同イベントは「Feel like an Athlete(フィールライクアンアスリート)」がコンセプト。9月13日に開幕した「東京2025世界陸上」に出場するアスリートが感じているスタート前の緊張感(静)、走り出す瞬間の感情(動)、ゴール後の心の解放(解)を体感してほしいという思いから企画されたものだ。初日のオープニングイベントには元プロ卓球選手の石川佳純さん、フェンシング日本代表の江村美咲さん、タレントの武井壮さんが登場。いち早く3つのステージを体感した。

 最初は「静」のエリアから。『Technology』のパネルには日本代表オフィシャルユニフォームと同代表選手たちも着用しているシューズを展示。石川さんはマラソンのレーシングシューズ『METASPEED SKY TOKYO』を手に取ると、「軽っ、ヤバい。こんなに軽いんですか!?」と素直に驚いた。ソールは厚いが、メンズ27㎝で約170gという超軽量なのだ。なお男子ユニフォームもLサイズでわずか46gしかない。アシックスが誇る革新のテクノロジーに3人は感動した様子だった。

 『Mind』のパネルには、陸上日本代表選手がスタート時点の思いを漢字一文字で表現したものが並んでいた。「楽」「緊」「金」「空」「魂」「集」「信」「静」「堕」「闘」「熱」「燃」「夢」「無」「凛」「焦」。このなかで3人が気になる文字を選んだ。江村さんは「焦」、石川さんは「凛」、武井さんは「金」。江村さんは「緊張しているときは余裕がなくて〝焦〟っているんですけど、でも勝ちたい気持ちがある。正直な気持ちが出ているなと思います」と同じアスリートとして複雑な心境に共感を抱いていた。

 『Body』のパネルには鏡が設置されており、その隣には男子100m代表・桐生祥秀選手のスタート直前の写真を展示。鏡の前でスタートの姿勢をとれば、桐生選手と並んでいるように見える。まずは武井さんがポーズを決めると、「桐生選手と一緒だ。カッコいい」という言葉が石川さんから飛び出した。続いて江村さんがチャレンジ。その姿に「できそうな感じがする。速そうだね」と武井さんは絶賛していた。

 『Sound』のパネルでは、大舞台に立つアスリートだけが感じる、ココロを震わす音を耳にすることができる。代表して石川さんがボタンを押すと、選手の鼓動、スターターの「On your marks : Set」のアナウンス、ピストル音、響き渡る大歓声が流れてきた。「スタートする瞬間はこういう感じなんですね」と石川さんが言えば、江村さんも「鳥肌が立ちました」と独特の緊張感を味わった。

 続いて「動」のエリアでは、アスリートの動きを体験できる。陸上競技トラック仕様のコースが設置されており、3人が「10mダッシュ」に挑戦した。まずは陸上競技・十種競技の元日本チャンピオンである武井さん。「ケガをしないように」と慎重に走りながらも、1秒94で颯爽と駆け抜けた。「ウォーミングアップをしてないので、これくらいで勘弁していただければと思います」という武井さんだったが、ギャラリーから拍手が送られるほどのスピードだった。

 初挑戦の江村さんは、「この角度からのスタートは初めてすぎて」と身体がビックリしたようだが、力強い走りで2秒34をマーク。石川さんもブロックに戸惑った。スタート時には「ヒヤッ」という声が漏れると体勢を崩して、3秒18と苦戦した。それでも初めての体験に「難しい。でも楽しい!」と笑顔がこぼれた。

特設トラックで10m走を体験した石川佳純

 最後の「解」のエリアでは、まずは10m走の様子を撮影した写真とアニメーション動画がプレゼントされた。そして今回の体験を経て、次はどんなアクションを起こしたいのか? 3人の熱い思いを記して、ボードに貼り付けた。

 石川さんは「ハーフマラソンにチャレンジ!」、江村さんは「いろいろなスポーツに挑戦!!」、武井さんは「世界に向けてぶっ放せ!! GO JAPAN!!(オレもやるぞ)」、という言葉だった。

 イベントを終えた3人。今回の感想と東京2025世界陸上への思いを語った。

「女子マラソンの小林香菜選手の走りには凄く感動しました。私は選手を引退してからランニングをしているので、来年あたりにはハーフマラソンにチャレンジしたいなと思います。今回のイベントを通して、東京世界陸上がさらに楽しみになりました。全力で応援したいと思います」(石川さん)

「オフ期間はあまり身体を動かす方ではないですけど、他競技に挑戦することで心が回復すると思うのでチャレンジしたいです。女子やり投げの北口榛花選手とは何度かお会いしていまして、パルさんと呼ばせていただいていますし、凄く応援しています。世界陸上を生で観る機会は限られたチャンスなので、皆さんも楽しんでいただきたいですね」(江村さん)

「僕は男子200mに出場するガウト・ガウト選手(豪州)に注目しています。まだ17歳なんですけど、追い風参考ながら100mは9秒台で走っていますし、人類の未来を感じさせるアスリートです。それから日本代表の戦いも楽しみです。日本人全員で走って、応援していきましょう!」(武井さん)

 激戦が繰り広げられている東京2025世界陸上。初日の男子35㎞競歩は勝木隼人選手が銅メダルを獲得して、2日目の女子マラソンは小林香菜選手が7位入賞を果たすなど、日本勢が活躍を続けている。大会は終盤戦に入るが、世界大会連覇中の北口榛花選手が登場する女子やり投げ、世界記録保持者・山西利和選手が出場する男子20㎞競歩、注目の男子4×100mリレーなど日本勢期待の種目が残っており、まだまだ目が離せない。皆さんも国立競技場やテレビの前で日本代表を応援しよう!


VictorySportsNews編集部

著者プロフィール VictorySportsNews編集部