土井、清原、中島が背負った“ミスターレオ”の証・背番号「3」
西武の背番号「3」が、ついに浅村の手に渡った。高卒5年目の2013年に打点王を獲得し、2014年以降も二塁のレギュラーに定着。球団幹部は以前から「3」への変更を勧めていたが、近年の打撃低調を理由に自ら拒否。それが今年、打率.309、24本塁打、82打点の好成績を残し、ついに「32」から「3」への変更を決心した。
西武の「3」と言えば、土井正博、清原和博、中島宏之(現オリックス)らが背負ってきた“強打者の証”。後継者となった浅村は背番号変更とともに、来季から新キャプテンに就任することも決定。辻初彦新監督の下、3年連続Bクラスのチームを先頭で引っ張る。
ロッテの「3」を継承したのは、今シーズン首位打者と最多安打のタイトルを獲得した角中。こちらも榎本喜八、弘田澄男、西村徳文、そして今季限りで引退したサブローと、球団史に名を刻む好打者が並ぶ。さらに角中は、契約更改で6100万円増の1億4100万円でサイン(金額は推定)。独立リーグ出身選手として初の1億円プレーヤーにもなった。

オリ・西野は“師匠”の「5」を継承 斎藤佑樹は「18」から「1」へ!

ロッテはさらに、今江年晶の楽天移籍後、空き番号になっていた“ミスターロッテ”の「8」を、来季大卒3年目となる中村奨吾へ受け継がせた。こちらは今季、108試合に出場し打率.201と低迷したが、球団幹部は「期待料込み。自覚も変わるし、来年はレギュラーを取って球団の顔になってもらいたい」との願いを込めた。
前任者の今江も、「8」着用前年は一軍定着もままならない状況だった。それが高卒4年目の2005年、実績もないまま「8」へ変更。これが起爆剤となり、132試合の出場で打率.310と大ブレーク。同年の日本シリーズでは、いずれも新記録となる8打席連続安打、打率.667を記録し、シリーズMVPにも輝いた。
身長167センチのオリックス・西野真弘は、「39」から「5」へ変更する。こちらの前着用者は、同じ小兵選手で西野自ら「憧れ」と語る平野恵一(現阪神コーチ)。プロ1年目の2015年は正二塁手を争う間柄だったが、平野引退後の今季は、西野がレギュラー定着を果たし、自身初となる全試合出場を果たした。
日本ハムでは、斎藤佑樹が「18」から「1」へチェンジ。こちらはなかなか飛躍のきっかけを掴めず、今季も11試合の登板で0勝1敗、防御率4.56とチームの日本一に貢献できなかった。「1」はエースだった早実時代に甲子園優勝を成し遂げた栄光の背番号。原点に立ち帰り、文字通り「1」からの出直しを図る。
斎藤の同僚で、中継ぎ右腕として日本一に貢献した谷元圭介は、「48」から「22」に変更した。同じく中継ぎエースとして活躍した建山義紀らが着用した番号でもあり、谷元は「これまで22番を背負ってこられた先輩方に恥じない成績が残せるよう、重みを感じながらしっかりマウンドに立ちたい」とさらなる活躍を誓った。
黒田の「15」&番長の「18」は欠番 球団ごとの“出世番号”も熱い!
広島は今季限りでの引退した黒田博樹の「15」を永久欠番にした。チームでは山本浩二の「8」、衣笠祥雄の「3」に続く3つ目の欠番。松田元オーナーは「理由はふたつ。ひとつは彼の残した成績と今年の優勝。それと、お金だけじゃないという価値観を今の社会に示してくれた」と欠番理由を説明した。
同じく今季限りで引退したDeNA・三浦大輔の「18」は、「今後ふさわしい選手が現れるまで」との条件付きで“準”永久欠番となった。このパターンは近年増えており、楽天時代に24勝0敗の金字塔を成し遂げた田中将大(現ヤンキース)の「18」も準永久欠番扱い。こちらは今後の適任者出現に期待すると同時に、田中自らが再び「18」を背負い、楽天での日本球界に復帰する姿も見てみたい。
欠番やエースナンバーなどの若い番号だけでなく、各球団には“出世番号”と言われる縁起のいい番号も存在する。冒頭で紹介したヤクルトの青木と山田が、ともにプロ入り直後に背負っていたのが「23」。これが“出世番号”としてファンにも認知され、現在は“山田二世”と称される大型内野手・広岡大志が「23」を背負っている。
広島の「63」は、丸佳浩、田中広輔が新人時代に着用していた番号だ。こちらも現在、期待の若手内野手・西川龍馬が継承し、社会人出身のルーキーは1年目から非凡な打撃センスを披露した。2年目の来季は正三塁手候補のひとりと目されており、丸、田中に続くブレークが期待されている。
背番号は選手を表す“もうひとつの顔”であり、その数字で期待度や選手タイプを推し量ることができる。また、ファンはその番号にチームの歴史を重ね合わせ、選手は期待と責任を背負いプレーする。2017年シーズンは、どの球団のどの背番号が輝きを放つだろうか。