スタート前は敗戦覚悟 松山英樹はドロー発進
◇世界選手権シリーズ◇WGCデルテクノロジーズ マッチプレー 初日(22日)◇オースティンCC(テキサス州)◇7108yd(パー71) 負けなかった、という結果は収穫のはずだ。4人1組で総当たり戦を行う予選ラウンドの初日、松山英樹はジム・フューリック戦をドローで終えた。ショットがまとまらず、相手のミスに助けられる展開に終始し、笑顔なく18ホールのプレーを振り返るばかりだった。 オールスクエアで迎えた最終18番、“入れれば勝ち”の2m足らずのバーディパットは、カップの左をすり抜けた。天を仰ぎ、引き分けを受け入れる。ただし、仮にチャンスを生かして白星を拾っていても、松山の表情はそう変わらなかったかもしれない。 「最後、決めていれば勝ちだったんですけど…それまでにやられても仕方のない内容だった」。前週の「アーノルド・パーマ招待byマスターカード」から続く、ショットへの不満と不安は解消されないまま。スタート前から「期待はゼロだった。負けるだろうなと思っていた」という。序盤1番、4番(パー3)で記録したアップはいずれもフューリックのミスによるもの。松山1アップで入った6番では、1Wで左サイドのOBゾーンに突っ込み、リードを失った。 折り返しの9番では、フェアウェイからの2打目をピンに絡めてバーディを決めたが「それが続かないのが今の状態なんで」と、ため息は大きくなるばかり。後半も「お互いあまり良いプレーがなかった。パット自体はそんなに悪くないが、なかなか入ってくれなかった。ジムもそんな感じで…お互い様かなと思います」と見せ場はわずか。「負けなかったので、試合としては(上位進出のチャンスが)つながっていくと思うが、内容はまったくつながらない」。ラウンド後の居残り練習が、輪をかけて長時間に及んだのも当然のことだった。 16のグループの各組1位が決勝トーナメントに進出する大会。予選突破のためには2日目の白星が必須とみられる。相手はロス・フィッシャー(イングランド)。実績で松山が上回っていることは疑いようがないが、「全然どんな選手かも知らないですし、普通に自分のプレーができたら」と静かに言った。頭にあるのは、自分の状態を上げること以外ない。(テキサス州オースティン/桂川洋一)
フューリックと握手を交わす松山英樹。消化不良の引き分けに終わった