文/Baseball Crix編集部 写真/榎本壯三
選手の可能性を大きく広げる、国際大会での活躍

自らの才覚と強い信念、そして弛まぬ努力で状況を変え、時代を切り拓いていく大谷。その姿が米国に与えているインパクトは、開拓者・野茂英雄以来のものといっていいのではなかろうか。そのような立場に一気に上り詰めた大谷に、またひとつ自らの可能性を広げる大きなチャンスが訪れている。無論、WBCのことである。
いつの時代も、国際大会は選手の評価を世界的に高める“見本市”だ。1997年、当時大学生だった上原浩治(シカゴ・カブス)は、インターコンチネンタル杯でキューバを封じ、一気に世界的なプロスペクトにのし上がった。松坂大輔(ソフトバンク)も、2006年の第1回WBCで大活躍し、その年のオフ、ボストン・レッドソックスと大型契約を結んだ。ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)も、2009年の第2回WBCでの評価が、3年後のMLB挑戦に好影響したのは間違いない。
大谷はNPBにおける活躍だけを見ても、仮にMLBに挑戦することになれば、極めて高い評価を受けるだろう。しかしWBCでのプレー次第では、想像を絶する評価を勝ち獲る可能性もある。金額の話だけではない。大谷の夢への挑戦を、より高い自由度でMLB側に認めさせるための“パスポート”を懸けた戦い、今回のWBCはそんな一面もある。
大谷は、どんな思いでWBCを観てきたのか?

ところで、大谷本人は国際大会に対しどんな思いを抱いているのだろうか。かねてよりMLBへの憧れは伝えられてきたものの、日の丸を背負って戦うことへの大谷の思いは、多くは伝えられてこなかった。そんな大谷が1月20日、J SPORTSの侍ジャパン公認番組『結束!侍ジャパン』の収録に参加し、WBCへの思いを語った。
「(過去のWBCは)単純にかっこいいなと思っていましたね。(入団)1年目に入ったときもちょうどやっていましたから。こういう人たちのいるところで、野球ができるんだと。4年後は、自分もこういうところでやってみたいな、と思っていました」
聞き手を務めた野村弘樹氏に、目前に迫る今大会に向けた今の気持ちを聞かれると「ワクワクしています、いまは」と即答。プレッシャーを感じることなく、大舞台を心待ちにしている様子を伺わせた。