ジェイソン・デイが号泣 棄権し末期がんの母のもとへ
◇世界選手権シリーズ◇WGCデルテクノロジーズ マッチプレー 初日(22日)◇オースティンCC(テキサス州)◇7108yd(パー71) ディフェンディングチャンピオンのジェイソン・デイ(オーストラリア)が思わぬ形で姿を消した。予選ラウンドの初戦、パット・ペレスとのマッチを途中棄権。2日後に肺がんの手術を受ける母・デニングさんのもとに急きょ向かうことを決めた。 デニングさんは今年の初め、オーストラリアで1年の余命宣告を受けた。デイは前週、自宅のある米オハイオ州に母を呼び寄せ、別の医療機関での検査の結果、オハイオ州立大のがんセンターで24日(金)に手術をすることになった。 デイは悲しみの気持ちを胸に押し込めて“強行出場”したが、6ホールを終えて3ダウンとしたところで、コースを去ることを申し出た。その後、会見に出席し涙ながらに「いまはゴルフをすることを考えるのすら極めて難しい」と話した。 フィリピン出身のデニングさんは、デイが12歳の時に父のアルビンさんが胃がんで死去した後も、献身的に息子のゴルフ人生をサポートしてきた。全財産を投げ打ってまで、デイをゴルフスクールのある学校に入れ、そこで才能を開花させた。「とても感情的になってしまう。父が亡くなった時に一度経験しているから、どんな気持ちになるか分かる。(両親が)もうひとり亡くなってしまうかと思うと、本当につらくて仕方がない」とデイ。「母のためにすべてを尽くしたい。彼女の存在は僕がゴルフをする理由でもある」 デイは2週後の「マスターズ」の出場を予定しているが「母の手術が成功し、すべてがうまくいってここに戻ってきたい」と話すにとどめた。(テキサス州オースティン/桂川洋一)
ジェイソン・デイは会見で棄権の理由を語り、涙を流した(Matt Hazlett/Getty Images)