アジアカップを控え国際強化試合に臨む女子日本代表、不動のセンター大﨑佑圭は「トムが求めている完璧なバスケをしたい」
女子日本代表の大黒柱は絶好調も「まだ波がある」 アジアカップに挑む女子日本代表のメンバー12名が発表された。前回大会の優勝メンバーであり、リオ五輪でも活躍した大﨑佑圭は当然のように名前を連ねた。7月23日のアジアカップ開幕を控える女子日本代表は、約3週間に渡る強化合宿の最中。7月4日にはサウスカロライナ大とのスクリメージがメディア公開され、日本は78-57で勝利を収めた。 その中で最も多く得点を挙げ、攻守ともに一番存在感を放っていたのが、センターの大﨑だ。精度の高いジャンプシュートと変幻自在のポストプレーで身長で勝る相手を圧倒。「前の2試合はジャンプシュートしかチャンスを作っていないと感じて、今日はチャンスがあったらどんどんリングにアタックしていこうと思いました。相手がどうであれ、まずはチャレンジして、ダメだったら考えようくらいの意識で入ったのがうまくフィットしました」 攻守ともにハイレベルなプレーを見せた大崎だったが、自己評価としては「まだ波がある」と満足していない様子。「オリンピックでも、その前のアジア選手権でも、シュートが入らないという経験をしました。今回はポストプレーや武器を増やしている段階で、それをスムーズに出せるかどうかという波があるのかなって気がします」 勝利は大前提、その上で必要なのは『勢い』 今週末にはオランダとの親善試合が行われる。アジアカップを前にした最後の対外試合ということで、結果と内容の両立が求められる。「中と外のバランスだったり、ディフェンスのプレッシャーというのが課題と思っています。勝利は大前提で、トムが求めている完璧なバスケをしたいです」 「勝利は大前提」と自信をのぞかせる大崎。今の日本にとって最も必要なことを尋ねると、彼女の口からは『勢い』という言葉が出てきた。 「アジアカップに入る最後の2試合なので『勢い』が大事です。たまに良くない練習とかもありますが、それはもう勢いでカバーしたり、声を出してカバーしたりします。そうすればトムもあまり怒らないんです」 「自分たちがエネルギッシュだと、一人ひとりのミスをケアできたり、次への切り替えというのがうまくいきます。ある意味ハッタリかもしれないですが、『勢い』というのはウチのチームに必要です」 「言い方はおかしいかもしれないですが、『勢い』でごまかす部分というのも必要ではないかなと。特に今回は期間が短く、合流して3カ月ちょっとで本番を迎えるので、そういう小細工も必要かなと(笑)」 ここにきて、『勢い』という精神的な『ノリ』が必要というから面白い。だがこういったフランクな表現ができることも大崎の魅力の一つだろう。 チームのまとめ役であり笑わせ役「自分が回しています」 大崎は4月3日の誕生日に自身のインスタグラムで結婚を報告。昨年末に入籍し、新婚生活を謳歌しているかと思いきや、代表活動が忙しく「新婚感は全くない」という。 「こっちで生活しているほうが長く、髙田(真希)選手とずっと同じ部屋なので、髙田選手やみんなと過ごしている時間のほうが圧倒的に長いです。なので『新婚生活ってなんだ?』という感じです。お互い承知の上だったのでなんとも思わないですね」とあっけらかんとした表情を浮かべた。 ベテランと呼ぶには早すぎるが、チーム内では年長組の大崎。キャプテンの吉田とともにチームをまとめる一人だ。そんな大崎にプレー以外での役割について尋ねると、「盛り上げ役というか、笑わせ役ですね」と笑顔で答えた。「締めるところは締めますし、一歩外に出たらリラックスさせたいと思っているので、うまくコミュニケーションは取れていると思います」 ただそれは個性のバランスを考えての行動だ。「キャプテン(吉田)もちょっとシャイなところがあるし、リツさん(髙田)も黙々とやるタイプなので、ここで私もしゅんって静かにやっていたら誰もいなくなるので、自分が回しています」とオフコートでの司令塔を自負する。 笑顔を交えながら話してくれた大崎は、「キャプテンがゲームをしっかりまとめてくれているので、自分がその他のところをうまく形にできれば」と凛とした表情に変えて締めくくった。自分のことだけにとらわれず、バランサーとしての人間性の面でもチームに欠かせない大崎。是非ともアジアカップ連覇を実現してもらいたい。
文=丸山素行 写真=鈴木栄一