イチローとともにオリックスを優勝に導いた助っ人ニール
1995年メジャーから鳴り物入りでオリックスへ入団したトロイ・ニール。当時のオリックス・ブルーウェーブの4番打者として、豪快なホームランを何度も見せてくれたバッターである。1番イチローから始まり田口壮、ニール、DJと繋がる当時のブルーサンダー打線には日本中が興奮したものだ。投げては平井正史が150キロを連発。野田浩司が1試合19奪三振をしたかと思えば星野伸之の超遅球や佐藤義則の「ヨシボール」が飛び出し、野球ファンはオリックスの虜だった。とにかくオリックスというチームの魅力がとてつもなく、選手全員のキャラも立っていたのを覚えている。(鈴木平は稲中卓球部にも出演していたほどキャラが立っていた)
そんな中オリックスの主砲ニールの存在感は際立っていた。名前の衝撃度こそD・Jに劣るものの、凄まじいパワーとすぐに激怒するそのファイティングスタイルに我々もヒリヒリさせられたものだ。
今も語り継がれるニール伝説
ニールといえば1番最初に思い出されるのが「トイレに行きたすぎてホームラン事件」だろう。お腹をこわし試合欠場を訴えるも、規定により一度はバッターボックスに立たねばならなくなったニール。とにかく早くトイレに行きたいがあまり、慌てて打った打球がホームラン。爆発寸前の状態でダイヤモンドを周り、そのままトイレに直行するというとんでもない逸話は今も野球ファンの間で語り継がれている。
しかしその後のニールの人生はまさに茨の道。オリックスを退団した後韓国の斗山ベアーズに入団するも一般市民と揉め事を起こし解雇。さらには離婚した奥さんへの養育費の支払いで起訴され、バヌアツで事業をするも2009年には国外退去を命じられる始末。そんな波乱万丈すぎるニールの現在はFacebookにて知ることができる。
現在51歳のニール。渋いナイスミドルになっている。心なしかその面影は柔らかくなっているようにも感じる。そして驚くべきは住所。なんとポートビラ在住になっているのだ。南国のリゾート地バヌアツの首都ポートビラ。以前退去させられたにも関わらず再びバヌアツへと舞い戻っている。と、この素晴らしい南国の地で人生を謳歌するニールの写真が出てきた。
なんとうらやましい。大きな魚を釣り、気が向けば音楽を楽しみ、素晴らしい景色を堪能する。もはや所さんだ。「全日本人が思う理想の生活」の頂点に君臨する所さんの暮らしを思うがままにニールは味わっているのだ。なんとうらやましいことだろう。(以前もここでカジキを釣るクラブを経営されていたので、現在もその仕事に携わっているのかもしれない)
注目すべきはこのFacebookには野球のことについてビタ一触れられていないのだ。いろいろな野球選手のSNSをみると、昔野球をしていた思い出をどこかに残す方が大半である。しかしニールは「野球の事は思い出したくない」と言わんばかりのスルーを貫き通しているのだ。第2の人生を全くの新しい自分として過ごすニールに様々な思いを感じる、そんなSNSであった。
バヌアツというストレスの一切ない素晴らしい地で、ニールが腹痛とは無縁の幸せな生活を送ることを切に願っている。