アメリカのドナルド・トランプ大統領は、1月27日にシリアからの難民受け入れを停止し、中東やアフリカの7カ国からの入国を一時的に禁じる大統領令に署名した。この大統領令が発令されたことにより、NBAの各クラブも対応が迫られている。

 今回の制裁措置によって、イラン、イラク、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、スーダンの7カ国が入国禁止の対象国となった。現在、NBAにはソン・メイカー(19歳)、ルオル・デン(31歳)という2人のスーダン出身選手が在籍しており、両選手の所属するミルウォーキー・バックス、ロサンゼルス・レイカーズの両チームは対応に迫られている。

 メイカーとデンは、それぞれオーストラリア、イギリスの国籍を取得している。しかし、27日に発令された制裁措置では、アメリカの永住権カード(グリーンカード)を保有していても、一度アメリカ外に行き再入国する際には”個別確認”が必要になる。そのため、他の国籍を有していても、再入国できないのではないかという懸念があるのだ。

 現在、NBAにはカナダに本拠地を置くトロント・ラプターズも参戦している。バックスは27日にカナダのトロントでラプターズとのアウェーゲームを行い、翌28日にはホームでボストン・セルティックスとの試合を終えた。今回の遠征後メイカーは無事にアメリカへ再入国できたが、もしプレーオフで再びバックスがトロントでの試合を行うことになった場合は、どうなるかは不透明な状況だ。

 スポーツ専門局のESPNによると、バックスの広報担当者は「現在、どのようなことを想定すればいいか、情報収集に努めている」と説明しており、対応に迫られている。大統領就任直後から、多くの大統領令を乱発しているトランプ氏。スポーツ界は、今後もその対応に迫られる場面が増えてきそうだ。

【ソン・メイカー】1997年に南スーダンのワーウで生まれる。1983年から2005年まで続いた第二次スーダン内戦の戦火から逃れるためオーストラリアへ渡る。14歳でバスケットボールを始め、2016年にドラフト10位でミルウォーキー・バックスに入団した。

【ルール・デン】1985年に南スーダンのワーウで生まれる。第二次スーダン内戦によってエジプトへ移住。そのときにバスケットボールに出会う。その後、イギリスに移住して本格的にバスケをプレーし始め、16歳のときにアメリカへ渡る。2004年にフェニックス・サンズへ入団するも、直後にシカゴ・ブルズへトレードに出される。その後、クリーブランド・キャバリアーズ、マイアミ・ヒートと渡り歩き、2016年からロサンゼルス・レイカーズでプレーしている。


VictorySportsNews編集部