フォルラン以来のビッグネームが来日へ

 ヴィッセル神戸は3月2日、クラブの公式サイトで元ドイツ代表のFWルーカス・ポドルスキを完全移籍で獲得したことを発表した。ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランが、2014年にセレッソ大阪に加入したとき以来のビッグネームのJクラブ入りは、神戸だけではなく、日本中のサッカーファンの注目を集めている。

 ガラタサライは、クラブの公式サイトで移籍金が260万ユーロ(約3億1000万円)であることを発表した。また、一部報道ではポドルスキとの契約は、延長オプション付きの3年契約で、年俸は500万ユーロ(約6億円)と伝えられている。これまでも神戸は、元デンマーク代表FWミカエル・ラウドルップ、元トルコ代表FWイルハン・マンスズ、元カメルーン代表FWパトリック・エムボマといったビッグネームを獲得してきた。久しぶりの世界的名手の加入に伴い、ポドルスキ加入のリリースには、三木谷浩史代表取締役社長もコメントを寄せている。

三木谷浩史 代表取締役会長コメント 「このたび、世界的なストライカーがヴィッセル神戸に加わることを大変嬉しく思います。ポドルスキ選手は ケルン、バイエルン・ミュンヘン、アーセナル、インテル・ミラノ、ガラタサライと欧州各国の名門クラブの主力として活躍してきました。ドイツ代表では129試合に出場し48得点を挙げ、FIFAワールドカップでは、2006年大会で最優秀若手選手に選ばれ、2014年大会で優勝するなど数々のタイトルを獲得したワールドクラスの選手です。ヴィッセル神戸が優勝を勝ち取るために、ポドルスキ選手が大いに活躍してくれることを期待しています。  先に発表した楽天とFCバルセロナとのパートナーシップも合わせ、Jリーグ、日本サッカー界がよりグローバルな視野を持って発展するきっかけとなることを目指します。今後もヴィッセル神戸へのご声援をよろしくお願いいたします」
ガラタサライ(トルコ)よりFWルーカス ポドルスキ選手 完全移籍加入決定のお知らせ

3度のW杯に出場したドイツ・サッカー史でも有数のストライカー

©Getty Images

 ポドルスキは、育成に定評のあるドイツのケルンの下部組織で才能を磨き、2003年にトップチームデビューを果たす。2006年にはドイツを代表する名門バイエルンに完全移籍し、07-08シーズンはブンデスリーガを制覇。その後、2009年6月にケルンに戻ると、12-13シーズンにはイングランドの名門アーセナルへ移籍した。ここでFA杯を制すと、14-15シーズンの後半戦はイタリアの名門インテルに期限付き移籍している。そして2015年7月に、現所属クラブであるトルコのガラタサライに加わった。

 過去にもJリーグでは、MFウーベ・バインやDFギド・ブッフバルトら、7人のドイツ人選手がプレーしていた(ブラジルとの二重国籍だった元C大阪のFWカカウは除外)。彼らのうち6人は日本で複数年、プレーしている。これまでJリーグには、日本の環境に馴染めずに力を発揮できないまま帰国する外国人選手が少なくなかったが、ドイツ人選手は、比較的、順応しやすいと言えるだろう。さらに、ドイツ代表選手の多くは自国のブンデスリーガでプレーして、国内から出ないケースが多いが、ポドルスキは前述のように3カ国を渡り歩いている。欧州と日本では文化が大きく異なるとはいえ、そうした経験もスムーズな適応に役立つだろう。

 クラブでも輝かしい経歴を残しているポドルスキだが、やはり特筆されるのは、ドイツ代表での実績だ。2004年6月にドイツ代表デビューを果たしたポドルスキは、2006年、2010年、2014年の3度のワールドカップに出場。2014年のブラジル大会では、背番号10番を付け、世界チャンピオンに輝いている。また、EUROにも4度出場するなど、長くに渡ってドイツ代表で活躍を続けてきた。通算129試合出場、通算48ゴールという記録は、どちらも過去4度のワールドカップ制覇をしているドイツ代表でも、歴代3位になっている。

 ポドルスキは左利きであり、強烈なキックが最大の持ち味。本職はセンターFWだが、スピードも豊かで、攻撃的な役割を求められるのであれば、サイドや2列目でも、ハイレベルなプレーを見せる。現在31歳と、働き盛りの年齢であり、J1リーグでの大活躍に期待がかかる。

 神戸は開幕戦で、昨シーズンのJ1得点王でもあるFWレアンドロが負傷。全治6カ月と診断されており、すぐにでもポドルスキをチームに加えたいところだ。しかし、新10番の加入は、トルコでのシーズンが終わる6月以降になりそうだ。神戸移籍が発表された後、ポドルスキは自身のインスタグラムで「僕は今シーズン終了後、日本のJリーグクラブ、ヴィッセル神戸に加入することが決まった」と、コメントを発表している。

 Jリーグの第1次選手登録期間は、3月31日までとなっている。もし、ポドルスキの言葉通りに3月中の加入が実現しなければ、Jリーグでプレーできるのは、次の登録期間が始まる7月21日以降となる。そうなった場合、最速でのJリーグ出場は7月29日の大宮アルディージャ戦になる見込みだ。日本のみならず、世界中から注目を集めているビッグネームの神戸移籍。来日後、どのようなプレーを見せてくれるのか。Jリーグにまた一つ楽しみが増えた。


VictorySportsNews編集部