今年7回目を迎えた「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」。さいたま新都心で世界トップクラスの選手が疾走する姿を見られるとあって、自転車ファンの間ではすでにかなり認知されたイベントになっている。だが、一般的な知名度となると……正直疑問符をつけざるをえない。

「イベント自体はすばらしいし、7年目ともなると、それなりに人も集まります。ただこのイベントがもっと大きく育ち、さいたまを自転車の街として全国の人に知ってもらうためには、自転車ファン以外をどうやってひきつけるかということが重要です。チケットがどんどん売れるような競技ではないし、現在の知名度では放映権ビジネスも厳しい。このイベントがこれからも長く続き、多くの人を集めるには、ビジネスとしても成功することが不可欠。行政には、その視点がまだ足りないように感じました」

主催のさいたまスポーツコミッションの会長でもある池田氏は、「この日、ここでしか飲めない」オジリナルのビールを自ら販売。売上は上々、かなりの手応えがあったという。

「あるお客さんが『やっとこういう面白いものが出てきた』と言っていましたが、やっぱり会場まで足を運ばせるには、“ここでしか”が大切だと思うんです。ここでしか食べられないスイーツや料理、ここでしか買えないグッズなどが並んでいたら、それを目的に集まる人もいるはずですし、SNSでも情報が拡散するでしょう。自転車のイベントで、百何十万円もする自転車が集まっているわけですから、それを展示しても面白い。当日は、ご当地グルメがならぶ『さいたまるしぇ』も開催され盛り上がっていましたが、もっとエッジのきいたコンテンツがあってもよかったのではないかと思いました」

イベント当日に会場で販売され、好評を博したオリジナルビール

池田氏はベイスターズの社長時代、ファン以外を球場に呼ぶためにさまざまな施策を行った。

「地ビールを販売したり、ミシュランの星付きシェフに球場で売る唐揚げをつくってもらったり。トリュフ味の唐揚げは、大人気メニューになりました。他にもファームの選手寮で評判だったカレーライスを販売したこともあります。選手がいつも食べている料理が食べられるということでファンもすごく喜んでくれました。私は野球はツマミでいいと言っていたんです。自宅や居酒屋でテレビを観ながらビールを飲むんだったら、球場で生観戦しながらのほうが楽しい。そうやって軽い気持ちで足を運んでくれた人がファンになって、リピーターになっていくのが理想だと思います」

さいたま市民は、130万人。池田氏はそこに大きな可能性を感じている。

「公道を封鎖してレースを行うというダイナミックなイベントができるのは、まちがいなく行政の力があってこそ。だからこそ、これだけのことをやって、365分の1のイベントになってしまうのはもったいない。年間を通して『さいたま=自転車』、『さいたま=スポーツ』というイメージを作っていくことを考えなければならないと思います。そのために必要なのは、民間のフレッシュなアイデア。行政は底支えすることに徹して、民間にもっと面白いことをやってもらったほうがいいかもしれませんね」

スポーツイベント=観戦ではない。その空間、時間をいかに楽しませるか。スポーツビジネスの成功の鍵は、ファン以外の“にわか”をどれだけ巻き込めるかにかかっている。



取材協力:文化放送

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