トンプソンは異例の罰打通告に涙 観衆から“レキシー”コールも
◇米国女子◇ANAインスピレーション 最終日(2日)◇ミッションヒルズCC(カリフォルニア州)◇6763yd(パー72) 涙を流しながらのプレーが痛々しかった。レキシー・トンプソンは、プレーオフでユ・ソヨン(韓国)に敗れて単独2位フィニッシュ。優勝争いをリードしていた最終ラウンド中に、前日第3ラウンドの17番(パー3)グリーン上におけるトンプソンのルール違反が発覚し、プレーの最中に4罰打が告げられる異例の事態となった。 単独首位で迎えた12番をボギーとしたあと、2打差リードで13番ホールへ向かう途中に競技委員に呼び止められた。LPGAの発表によると、トンプソンが第3ラウンドの17番でバーディパットを打つ際に、グリーン上でマークした地点から異なる場所から打っていたことが、テレビ視聴者からの指摘により発覚。「誤所からのプレー」(ゴルフ規則20-7 c)による2罰打と、「スコアの誤記」(6-6 d)による2罰打の計4罰打が課され、パーとしていた17番のスコアが「7」に訂正された。 指摘を受けたトンプソンは、動揺と悔しさで涙を流しながらもプレーを続行。2打差を追い掛ける立場に変わったが、「キャディが『しっかりしろ、きっと勝てるよ』と言ってくれて。気持ちを切り替えられた」と13番ではすぐさまバーディを獲り返し、首位の背中を追いかけた。 首位と1打差で迎えた18番(パー5)では、第2打をピンまで4mのイーグルチャンスにつけたが、バーディにとどまりプレーオフに突入。1ホール目でユがバーディを奪って勝負は決した。状況を知ったギャラリーからは、最後まで戦い抜いたトンプソンへの“レキシー”コールが鳴り響く。トンプソンは、その声援に笑顔で応えようとすればするほど、涙は止まらなかった。 トンプソンはホールアウト後のインタビューで、「すべてがキャディとファンの力のおかげ。本当に支えてくれた。今回、自分自身もたくさんのことを学んだ。わたしには戦う力があるんだと確信したし、毎日毎日が新しく学ぶことばかり。起きることは仕方ない。そこで学ぶことが大事なの」と気丈に話した。 「わたしはすぐ感情的になってしまうけど、それでも強く戦おう、と頑張った自分を誇りに思うわ」。会場にいたおそらく誰もが、トンプソンの誇りを胸に刻んだことだろう。(カリフォルニア州ランチョミラージュ/糸井順子)
修正されたスコアボード。トンプソンは涙を流した(David Cannon/Getty Images)