盗塁は奥が深いものの、まずは猛烈なスピードが不可欠!
盗塁は、単純に見えて実は非常に奥の深い世界。単に走るのが速いだけでは成功できないと言われます。相手バッテリーとの駆け引きという要因が絡んでくるからですね。
とは言っても、やはり根本的にはスピードがなければ4年や5年連続で盗塁王を獲得することは不可能です。なぜなら必ず相手が警戒し出すからです。
何年も連続で盗塁王を獲得できるような選手は、やはり猛烈に速い。だから絶対的にまずスピードを身につける。チームでナンバーワンの走力を身につける。駆け引きが成功か失敗かを左右するのはその後です。
スピードのある選手が必ず発達している筋肉
脚の筋肉には、アクセルとブレーキを担当するものがあります。非常に大まかに分類すると、前モモ(大腿四頭筋)と外モモ(中臀筋)はブレーキ、裏モモ(ハムストリングス)と内モモ(内転筋)はアクセルです。
※外モモと内モモは直接的ではなく筋肉の繋がり上の分類
スピードがある選手は、必ずこのアクセル筋が非常に発達しています。メインアクセルは特に裏モモの筋肉ですが、中でも上半分が重要です。赤星選手も片岡選手もこの部分が抜群に発達しています。
階段を登る時に前モモが疲れてしまう人は要注意
ではアクセル筋を鍛えれば、スピードが上がるかというと、そう単純ではありません。アクセルの邪魔をするブレーキ筋という存在があります。ブレーキ筋の代表が前モモにある大腿四頭筋という筋肉。坂道を下ったりする時に膝が疲れてくる感覚の正体です。
走るとき、この前モモが働いてしまいブレーキをかけることが多いのです。これには上半身の角度や股関節の状態などいろんな要因が関わってくるのですが、階段を登る時などに前モモが疲れてしまうタイプの人は要注意。かなり前モモが使うクセがついてますから、走るときも無意識にブレーキをかけながら走っている可能性が高いです。
モモ裏を使えるようになるための刺激ストレッチ
というわけで、要するに裏モモアクセルを鍛えて前モモブレーキを外すというのがスピードをあげるコツ。今回はそのためのストレッチを紹介します。
ストレッチというと一般的には柔軟性をアップするのが目的と思われがちですが、ここでご紹介するのはトレーニング系ストレッチという、筋肉に刺激を入れることでその後その筋肉が使いやすい状態をつくるためのもの。【Tレフストレッチ】と呼んでいます。ダッシュやバッティング、ピッチングを行う前に行うと効果的です。
お尻の骨(坐骨:写真の⭐︎マーク)の下をやや強めに押さえます。
©︎中野崇その状態で脚を一歩前に踏み出します。このとき膝は軽く曲げておきます。
©︎中野崇 指で押さえたまま、上半身を前に倒し、お尻を上に持ち上げるようにしてモモ裏にストレッチがかかるようにします。このとき、踏み出した脚の膝は曲げたままにするのがポイント。片側につき5秒間キープ×2セット行います。
仕上げに、以前紹介した「割膝」を行うとさらに効果的です。
「野球がうまくなる運動 教えます」記事一覧はこちら
中野崇の記事一覧