粘り強く取り組んだチームオフェンスが開花した琉球ゴールデンキングス、『サバイバル対決』に連勝して西地区2位に浮上!!
『ディファレンスメーカー』岸本の活躍で琉球が押し切る 4月2日、琉球ゴールデンキングスがホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦。第1クォーターからリードを奪うと、50%以上のシュート成功率が示すように効果的なオフェンスを展開し83-69で快勝した。これで西地区の直接対決に連勝した琉球は、西地区で単独2位に浮上している。 試合序盤、両チームともにシュートを決めきれず第1クォーター残り約6分で琉球の4-2とロースコアの出だしとなる。しかし、ここから琉球が山内盛久の速攻、津山尚大の3ポイントシュートなどで加点する一方、名古屋Dはリズムがつかめず。第1クォーターで15-8と琉球が先行すると、第2クォーターも優位を保ち、前半で39-29とリードを2桁に広げる。 後半に入ると、連敗を避けたい名古屋Dも意地を見せる。ともにオン・ザ・コート「1」となる第3クォーターに張本天傑がゴール下での力強いアタックなど、このクォーターだけで10得点を稼ぐ。そして終了直前、中東泰斗がスティールから3ポイントシュートを沈め、5点差にまで縮めた。 嫌な流れで第4クォーターに突入した琉球だが、岸本隆一、ラモント・ハミルトンによる連続得点により、開始1分で再びリードを9点とする。さらに、ここから岸本が3ポイントシュートを2本連続で決める。 「ディファレンスメーカー(違いを生み出せる選手)でミドルシュートをよく決め、重要な3ポイントシュートを2本連続で決めた」。このように名古屋Dのレジー・ゲイリーヘッドコーチが称えた岸本のビッグプレーで、琉球はリードを15点にまで広げると、そのまま押し切った。 あきらめず構築してきたチームオフェンスが完成の域に 2試合連続で3ポイントシュートの成功率が50%を超えての80得点以上と、オフェンス面が目立っての連勝となった琉球だが、伊佐勉ヘッッドコーチは今日については、何よりもディフェンスの奮闘が勝利をもたらしたと見ている。 「出だしからエナジー全開でやってくれ、ディフェンスでゲームを作れました。オフェンスが重たい時もディフェンスで我慢できることで、結果的に相手がじれる。そしてこちらのオフェンスが良くなり、ああいう点数になりました」 そして、「特に今日はボールをもらう前のファイトが素晴らしかったです。特に金城(茂之)など相手がもらいたいところの一歩外でボールを持たせていました。サイズが小さい分は、フィジカルと運動量でカバーしていくしかないですが、そういった意味でも今日はチームディフェンスが素晴らしかったです」と語る。 この2試合、琉球はエーススコアラーのレイショーン・テリーが先週に続いて欠場すると、2月から不動の先発として得点面での貢献が大きかった田代直希までも故障でコートに立てず。頼りになる2人のスコアラーを欠く連戦となったが、ボールをよく回してのチーム全体で攻めるオフェンスで、2人がいない穴を感じさせなかった。 指揮官はオフェンスの手応えについてこう語る。「練習から取り組んでいることが出ています。プレーメーカーが仕掛け、フィッシャーにパスを出すのですが、そこで強いチームは当たり前のようにヘルプディフェンスがきます。そこからのパスを、これまでは山内(盛久)、金城などしか出せていなかった。しかし、今は特に津山がそこで周りを見て、パスを出せるようになってきました。あとシュートは思いっきり打つだけです」 主力不在に発奮した岸本「ペイントを攻める意識で」 また本日、ゲームハイの22得点を挙げた勝利の立役者となった岸本だが、自分からどんどん仕掛けてオフェンスに流動性をもたらすことを重視していた。 得点面よりもテリー、田代の不在を受け、「点数を取ること以上にゲームを作らなければいけない」と感じていた岸本は、「とにかくゴール下に侵入していかなければ、オフェンスが回らないと感じていました。その中で昨日、今日と自分から得点を取りにいくよりも、ペイントを攻める意識を強く持っていまました。2日間ともに意識した通りのプレーができて良かったです」 「オフェンスがスムーズに流れるようになったことで、チームとしてすごく良い方向に進んでいます。やることは変わらないので毎試合、熱く、かつ冷静に戦っていけたらいいと思います」と岸本が語るように、これまで苦しい状況でもブレずに追求していたチームオフェンスが花を開きつつあることを改めて実証した今回の連勝となった。 一方、苦しい戦いが続く名古屋は、1日の試合で大黒柱のジャスティン・バーレルが先発出場と、約2カ月ぶりの実戦復帰を果たすも、早々にベンチへと下がりトータルで約6分半の出場に留まり、今日の試合では出場せず。「早くみんなが健康にならないといけない」と指揮官が語るように、立て直しにはバーレル、石崎巧と故障者の復活が待たれるところだ。
文・写真=鈴木栄一