いくらなんでもほどがある
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笑っちゃうくらいオープン戦で負けまくっている我が阪神タイガース。高校球児に本拠地を明け渡す関係もあって、連日甲子園に居座って試合をしていたというのに、まあよう負けること。
しかも負け方がだんだん悪くなっている。先発ピッチャーがまんべんなく叩かれ、そうかと思えば、今度は頼みのリリーバーたちが順番に打ち込まれる。二遊間がしまらない守備を見せれば、バッテリーエラーも続出。打つほうは打つほうで、連日の貧打にバントミス、淡泊なフライで淡々と試合が進んでいく。
「なんぼ負けてもオープン戦」ではあるけれども、一応みんな勝ちたいと思いながら試合しているんだろうから、モヤモヤは蓄積する。先を考えれば、ほどってものがある。
まあとにかく、出てきた課題に対応して、「ああ、オープン戦でよかった」と言えるようにしないといけない。だから、せっかくここまで積み上げてきたものであっても、機能しないのなら、リセットボタンを押すことも必要だ。
矢野〝アグレッシブ〟ファーム
たとえば、一軍と二軍の線引きについて。オープン戦を戦う中で、「打撃の調子」に気を取られ過ぎると、なんかいつの間にか大切なことが置き去りになってしまう。もう一度、二軍にいる戦力も見つめ直したい。
幸いなことに、矢野燿大二軍監督はなかなかいい感じで二軍を運営している。選手には徹底して「超積極的」を求める。結果を出せない自分を打破するために、「超積極的」になることは解決への第一歩になるだろう。
今季、阪神の選手が一軍で結果が出せないときは、躊躇なく「矢野〝アグレッシブ〟ファーム」で10日間の放牧に出そう。そこで、「オマエの持ち味はコレやんかあ」とあの甲高い声で発破をかけて、リフレッシュさせる。
矢野二軍監督には、少し離れたところからチーム全体を見て、金本監督に的確なアドバイスを飛ばしてほしい。去年にはなかった一二軍の完璧な意思疎通がチームにとって大きな武器になることを願っている。
甲子園で勝つための植田海
話が逸れた。リセットボタンの話に戻ろう。たとえば、基本戦略を見つめ直すことも大切。ファウルグラウンドが広く、浜風があるためライトフェンスが実測値よりはるかに遠いのが甲子園球場。投手、守備側に有利なのだ。そこを本拠地とするからには、「理想の猛虎打線」を追求するより、ロースコアゲームを勝ちきるゲームプランが現実的だ。
そうすれば、仮説「この打線なら打ちまくりの点取りまくり」をいったん取り下げるのも怖くない。だって「打線は水もの」、当たってくれりゃラッキーという程度。それよりも甲子園で勝ちやすい、確実にロースコアで勝つ戦略に徹したほうがいい。
少々不安はあるけれど、去年あった投手力のアドバンテージは、そう簡単に消えないはず。であれば、必要なのは1点を防ぐ守備力と、相手ディフェンスに重圧をかけて1点を奪える攻撃パターンだ。
1つには走力。「塁に出すとめんどくさい」と相手バッテリーに思わせれば、それだけでずいぶん打者は有利になる。しかもそいつが、出塁しようと心に決めれば簡単に打たず、粘りに粘ったりなんかする。もうそれだけで相手にリズムを渡さないし、味方の打者にとって、打ちやすい環境もつくれる。
1 二 上本(鳥谷)
2 遊 植田
3 右 糸井
4 一 ロサリオ
5 左 福留
6 三 大山(糸原)
7 中 俊介(中谷)
8 捕 梅野
9 投
こんなオーダーを基本としたほうが、現実的に勝利を呼び込みやすいのではないか。
2番に抜擢したい植田海は、開幕したウエスタンリーグでいい働きをして、一軍のオープン戦にまた呼ばれたという。もちろん上と下とでは実力差はあるけれど、戦った相手は二軍も非常に戦力充実しているソフトバンク。そうバカにしたもんじゃない。
ヒットも出ているが、それよりも四球をもぎとっているのと、盗塁を量産しているのが光る。なまじっかに打ちたい打ちたいではなく、「これが自分の生きる道」とばかりに、ファウル打ちで粘る。四球で出たら大きくリードをとってバッテリーを揺さぶる。もちろん守備は堅実で攻撃的。今の阪神にはそういう選手が欲しい。