ヒントはWBCにあり。テニス日本代表監督・添田豪が描く世界一へのビジョン

ー前回、監督になってからの気付きなどについてお話いただきましたが、監督に就任しようと決意されたタイミングで目標としたことを教えて下さい。

添田:世界一位ですね。今の選手達が実力以上を出せば全然行けると思いますし、やるからには優勝を目指しています。今のルール上、今年は無理なんですが、来年にはその権利があるので、来年にはそこまで持っていくという意思をもって監督になりました。

ー監督になって、気づいたことを教えて下さい。

添田:裏方の人が頑張ってくれている、ということですね。コーチの方々を含め、トレーナーの方もそうですけど、選手の時にもう少し感謝の気持ちを持っていればよかったなと。もちろん選手のときには、自分のことだけを考えていればいいとは思うんですけど、みんな自分の生活を犠牲にして選手のために尽くしているので。それをわかっていないと支える側としては虚しくなってしまう。そこは裏方になって気づいたことですね。
周りからは結構心配されるというか、「監督だとプレッシャーすごいんでしょ?大丈夫?」とかって言われるんですけど、全然大変じゃないですよ(笑)。責任がある仕事なのは、僕だけではなくみんなそうですし。むしろ今の仕事はめちゃくちゃ楽しいです。

ー監督という仕事において、一番楽しい瞬間を教えてください。

添田:勝てば評価される、そして負ければ評価が下がるっていう、その時間を感じているときですね。もちろん負けたらどうしようとかっていうことも考えますけど、それがないと面白くないです。ジュニアのときから、より勝ち負けで評価されるプロの世界を目指したいと考えていたので、昔からそういう真剣勝負が好きでした。そういった部分で今はやりがいを持ってできています。

ー今シーズン、成し遂げたいことを教えて下さい。

添田:9月のデビスカップで勝つということですね。そこが一番メインの仕事なので。選手に対してもデビスカップへ向けて仕向けていくつもりです。

ー選手にとって、デビスカップはどういう位置づけになるんでしょうか?

添田:正直あんまり出るメリットって無いんですよね。賞金も少ないし、ポイントも無いし。なのに「代表に選ばれたから出てください」っていうのは他のスポーツとは違う部分だと思っていて。代表選手であるメリットを与えないといけないと思っています。
今年の3月に開催された野球WBCがわかりやすいと思うんですけど、「ダルビッシュ選手のように世界で活躍している先輩から何かを学び取りたい」という向上心を刺激できるような、「あそこにいけば自分が成長できる」と選手に思ってもらえるような場にする必要があるかなと思っています。そのためにも、強い日本代表チームを作っていかないといけないと思いますし、野球のWBCやサッカーのW杯のような形で、デビスカップという大会、ひいては日本代表というチームが、全選手の憧れ、目標となるような場所にできるよう、貢献していきたいなと考えています。

ー現役時代の添田さんにとって、デビスカップはどういう存在でしたか?

添田:僕は結構団体戦が好きだったので、デビスカップも好きでしたね。積極的に出るようにはしていましたけど、気持ちだけだとなかなか難しくて。これだけ頑張っても報酬がないとなると、選手としてはやってられないって思うので、そこは違う形でサポートがあればいいなと思いますし、今の選手にはそうしてあげたいですね。

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日本のテニス界を選手という立場から引っ張ってきた添田豪が、今度は日本代表監督という立場から日本のテニス界をどう変革していくのか、現役を引退してもなお、添田豪の活躍からは目が離せない。

日本のテニス界を盛り上げるための取り組み

添田豪氏のコメント
「22年の10月の全日本で現役を引退し、デビスカップの日本代表監督に就任することとなりました。当面の目標としては、デビスカップで日本代表を優勝に導き、日本国内のテニス熱を高めるというところを掲げています。また、野球のWBCやサッカーのW杯のような、選手にとってもデビスカップひいては日本代表チームが、全選手の憧れ、目標となるような場所にするべく、貢献していきたいなと考えています。

これまでは現役選手として、日本のテニス界を発展させていくべく、このG.S CLUB(ファンの方向けのメンバーシップ)という取り組みを続けてきましたが、これからはこの場を活用して、監督という立場から、どういった活動ができるのか模索しながら、メンバーの皆さんに自分の思いを伝えつつ、また皆さんの考えを知りたいなと考えています。G.S CLUBの一員となって、日本のテニス界を盛り上げていく活動にご助力いただけると嬉しいです。」

添田豪オフィシャルメンバーシップ|G.S CLUB

22年の10月の全日本で現役を引退し、デビスカップの日本代表監督に就任することとなりました。このG.S CLUBという場を活用して、監督という立場から、どういった活動ができるのか模索しながら、メンバーの皆さんに自分の思いを伝えつつ、また皆さんの考えを知りたいなと考えています。

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Vol.1はこちら

「妥協している自分が嫌だった」テニス・添田豪が現役引退を決意したきっかけ Vol.1

長年、日本のテニス界を牽引してきたて添田豪。昨年の全日本選手権をもって現役を引退し、テニスの国別対抗戦であるデビスカップの日本代表監督に就任した。今回は、現役引退を決意したきっかけと、自身の「指導者像」について語った。

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VictorySportsNews編集部