貴乃花の大きすぎる負の遺産
2019年9月25日。スポーツ庁の記者クラブに一通の文書が届けられた。差出人は十両力士・貴ノ富士の代理人弁護士。その概要は、相撲協会側と師匠である千賀ノ浦親方から”引退を勧告”を受けている。その処分は不当に重すぎるのでスポーツ庁に適切な処置を求める上申書を提出したというものだった。
このちょうど1年前、2018年の9月25日は忘れもしない日だ。貴ノ富士の本来の師匠、当時の貴乃花親方が突然「引退会見」なるものを開いた日だからだ。新聞、テレビ、雑誌、ネットと各メディアがてんやわんやの大騒ぎとなり、希代の横綱の相撲協会退職へとつながっていったまさにあの日から1年、弟子がとんでもないことを言い出したのだ。もちろん意図していたわけではないだろうが、奇妙な偶然が貴乃花の負の遺産という側面を際立たせることになる。
VICTORY