フィールドゴール64.7%と好調の三遠ネオフェニックスに対し、ポゼッションゲームに持ち込んだ栃木ブレックスが競り勝つ
ドジャーが前半で退場、しかし三遠はここから本領発揮 2月19日、栃木ブレックスがホームで三遠ネオフェニックスと対戦。第2戦は終盤までもつれる熱戦となったが、要所をしっかり得点を決める安定の試合運びで93-88と点の取り合いを制した。 栃木はジェフ・ギブスが24得点、古川孝敏が21得点とそれぞれシーズンハイを記録。ライアン・ロシターが20得点、田臥勇太も14得点と、中心選手たちが確実に得点を重ねたのが光った。一方、三遠は主力のロジャー・ドジャーが前半でテクニカルファウル2つによって退場処分を受ける中、ジョシュ・チルドレスが29得点、かつて栃木に在籍した田渡修人が古巣相手に2日連続の2桁となる14得点と奮闘するが、あと一歩及ばなかった。 前日の試合、栃木は第1クォーターで24-8と圧倒すると、そのまま93-69と余裕の勝利を収めた。そしてこの日も栃木は、第1クォーターで計5つのスティールを奪うなど守備からリズムを作ってシュートを次々と沈め、29-18と主導権を握る。 さらに第2クォーター残り約5分半、三遠のエースであるドジャーが退場に。これで栃木がより優位になるかと思われたが、ここから三遠は、チルドレス、オルー・アシャオルと残りの外国籍選手の奮闘で踏ん張り、栃木の8点リードで前半を終える。 第3クォーターに入ると、三遠はチルドレス、アシャオルに加え、日本人選手も積極的にインサイドへのアタックをしかけ高確率でシュートを決めていく。徐々に試合の流れは三遠に傾き、第4クォーター残り約3分には栃木のリードは3点にまで縮まった。 しかし、この勝負どころで栃木はギブス、ロシターがインサイドで確実に得点を挙げ、リードを広げる。粘る三遠も残り35秒に田渡の3ポイントシュートで3点差と食い下がるが、直後に栃木は田臥が速攻を決めてすぐに5点差とし勝負を決めた。 ターンオーバーの少なさ、オフェンスリバウンドの多さ 栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは、「良い週末にすることができました。(昨日の負けから)三遠がよりタフに必死になって勝利をつかみにくることは分かっており、その中で勝ち切ることができたのは良かった」と語る。 「ただ、後半での55失点は、自分たちの理想とするスタイルでの勝ち方ではなかったです。ディフェンスが崩れるところが多く、ドリブルで崩してくるチームに対していかにローテーションや、ヘルプで対応するかを改善していかないといけない」と総括。 接戦をモノにしての勝利には満足しているものの、リーグ屈指の堅守である栃木らしからぬ後半の失点の多さを課題に挙げた。 この試合、三遠はチーム全体でのシュート成功率が51本中33本成功の64.7%と、50%で十分に高確率であるバスケットボールにおいては普通なら試合に勝てる見事な数字だ。それでも栃木が勝てたのは、指揮官が振り返ったようにターンオーバー数、リバウンド数で相手を大きく上回り、単純にシュート回数で圧倒したからだった。 「ただ、ターンオーバーの数で相手より11本少なく(栃木8、三遠19)、オフェンスリバウンで11本上回りました(栃木16、三遠5)。その結果として相手よりシュートを21回多く打つことができ、ポゼッションゲームで勝てたことは勝因となりました」 また、ウィスマンHCは、三遠について「オフェンス能力が高いチーム。チルドレスはNBAでも実績のある選手であり、抑えるのは難しい」と高く評価した。「よく訓練された素晴らしいチーム。22勝を挙げ、川崎相手に3勝している。若い指揮官が素晴らしい仕事をしています。きっとプレーオフに出てくるでしょうし、プレーオフではできれば当たりたくない相手です」 チルドレスは田臥を称賛「昔と同じで素晴らしい」 強豪相手にあと一歩届かなかった三遠の藤田弘輝ヘッドコーチは「昨日は出だしから終始持っていかれましたが、今日は良いファイトができたと思います」とコメント。敗因についてはこう分析する。「相手の厚みのあるディフェンスに対して、今日もターンオーバーが多く、そこから簡単なシュートにつなげられてしまいました。点数は取れているが、取った後で失点している。決定力の高い強豪相手に、しっかりチームで我慢して守れるようにならないといけない」 そして、ゲームハイの29得点を挙げたチルドレスは、「リバウンドとターンオーバーが勝てなかった要因でした。今後は、特にディフェンスの面でもっと他の選手との連携を高めていきたい。自分たちはスモールチームなので、個人としてはよりリバウンドで頑張りチームを助けていきたい」と試合の総括と、これからに向けての課題を述べる。 また、同じ日にNBAデビューを果たした田臥について「彼と戦ったことは覚えている。再び対戦できたのは良い機会でした。今日の彼は昔と同じで素晴らしいパフォーマンスだった」と称えた。 勝った栃木はこれで6連勝。水曜にはアルバルク東京との『地区首位決戦』を迎える。ウィスマンHCは意気込みをこう語る。「A東京のようなグットチームに挑戦する試合は好きです。相手は外国籍選手が2名入れ替わっており、彼らのスカウティングは難しい。そういった部分をしっかり乗り越えていきたい」
文・写真=鈴木栄一