19年のキャリアにピリオドを打ったポール・ピアース「今の自分があるのは皆のおかげ」
コービーやガーネットが動画メッセージで送別 西カンファレンスのプレーオフ1回戦、ジャズとクリッパーズは第7戦までもつれた。4月30日に行われた第7戦を制したのはジャズ。これによりクリッパーズのシーズンは終了し、今シーズン限りでの現役引退を表明していたポール・ピアースにとっては、これが現役最後の試合となった。 試合後には『The Players Tribune』がピアースのキャリアを称え、コービー・ブライアントやケビン・ガーネットによるメッセージ動画をTwitterに投稿した。 2007年からセルティックス、ネッツで6年間チームメートだったガーネットは「自分が誰よりも一番と思っていた時期があったが、彼を見た瞬間、『これが野獣のような選手か』と思わされた」と、動画内でピアースを称賛した。 セルティックスにとって最大のライバルであるレイカーズの象徴だったコービーは、NBA入りする前からピアースと交流があったことを明かしている。 「いつだった覚えていないけど、ある年の夏、UCLAで彼と実戦形式の練習をした。どちらが1on1に勝ったかは覚えていない。でも彼と対戦してみて思ったんだ。『この選手はいずれ俺の前に立ちはだかる』とね」 セルティックス、そしてクリッパーズでも指導した恩師ドック・リバースは、ピアースの才能について「彼のフットワーク、スピードは教えられる類のものではない。本当にガードするのが難しい選手だ」と語った。 Farewell to The Truth. pic.twitter.com/vskkO1qZJL ピアースは試合後Twitterで家族、NBA関係者、ファン、メディアに感謝の気持ちを伝えた。 「NBAの兄弟たちに感謝している。僕は人生を通じてバスケットボールを愛してきた。でも、次の章に進む準備はできている。自分を応援してくれたファン、メディアの皆にも御礼を言いたい。皆から愛された自分があるのも、嫌われた自分があるのも、皆のおかげだ。自分はバスケットボールに全身全霊を捧げた。そのスタートから見続けてくれた家族に感謝している」 昨年引退したコービーのような『引退行脚』はなかったが、ピアースにとって特別な場所『TDガーデン』でのラストゲームは、見る者を引き込む感傷的な試合になった。出場時間こそ少なかったものの、観客の大声援に後押しされて試合終盤コートに戻ったピアースは、残り11秒に惜別の3ポイントシュートを決め、感動のフィナーレを彩った。 『The Truth』という愛称は、日々の努力を惜しまず、基本に忠実なプレーの精度を高める姿勢に感銘を受けたシャキール・オニールが命名したと言われている。派手さはなかったが、NBA選手が惚れる男気に溢れ、強力なリーダーシップを発揮し、2008年にはガーネット、レイ・アレンとの『ビッグ3』でセルティックスの優勝に貢献した。引退後のキャリアについては本人も何も明かしていないが、有資格者となればバスケットボール殿堂入りは間違いないだろう。 2000年代のスター選手がまた一人、コートを去った。
写真=Getty Images