ターンオーバーからの得点と徹底したインサイドへのダブルチームが功を奏し、アルバルク東京が富山グラウジーズを撃破
徹底したダブルチームで高さの不利を打ち消すA東京 27勝7敗で東地区2位のアルバルク東京が8勝28敗で中地区最下位に沈む富山グラウジーズと対戦した。 A東京はトロイ・ギレンウォーターとアンドリュー・ネイミックが契約解除となり、新たに2人の外国籍選手の獲得を発表しているが、この試合には間に合わず。外国籍選手がディアンテ・ギャレットのみと苦しいチーム状況となった。対する富山もエースの城宝匡史が右手のケガの影響で先発メンバーから外れた。 互いに万全でないチーム同士の戦いは、総合力で上回ったA東京が、勝負どころで突き放し勝利を収めた。 A東京は先発の5人がそれぞれの役割をこなし、第1クォーターで全員得点を記録し先行する。だが富山も、インサイドとアウトサイドがバランス良く機能して接戦に持ち込む。 前半を38-33とリードして折り返したA東京は、後半に入るとディフェンスからペースをつかむ。外国籍のビッグマン2人が不在でインサイドの高さが弱点となったA東京だが、そのインサイドに富山がボールを入れると、逆サイドの選手がダブルチームでプレッシャーをかけ、高さの不利を打ち消した。 冷静にパスを回されてアウトサイドでフリーのシュートを許す場面もあったが、徹底したダブルチームに加えて、インサイドへのパスを先読みしたスティールで主導権を握った。菊地祥平がスティールから速攻を決め、伊藤大司が3分強の出場で7得点と勝負強さを発揮。要所を締めて、14点のリードを奪い最終クォーターを迎えた。 勝負どころでのパフォーマンスで明暗が分かれる それでもオン・ザ・コート数が「2」となった第4クォーター、デクスター・ピットマンにインサイドを攻められ、ドリュー・ヴァイニーには3ポイントシュートを沈められるなど、開始2分で2-9と走られ、7点差まで迫られたところでタイムアウトを取る。 ここから宇都直輝の速攻を止めて、ザック・バランスキーがカウンターを決めると、その直後には菊池がスティールから自ら持ち込んで得点を挙げる。その後もしつこいダブルチームを継続しつつ、ゾーンディフェンスも織り交ぜ、ピットマンとヴァイニーに対応した。 そして残り時間6分を切ったところで、菊池がピットマンから4つ目の個人ファウルを誘う。この後もピットマンはコートに立ち続けるが、ファウルアウトを恐れて思い切ったプレーができなくなり、富山のインサイドは沈静化。富山の勢いは目に見えて衰えてしまった。 この隙をA東京は見逃さなかった。オフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを重ね、速攻で得点を重ねるなど、難しいシュートを選択せず効率の良いオフェンスを展開。相手のターンオーバーを確実に得点に繋げるなど、最後まで集中したプレーで得点を重ね、富山を突き放した。 勝負どころでの力の差が顕著に表れ、終わってみれば82-66でA東京が勝利した。 外国籍選手不在の状況が、A東京の結束力と集中力を高めた ギャレットがゲームハイの17得点を記録。バランスキーが15得点、菊池が13得点と続き、5人が2桁得点と全員バスケで勝利した。また、富山の14ターンオーバーに対しA東京は5と、堅実なゲーム運びが光った。 伊藤拓摩ヘッドコーチは「苦しい状況ですが、選手がしっかり集中してリーダーシップを取ってやってくれたことが結果に繋がった」と集中力が絶えなかった選手を称えた。 要所でのスティールや速攻など、攻守に存在感を見せた菊池は全員バスケでの勝利を強調した。「外国籍選手2人の分を誰か一人でカバーするのではなく、チーム全員、残っている11人でちょっとずつカバーしようということで、どのように貢献できるかと考えて練習してきました。その結果がうまく出せました」 敗れた富山のボブ・ナッシュヘッドコーチは「特にインサイドでアドバンテージを握れる機会があったにもかかわらず、ゲームを通してチームの姿勢は満足できるものではなかった」と試合運びのまずさを悔いた。 「宮永(雄太)、岡田(優)、ヴァイニーのパフォーマンスは、試合中盤での助けになったと思います。ベンチで29点というのも評価できます」とベンチメンバーの働きを収穫として挙げたが、これは先発の出来の悪さの裏返しでもある。宇都、水戸健史、山崎稜の日本人スターター3選手で12得点。インサイドの優位にこだわりすぎた結果、ガード陣が積極性を出せなかった。 結果的に外国籍選手不在の状況は、A東京の結束力と集中力を高め、勝利を呼び込んだと言える。 対照的に富山は終盤の10点差の場面で、岡田がファウルをされたとアピールして、守備に戻らない間に速攻を決められたり、審判のコールと戦うなど、悪い時の富山の姿が何度か見られた。このあたりも試合運びの課題である。 19日の第2戦までに富山がどれだけ課題を修正できるか。第2戦は今日13時ティップオフ。
文=丸山素行 写真=B.LEAGUE