チャンピオンシップ開幕! アルバルク東京は攻守ともにチーム一丸、試合巧者ぶりを発揮し三遠ネオフェニックスを破る
多彩な攻めを見せたA東京、外国籍選手に偏った三遠 Bリーグ初年度のチャンピオンシップが開幕。代々木第二体育館ではアルバルク東京と三遠ネオフェニックスが激突した。 両チームとも気合い十分の立ち上がりとなったが、それが裏目に出たのが三遠だ。オン・ザ・コート「1」のA東京がバランスの良いオフェンスを展開したのに対し、三遠はロバート・ドジャーにフィニッシュが偏り、無理な攻めが目立った。ボールの運び役を鈴木達也からジョシュ・チルドレスに切り替えて打開を図るも、そのチルドレスも強引なアタックを繰り返すことに。 個人技から得点が生まれることもあったが、バランスの悪さは否めない。A東京はディアンテ・ギャレットだけでなく、田中大貴、竹内譲次、さらには正中岳城と多彩なアタックからハイペースで得点を重ねていく。 そして第1クォーター終盤にギャレットに代わって投入されたジェフ・エアーズが、高さと強さを生かしてドジャーとチルドレスの強引な攻めを次々と止め、ここで一気に点差が離れた。最後には伊藤大司がハーフコートショットを沈め、A東京が26-15と2桁のリードを奪う。 第2クォーターに入り、三遠はセカンドユニットが流れを落ち着かせるが、松井啓十郎の連続3ポイントシュートを浴びて流れをもたらすには至らない。それでも残り5分のところで、リバウンドを取った太田敦也から岡田慎吾、田渡修人と目にも止まらぬ速攻が決まると、ここから得意のトランジションを連発、17-5のランで39-42と詰め寄って前半を終えた。 勝負のビッグラインアップが不発「非常に痛かった」 それでもこの試合では、三遠の勢いに対しA東京の試合巧者ぶりが目立つ展開となる。第3クォーターになるとディフェンスの強度を上げたA東京が、三遠の勢いをがっちりと受け止め、そこから上回っていく。太田のスクリーンを使ったチルドレスの、第1クォーターの無理攻めとはまるで異なる効果的なアタックに苦しみながらも、A東京はディフェンスやリバウンドに身体を張り、連続得点を許さない。 両チームとも意地と意地のぶつかり合い、フィジカルなディフェンスでファウルもかさむ中、A東京が64-55とリードして最終クォーターを迎える。 59-68で迎えた残り7分51秒、三遠は太田、ドジャー、チルドレスを同時起用するビッグラインアップで勝負に出る。藤田弘輝ヘッドコーチとしては、ここで一気に差を詰める算段だったが、事はそう運ばなかった。最初のプレーでチルドレスがボールを失って竹内に走られ、バスケット・カウントの3点プレーを決められたのだ。これでリズムを崩してしまい、エアーズと竹内の守備を突破できない。差を詰めるどころか逆に広げられ、敗色濃厚となってしまった。 試合後の藤田ヘッドコーチはこう悔やむ。「ここの時間帯でオフェンスリバウンドから点数を取られてしまったのは予想外だった。ディフェンスリバウンドを取らないと速攻が出せない。その時間帯のオフェンスリバウンドからの失点、ターンオーバーからの失点は非常に痛かった」 一方、A東京の伊藤拓摩ヘッドコーチはこの時間帯を「第2クォーターに10点差が付いて緩めてしまってやられた反省を生かせた。しっかりとリバウンドを取って走るバスケットができました」と語る。 終盤はポゼッションの回数を増やさないと逆転できない三遠が早打ちで外す一方、A東京はじっくりとパスを回して確実に得点を重ねていく。結果、90-75でA東京が初戦の勝利を収めている。 殊勲の竹内「得点は狙うものというより付いてくるもの」 オン・ザ・コート数で相手が上回った第1クォーターで10点差を付け、第4クォーターの勝負どころでも攻守にフル回転した竹内譲次は「得点力のある外国籍選手がいるので、彼らを勢いに乗らせないようにディフェンスからしっかり入ることに重点を置いて戦いました。その結果、良いゲームができました」と試合を振り返る。 その竹内はチームトップの20得点を記録。これはシーズン61試合目にして最多の数字だ。それでも本人は「得点は狙うものというより付いてくるものなので。たまたま良い結果が出ました」とあっさり。得点よりもディフェンス、個人よりもチームのパフォーマンスを誇った。 そして、19得点といつもより『控え目』だったギャレットだが、自分で得点するだけでなくボールを動かし、チームを動かし、そしてディフェンスでも精力的に走った。「今日はよくディフェンスができた。オフェンスも走れる時は走って、セットする時はセットして機能した。組織全体で勝てた勝利」と語る。 伊藤ヘッドコーチは「オフェンスはゲームプラン通り、ディフェンスは違った」と振り返る。「リングに対してアタックできたし、3ポイントシュートを打たせない三遠に対して23本打つことができた。レギュラーシーズン最後の5、6試合がそうだったように速いテンポでプレーして90点を取ることができた」。一方で警戒しながらも25得点を許したチルドレスへの対応を明日に向けての課題に挙げた。 三遠の藤田ヘッドコーチは「リバウンドとルーズボールを頑張らないと勝つチャンスはない。すべてを気持ちに乗せて勝ちにいきたい」と明日のリベンジを誓った。
文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦