浅野拓磨のゴールで1-0 前半リードで折り返す

負傷者も多く、通常の23人より4人多い27選手を招集したハリルホジッチ監督は、FW武藤嘉紀、FW杉本健勇、DF植田直通、DF三浦弦太の4選手を23人の登録メンバーから外した。日本の先発はGK川島永嗣、最終ラインは右からDF酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都が並び、中盤の底にMF長谷部誠。インサイドハーフにMF山口蛍とMF井手口陽介、左ウイングにFW乾貴士、右ウイングに浅野拓磨、センターFWに大迫勇也が入る4-3-3で大一番に臨んだ。
 
日本はこれまでワールドカップ本大会と予選で計8度、オーストラリア代表と対戦している。その通算成績は3分5敗であり、一度も勝つことができていなかった。日本は立ち上がりから積極的にプレスを掛けてオーストラリアに自由にプレーさせず、前半2分にはCKを得る。井手口のCKに酒井宏がヘッドで合わせたが、ボールは右に切れていった。
 
序盤、オーストラリアに攻撃を組み立てさせなかった日本は、前半14分に乾がエリア外、右寄りの位置でボールを受けると、中に切り込んでシュートを放つ。その後も最終戦で格下のタイとの試合を残すオーストラリアは無理に前に出てこない中、前半23分に日本は相手のパスミスをカットした大迫がゴールを狙ったが、シュートはGKマシュー・ライアンに抑えられた。
 
速攻から何度かチャンスをつくった日本だが、オーストラリアの守備が整うと、相手のギャップでボールを受けられる選手がいないため、攻撃が組み立てられない。長谷部が中央でボールを持ったときに、サイドに展開するしかなくなり、そこで潰される場面が散見した。それでも守備への切り替えが早く、オーストラリアにもチャンスらしいチャンスをつくらせなかった。
 
幅を取っているサイドからの攻撃を狙う日本は、前半36分に攻めあがった長友のクロスに浅野が飛び込んだが、ミートしきれずにボールは右に逸れていった。危なげない試合運びを見せていた日本だが、39分にFWマシュー・レッキーにシュートを打たれる。対応していた吉田の足に当たり、少しコースが変わったボールは右ポストをたたき、日本は失点を免れた。
 
すると前半41分、日本は左サイドでボールを持った長友が、ゴール前にクロスを入れる。センターバックのマークを外した浅野が左足でこれに合わせ、ボールをゴールに流し込み、欲しかった先制点を挙げた。日本は44分にも右サイドからのクロスに大迫が合わせたがシュートは右に逸れて得点はできず。それでも1点をリードして、前半を折り返した。

先発抜擢の井手口が追加点で試合を決める

前半を優勢に戦った日本は後半の立ち上がりも高い位置からプレスを仕掛け、オーストラリアにビルドアップの段階でミスを誘発させる。後半8分には井手口のパスカットから浅野にスルーパスが出たが、わずかに合わずにボールはGKに抑えられた。同10分にはCKから酒井宏がヘディングを放つものの、ボールを枠に飛ばすことができない。
 
後半12分には自陣でボールを奪った日本は、最前線の大迫に縦パスを通す。ボールをキープした大迫はDFを引き付けて、左サイドの乾にパス。乾がドリブルでゴールに迫っていったが、シュートを打つタイミングで戻ってきたDFにブロックされた。
 
攻撃が機能しないオーストラリアは後半16分にFWジェームズ・トロイージを下げて、189センチの長身FWトミ・ユリッチをピッチに送り出した。それでもなかなか攻撃は機能せず、同20分にはDFトレント・セインズブリーが中盤から苦し紛れのシュートを放つが、大きく左に外れていった。
 
オーストラリアは後半25分、FWトーマス・ロギッチを下げて、これまで日本を苦しめてきたFWティム・ケーヒルを投入する。すると、このときを待っていたかのようにオーストラリアは日本のゴールに迫ってくる。
 
自陣に押し込まれる時間が長くなってきた日本のハリルホジッチ監督は、後半29分に最初の交代枠で乾を下げ、MF原口元気をピッチに送り出した。後半32分、中盤でボールを持った原口が一気に相手陣内をドリブルで進んで行く。左サイドからクロスを入れると、ゴール前の密集するDFの間を抜けたボールが攻めあがった井手口に届く。井手口がシュートを放ったが、ボールは戻ってきたDFに止められて得点にはならなかった。
 
2点目の欲しい日本が、待望のゴールを得たのは後半41分だった。中盤で原口が相手との球際の競り合いを制し、ボールを井手口につなぐと、井手口がDFをかわしてミドルシュートを放つ。これがゴールに決まり、日本がリードを2点に広げた。
 
追加点を得た日本は、後半42分に大迫をベンチに下げて、FW岡崎慎司をピッチに送り出す。同44分には最後の交代枠を使って浅野を下げ、FW久保裕也を投入した。交代でピッチに入ったフレッシュな選手たちは、最後までプレッシングを怠らずにオーストラリアにボールを運ばせない。
 
このまま2-0で勝利した日本は、アウェーでのサウジアラビアとの最終戦を待たずに6大会連続のW杯出場を、初めてホームの大観衆の前で決めた。


河合拓

2002年からフットサル専門誌での仕事を始め、2006年のドイツワールドカップを前にサッカー専門誌に転職。その後、『ゲキサカ』編集部を経て、フリーランスとして活動を開始する。現在はサッカーとフットサルの取材を精力的に続ける。