PSGは3年で8人、新潟の見込みも最短3年 ただし「結果が出始めたら選手は続く」
今年度から本格的に稼働した“アルビレックス新潟×エコノメソッド”。具体的にはどのようなことをするのだろうか? 浜田氏は次のように説明する。
「大きく分けて3つあります。1つがアルビレックス新潟アカデミーのプレーモデル構築。そして選手のコンサルティングと地域貢献です。とはいえ、エコノメソッドはクラブに対して上から目線で“このメソッドを導入するので、やってください”というやり方はしません。まず、クラブの中から湧き出るサッカーに対する考え方、フィロソフィ、プレーモデルがあって、それを実現するためにサポートをするのが彼らの仕事なのです」
パリ・サンジェルマン(PSG)アカデミーのメソッド部門で辣腕を奮ったサッカーサービス社のダビッド・エルナンデス氏も、「我々の仕事は、クラブと選手が成長する手伝いをすること。主役はエコノメソッドではなく、あくまでクラブなのです」と語っている。
まずは既存の日本人コーチに対して、エコノメソッドとは何かを日々のトレーニングやミーティングで周知する。その中から、アルビレックス新潟アカデミーのプレーモデル構築に必要なコーチングの内容を組み立てていくという。
是永社長は、「結果を出すのに、最短で3年はかかると思う」と現実を見据える。浜田氏は「パリ・サンジェルマンでは、3年で8人がトップチームに上がりました。そのレベルに持っていくためには、小学生、中学生のスカウティングが大切。結果が出始めたら選手は続くと思う」とイメージを描いている。
“新潟×エコノメソッド”の将来的な影響「新潟がサッカー立県に」
Jクラブには強化、育成、普及という3つの柱がある。強化はトップチームを頂点とした競技力の向上。育成はトップチームへの選手昇格。そして普及は、地域全体にサッカーの魅力を伝える地域貢献である。エコノメソッド導入は、この3つの柱すべてに影響を及ぼす可能性がある。
是永氏は、「エコノメソッドで育ったユースの選手がトップに上がることだけでなく、それに興味を持つ指導者も集まってくると思う。アルビレックス新潟を中心に、サッカーが好きな人たちが集まることで新潟がサッカー立県になり、それは社会貢献にもなります。新潟県サッカー協会とも連携しながら、エコノメソッドのトレーニング体験や講習会をすることも進めていきたい」と展望を語る。
浜田氏は「それは契約の中に入っているので、トレーニングセッションやセミナーなど新潟県中を巻き込んでやりたいですね」と同調し、こう続ける。
「エコノメソッドのコーチたちは『育成を見に行くなら新潟だと、他から参照されるクラブになりましょう』と言っています。そうなると、日本サッカー全体の方向性も変わると思います。エコノメソッドと出会って8年。彼らの文化への適応力、相手へのリスペクト、そして指導のクオリティはわかっています。本当に優秀な人たちです。2年後ぐらいに『こんな選手が育ったんだ!』と指導者、選手だけでなく、保護者の人たちにも感じてもらえると思う」
アルビレックス新潟の新たなチャレンジであり、「日本サッカーに風穴を空ける」と語る是永社長が導入したプロジェクトの未来が楽しみだ。