文=李リョウ

不規則な波への瞬時の対応が求められるビーチブレイク

 リオデジャネイロで行われるCT第4戦「オイ・リオ・プロ」はビーチブレイクと呼ばれるタイプの波が特徴です。

 海底の形質が砂で、海岸線がほぼ一直線のために生まれるビーチブレイクは、沖からのスゥエル(うねり)が砂の海底で持ち上げられて一気にブレイク(波の崩れ方)するダンパーという波質。これは乗れる距離が短く、しかも右か左か進む方向も定まらないため、不規則なブレイクに合わせた一瞬のジャッジメントとレスポンスが求められます。さらにオンショアウインドという海風が吹くとチョッピー(荒い波面)と呼ばれる状況になり、ブレイクがさらに予測不能になってしまいます。

 ちなみに東京オリンピックの開催予定地である千葉の志田下ポイントも、このビーチブレイクです。また日本の多くのサーフポイントもこのタイプの波ですから、リオのビーチブレイクで世界最高水準の技術を持ったCTの選手たちがどう波をサーフするか、そのテクニックを勉強するという意味においても興味深い大会と言えます。

 CT選手は全員が高度なテクニックを備えているので、どのようなタイプの波でも素晴らしいサーフィンをすることができます。全員に優勝のチャンスがあり、予測するのは困難です。しかし、あえて挙げるならビーチブレイクを得意とし、コンデションが悪くてもしっかりした対応能力を持つサーファーが有力と言えるでしょう。その点を踏まえて私が注目する選手を5名紹介したいと思います。

©Getty Images

ジョンジョン・フローレンス(アメリカ)

 テイクオフ(波に乗ってサーフボードに立つこと)後の最初のボトムターンからトップターンまでに無駄がなく、スピーディーに波のクリティカルなポジションで技が決まるとジャッジの評価が高くなります。このジョンジョンのサーフィンはまさにその好例です。サーフする距離の短い波で2度のトップターンを見事に決めて9.60というポイントを出しました。

Florence Hacks Up Postinho

A couple of radical whips from John John Florence scored big as his momentum built in the Final.

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フェリペ・トレード(ブラジル)

 2015年のリオプロで優勝したフェリペ・トレードが披露した10ポイントです。5人のジャッジ全員が10ポイントをつけました。フェリペはCT選手の中でも最軽量。体重が軽い選手は波をキャッチするのが早くビーチブレイクに有利だとされています。もしリオで波のコンデションが小さい展開になったとすれば、彼の優勝の可能性は高くなります。地元ブラジルということもあり、調子の波に乗ると再び優勝という可能性も出てくるでしょう。

2015 Oi Rio Memorable Moment: Filipe Toledo's Perfect Air

Filipe Toledo launches an enormous air-reverse for a perfect 10 in the Oi Rio Pro Final.

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ガブリエル・メディナ(ブラジル)

 2014年の世界チャンピオン、ガブリエル・メディナはブラジルへ初の世界タイトルをもたらしました。CT選手40名のうち現在11人を占める“新興勢力”ブラジルの原動力と言えます。その天才的なサーフィンからすれば、優勝の最有力候補であるのはもちろん、この大会が2度目の世界タイトルの足がかりになるかもしれません。

Medina Electrifies Home Crowd

Another Gabriel boost garnered one more big score, and an even bigger applause.

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カノア五十嵐(アメリカ)

 昨年のCTデビューで大活躍したカノア五十嵐。最終選のパイプラインマスターズでの準優勝はまだ記憶に新しい方も多いと思います。2017年シーズンもマーガレットリバーのビッグウェーブで3度の世界チャンピオンに輝くミック・ファニングを破り、そのポテンシャルの高さを証明しました。カノアはカリフォルニアのハンティントンというビーチブレイクで育ち、この波質を得意としています。ステディな試合運びとミスのないサーフィンはリオでのダークホースです。映像は昨年のリオです。最悪のコンデションのなかで叩き出した8.33というエクセレントスコアです。

Kanoa's Big Finish in Rio Round Two

Kanoa Igarashi finds a late gem to topple Josh Kerr in Round Two.

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テイラー・ライト(オーストラリア)

 昨年世界ウイメンズのチャンピオンに輝いたテイラー・ライトは、このリオで3勝目を挙げてランキングの独走態勢を築きました。彼女は現在3位ですが、もしリオで勝てば1位に返り咲いてイエロージャージを着る可能性も出てくるため、相当な気合いを入れてこの試合に臨むはず。映像は昨年のファイナルで優勝を決めた8.66のエクセレントスコアです。

Wright's Rhythm in the Rio Final

Tyler Wright keeps up her momentum with another huge score to open her account in the final.

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 さて、今年のオイ・リオ・プロは現地時間の5月9日から20日まで開催されます。試合の模様はWSLのホームページでライブ中継されます。また WSLに登録すればメールでの速報も受信することが可能です。大会の行方が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

http://www.worldsurfleague.com

出典ビデオ映像 worldsurfleague.com


李リョウ

サーフィンフォトジャーナリスト。世界の波を求めて行脚中に米国のカレッジにて写真を学ぶ。サーフィンの文化や歴史にも造詣が深く、サーファーズジャーナル日本版の編集者も務めている。日本の広告写真年鑑入選。キャノンギャラリー銀座、札幌で個展を開催。BS-Japan「写真家たちの日本紀行」出演。自主製作映画「factory life」がフランスの映画祭で最優秀撮影賞を受賞。