし、レアル・マドリードは的確な戦略で「1億人フォロワーを初めて達成したスポーツチームになる」という目的を達成した。

座間健司

著者プロフィール 座間健司

1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして『フットサルマガジンピヴォ!』の編集を務め、卒業後、そのまま『フットサルマガジンピヴォ!』編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。2011年『フットサルマガジンピヴォ!』休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。