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前の日、ハマスタでの試合を観戦したベイスたんたち。
「ゴーゴーヨコハマ号」が迎えに来るはずなんですが…

©︎カネシゲタカシ

「はますた、すごくすごく、たのしかったやよ!
ちこっとでも、ここに、ながく、いたいやよ!」

そのときです。

©︎カネシゲタカシ

今日は試合のない日ですが、
どうやら、ベイスターズが練習をしているようです。

「あ、あ、ベイスたん、れんしゅう、みたいやよ!
だいすきな、なかむらノリせんしゅに、あいたいやよ!
いてもたっても、いられないやよ!(とてちてたーっ)」

そう言うやいなや、ハマスタに向かって走りだしたベイスたん。
こうなると、もう誰もとめられません。

©︎カネシゲタカシ©︎カネシゲタカシ

なんと、こっそりハマスタに忍び込んだベイスたんたち。
こともあろうにグラウンドに飛び出してしまいました。

「あやや!ばんちょうとうしゅも、いるやよ!
つつごうせんしゅも、いるやよ!
ベイスたん、ごあいさつ、しなくっちゃ!!」

しかし、すぐに気づいた警備員さんがあわてて追いかけてきました。

「こりゃ、わるガキども、待ちなさい!」

「あっ!あっ!みつかったやよ!にげるやよ!

©︎カネシゲタカシ©︎カネシゲタカシ©︎カネシゲタカシ

「だ、だ、だ、だ、だいすきな…
だいすきな、なかむらノリせんしゅやよ!!
ベイスたん、ベイスたん…
うわぁああああん! うわぁああああん!!」




感極まったベイスたんは、大声で泣き出してしまいました。

©︎カネシゲタカシ

「いっぱい、いっぱい、ありがとうって、いいたいやよ!(びちゃびちゃ)」

「こちらこそ応援してくれてありがとう。
よくがんばってハマスタまで来たね。会えてうれしいよ。」


中村ノリ選手は、やさしく微笑みながら、
ベイスたんたちの到着を歓迎してくれました。



「でも、これだけは言っておくよ、ベイスたん。
球場に忍び込んだりしちゃ、絶対にいけないよ」

「ご、ご、ごめんなさいやよぉ、ベイスたん、はんせいする~(しゅん)」

「よし、わかればいいんだ。
警備員さん、実は彼らは僕のお友達なんです。
今回だけは、許してやってくれませんか?」

「あっ…ええ、そりゃもう。ノリさんのお友達ということなら…」

警備員さんは不思議そうな顔をしながら帰っていきました。


「ノリせんしゅ、ごめんやよ。ありがとうやよ。(ぺこぺこっ)
あっ、あっ、あと、あと…
おねがいごと、おひとつ、あるやよ(もじもじ)」

©︎カネシゲタカシ

「あやや!きのうのしあいで、雨に、ぬれちゃったやよ!
サインのしきし、だいなしやよ~(うるうる)」

ベイスたんが泣きそうになると、
ノリせんしゅはベイスたんの頭をなでながら やさしく言いました。

「心配はいらないよ。
雨の中、一生懸命応援してくれた証拠じゃないか。
大丈夫、ちょっと待ってて。」

そう言ってベンチの裏に戻った中村ノリ選手。
しばらくすると、一枚の新しい色紙を持って出てきました。

©︎カネシゲタカシ

「『ベイスたん』って、かいてあるやよ!うわーい!うわーい!!」

中村ノリ選手はベイスターズのかっこいいマークが入った、
とても素敵なサイン色紙をくれました。

「こんなん、もらえるベイスたん、とくべつなそんざいやよ!」

ベイスたんはうれしくて、ぴょんぴょん飛び跳ねました。

「よかった、喜んでくれて。あ、それと…もうひとつあるんだ。
本当にがんばったキミたちへ、僕からのプレゼントだ」

「あ、あ、なんやろか?
『10がつの、8にち』?『かでんOK』?……あややーっ!!

©︎カネシゲタカシ

なんとプレゼントはハマスタの最終戦のチケットでした。
本当に、本当によかったね、ベイスたん!

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カネシゲ タカシ

漫画家・コラムニスト。1975年生まれ、大阪府出身。 「週刊少年ジャンプ」にてデビュー。 現在は「週刊アサヒ芸能」や「スポーツナビ」に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。 著書・共著に『みんなのプロ野球川柳』、『みんなの あるあるプロ野球』(ともに講談社)、『ベイスたんやよ!』(KADOKAWA)、『野球大喜利 ザ・レジェンド』(徳間書店)などがある。 元よしもと芸人。