連敗→連勝で「雨のち晴れ」
前週は、広島戦の連敗からスタートしましたが、3戦目は意地の粘りを見せて勝利すると、中日戦は3連勝。どうしても勝てなかったあのナゴヤドームでスイープを決めて、「雨のち晴れ」といった1週間でした。
とにかく先発投手が苦しい阪神でしたが、小野泰己初勝利ならず、藤浪晋太郎快投復活ならずで、気分もどんよりしたところを、岩田稔が粘り、青柳晃洋が続き、どうしても十分な援護をもらえない能見篤史も最低限の仕事をしました。
中日戦では打線も好調、とくに目立っていた人を挙げると、まずは福留孝介。5試合にスタメン出場して2ホームラン、8打点。
そして、中日戦からスタメンに復帰した糸井嘉男は、3試合で1ホームラン含む6安打と復調を印象づけました。
ホンマに5番で出してどないすんねん!……でもわかる
若手で素晴らしかったのがドラ1ルーキー大山悠輔。金曜の中日戦では、満塁での2点タイムリーと、スリーランホームランを含む3安打猛打賞、5打点。
今季打った4本のホームランのうち、3本がスリーランホームランです。さらに土曜も好調持続で、タイムリーヒット2本で2打点。いやあ、みんなから「まさかのドラ1」と言われた大山ですが、どうしてどうして、素晴らしい活躍と将来性です。
まるで神がかったような勝負強さに、思わず「あなたは2005年の今岡誠ですか?5番を通年で打たせれば150打点も夢じゃないぞ」などと妄想が膨らみました。
すると、なんとなんと日曜日の試合は中谷将大をスタメンから外して、「大山5番」が実現したではありませんか!
ところが、世の中そんなに甘くありません。第1打席二死三塁、第2打席も二死三塁、第3打席は二死満塁、二死走者なしの第4打席をはさんで、第5打席も二死一二塁と、大山の打席はことごとくチャンスで回ってきましたが、結果はなんと5タコ、ノーヒット。ついに延長11回、一死一三塁の第6打席では代打中谷が送られてしまいました(あえなく空振り三振でしたが……)。
さすがにいくらなんでも「05V神・今岡」の働きを期待するのは時期尚早でした。
って言うか、「ホンマに5番で出してどないすんねん!」。
いや、3番でも臆せず振っていた大山でしたから、5番に置きたくなるのはよくわかります。今度、5番で出る機会があれば、絶対にリベンジして欲しいなぁ、大山には。
記録前の鳥谷、精密機械になる
しかーし!前週爆発的な活躍をしたといえば彼をおいてほかにいません。2000本目前男、鳥谷敬です。
金曜日の中日戦こそ2四球のみでヒットがありませんでしたが、ほかはすべてマルチヒット。6試合で12安打の「バードアタック」です。いや、それじゃ痛そうだな。とにかくものすごいヒットラッシュでした。21打数12安打は打率.571。28回打席に立って出塁は19回、出塁率は実に.679。
とどめは日曜の中日戦、延長11回、中谷の三振でチャンスしぼんだかと思いきや、「名球会の先輩」になる岩瀬仁紀から初球を左へ決勝タイムリー。鮮やかな一撃でした。
来日する数々の歴代外国人から「マシーン」と呼ばれた男。さびのついた歯車が、ピカピカにチューンナップされて戻ってきましたね。
これで打率もぐんぐん上がって、リーグ6位の.311。「2000本に待ったなし」とかじゃなくて、もう今季このまま打ちっぱなしで首位打者獲っちゃるくらいの勢いでいってほしいです。
なぜ?「不動の6番」の不思議
ところで、ここで疑問が湧いてきます。「なんで鳥谷の打順はずーっと6番なんだ?」と。開幕こそ7番でしたが、不調の北條と代わって1つ上がって6番に。以後6月末からの10試合で1番を打った以外は、固定できない阪神打線の中で、鳥谷だけ「不動の6番」に座っています。
それが、「まさに6番にふさわしい打撃内容」というのなら別にいいのですが、比較的走者がごちゃつく打順にしては、得点圏打率も低く打点もそれほど多くありません。でも鳥谷は、チームNo.1の打率と出塁率なのですから、上位を打たせてもいいはずです。
なのにあくまでも「不動の6番」なのです。これはなんなんでしょうね?
まあ、片岡コーチや金本監督の気持ちとしては、せっかく好調な鳥谷なのだから、下手にいじりたくない、そーっと、そのまま、そのまま。2000本までそのままで……ということなのかもしれません。
「キャプテンを一時預かり」としたこともそうですが、配慮に配慮を重ね、丁重に扱っている感じがうかがえます。
うーん、私は鳥谷のことが本当に大好きなんですけど、でも鳥谷って入団以来、いつでもこうやって丁重に扱われてきましたよね。なんか他の人とのバランスが悪いくらいに。
それは誰の目にも明らかなくらいの努力と節制をしているからなのかもしれません。尊敬されてしかるべき生き方なのだと思います。
でもさー、鳥谷が本当はもっと背負わないといけないでしょうよ。チームの重圧を、ねえ。大山とか中谷が主軸を打つ訓練をしているのはいいことだけど、鳥谷だけずーっと6番ってことはないでしょうよ。こんなに猫の目のように変わる打線なんですから、1番に入る日があったっていいし、3番を打つ日があってもいいはずですよ。
それが成功するかどうかはわかりませんが、とにかく今の阪神で一番のヒットメーカーが「不動の6番」というのはちょっと意味がわかりません。
「当たってるときはいじらないほうがいい」というのであれば、今までいじらないでほしかった選手がたくさんいたじゃないですか!
……ハァ、ハァ……なんか想定外に熱くなってしまいましたが、言いたいことは伝わったでしょうか。
つまり、「普通にやろうよ」ってことなんです(笑)。