松山英樹は来年の出場権獲得 「絶対勝てる自信ある」
◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(9日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7435ヤード(パー72) それでもメジャータイトル奪取への期待がしぼむことはない。4オーバーの28位タイから出た松山英樹は7バーディ、2ボギー「67」をマークし、通算1アンダーとして11位に順位を上げてフィニッシュした。初日54位の出遅れから挽回し来年度の出場権も獲得したが、メジャー初優勝を逃した悔しさを胸に刻んだ。 ハーフターンした午後2時過ぎ、1番ティグラウンドでスタートしたのは最終組の2つ前の組だった。3日目を終えて首位と10打差。優勝争いから遠い位置でのサンデーアフタヌーンで、松山は持てる力をオーガスタのパトロンに披露した。 第2打をグリーン奥のカラーまで運んだ2番(パー5)で最初のバーディ。6番(パー3)の3パットボギーの後、左ラフからの2打目をピンそば1.5mにつけた7番から2連続バーディを奪い返した。「ティショットが安定して、アイアンもチャンスにつけられた」と、予選ラウンドまでとは見違えるショット精度の高さ。後半のパー5の13番では5I、15番では8Iでいずれも2オンに成功し、2パットバーディで声援を浴びた。 グリーンジャケットの争いに加われず、満足いくはずもない。昨秋から今年2月の「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」まで日米で9戦5勝。勢いはこのメジャー初戦までの2カ月で、止まってしまった。「それが実力なんで。調子の谷間をなくさないようにしないと」と、斜め上を見つめる視線に無念さをにじませた。 ただ、6回目の出場で確信できたこともある。「3日目、4日目と良いショットが打てた。そこは自信を持って、パッティングのレベルを上げたい。去年の年末くらいのパットができれば絶対勝てる自信はある」と言った。誰にでも訪れるピンチを切り抜けるパット、世界屈指のアイアンショットをより輝かせるためのパットの向上。課題はより鮮明になった。 2011年にローアマチュア賞を獲得した夢の舞台は、今年も厳しかった。「初日と最終日で雰囲気もグリーンの状態も違った。それもオーガスタ。それに対応したい」。そして、不意に周囲を笑わせた。「(マスターズは)大変です。バッバがキレるくらいですからね」。今週、予選落ちしたバッバ・ワトソンは2日目のラウンド後のインタビューでイライラが爆発し「ゴルフは難しいんだ。キミがプレーしたことがあるかは知らないけどね。でも記事を書くことは簡単だ」と発言。一部メディアの反感を買い、同日中に自身のツィッターで謝罪する事態になった。「あんなこと言わないように、気をつけます」と松山は苦笑いした。 戦いはすぐにまた始まる。終わってみれば11位。12位タイまでの選手に与えられる翌年大会の出場権を手にした。最後までポツリ、ポツリ…と、言葉を絞り出した松山だったが、日本のファンに向けて「期待されていたとしたら…応えられずに、すみませんという感じです」とは、力を込めて話した。最後に見せた、世界の松山の意地。1年後、背負う期待をいっそう大きくして、オーガスタに帰ろう。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)
松山英樹は11位で戦いを終えた。来年の出場権を手にし、1年後にオーガスタに戻る