そんな中で、日本を代表するアパレルメーカーである株式会社ユニクロは、数年前より、女子プロテニスプレーヤーからグローバルブランドアンバサダーを選びたいと考えてきた。
そこで白羽の矢を立てたのが、エマ・ラドゥカヌだ。
ラドゥカヌは、父親がルーマニア人で、母親が中国人というルーツを持つ。2002年11月13日にカナダ・トロントで生まれ、2歳の時からイギリスに移住しロンドン南東部のブロムリーで育った。5歳からテニスを始め、フォアハンドストロークが得意な選手で、身長175cmの体を駆使してキレ味鋭いショットを放つ。
18歳で出場した2021年USオープンでは、予選から出場して本戦に進出し10試合連続で勝利してグランドスラム初優勝を成し遂げるという、1968年のオープン化(プロ解禁)以降初となる離れ業をやってのけた。大会出場当時のラドゥカヌのWTAランキングは150位だったが、初優勝によって一気に23位へ上昇した。また、グランドスラムの出場は、当時WTAランキング338位のノーシードながらベスト16に進出した2021年ウィンブルドンに続いてわずか2大会目だった。イギリス女子選手としては、バージニア・ウェイドが、1977年ウィンブルドンで優勝して以来、実に44年ぶりの快挙となった。そして、2022年7月には自己最高となるWTAランキング10位を記録した。
2026年から、ラドゥカヌは、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーに就任し、3月にアメリカで開催されるWTAインディアンウェルズ大会より、ユニクロのテニスウェアを着用してプレーすることになる。
「ユニクロの一員となること、そして素晴らしいグローバルブランドアンバサダーの皆さんと一緒に活動する機会を得られることを大変うれしく思います。ユニクロと私は、人生や文化、社会に対する多くの価値観を共有しています。テニスキャリアを通じて、LifeWearの魅力を発信すると共に、ユニクロの皆さんと一緒に世界中の若者にインスピレーションを与え、可能性を信じ続けることの大切さを伝えていくことを楽しみにしています」(ラドゥカヌ)
株式会社ファーストリテイリング取締役 グループ上席執行役員 柳井康治氏は、ラドゥカヌをアンバサダーに起用した理由を次のように述べ、彼女のキャラクターが、昨今の時代性にマッチしていると考えている。
「ラドゥカヌ選手を、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーとして迎えられることを大変光栄に思います。プレッシャーの中でも常に攻めの姿勢を貫き、挑戦を続けるラドゥカヌ選手は、コートの外では家族や友人とのつながりを大切にし、 読書家の一面も持つ一人の若者です。私たちは、ラドゥカヌ選手が素晴らしいアンバサダーとなることを確信しており、共に世界に前向きな変化を生み出していくことを楽しみにしています」
クリエイティブ・ディレクターのクレア・ワイト・ケラー氏が、「スポーツにおける若い世代の代表の1人です。自信を持ってプレーしてほしい」という願いをデザインに込めたラドゥカヌ着用予定のテニスウェアは、淡いブルーに統一されたワンピーススタイルになっており、躍動的にコートを駆け抜けることのできるデザインであると同時にどこかエレガントな印象も与えてくれる。
ユニクロ提供 ラドゥカヌは、ユニクロのテニスウェアを初めて見た時、そのデザインにほれ込んだ。
「うれしさがあふれるようなものでした。プランから経験を豊富なデザイナーと作り上げることができて、信じられないようなものでした。クラシックだし、優しさも感じられるし、カラーも気に入っています。私にとっては、正統派といえるスタイルでした。着用してコートに出ると、本当に自信がみなぎり、パワーが強くわいてきます」
また、機能面でも、ラドゥカヌは、ユニクロのテニスウェアを信頼しており、自身が競技中に着用するテニスウェアのデザインや機能の開発にも携わっていく予定だ。
ところで、熱心なテニスファンの中には、ラドゥカヌのアンバサダー就任を少し意外だと感じた人もいるのではないだろうか。なぜなら、2021年USオープン初優勝からグランドスラム優勝はおろかツアー優勝からも遠ざかっており、WTAランキング25位(2月23日付)で、中堅プレーヤーという印象があるからだ。現在23歳で、選手として今後3~4年が特に重要であり、トップ10に返り咲き、再びグランドスラムタイトルを手にすることができるか注目される。
株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長および、株式会社ユニクロ代表取締役会長の柳井正氏も、ラドゥカヌが活躍していくことに期待を寄せる一人だ。
「エマさんが、あらゆる面で活躍して、社会がより明るく、若々しくなるように。ぜひ早い機会に1勝ほどお願いしたいなと思います。テニスの面でも、人間としても、ぜひ成長していただきたいなと思います」
今後、ラドゥカヌは、世界各地の主要トーナメントにてユニクロのグローバルブランドアンバサダーとしてプレーしていく。
近い将来、ラドゥカヌが、日本で開催されるかもしれないユニクロのイベントで、フェデラー氏や錦織や国枝氏と共演するのを楽しみにしているテニスファンも多いのではないだろうか。そんな夢のようなワクワクするイベントの実現をユニクロにはお願いしたい。
同時に、ユニクロは次世代育成にも注力しており、ラドゥカヌらと共に、子供たちがスポーツと出合い、触れ合えるような機会が増えていくかもしれない。ラドゥカヌ自身も、「次の世代へアプローチを試みることがチャレンジになるし、力になりたい」と意欲的だ。
また、毎年10月に大阪と東京で開催されるWTA大会のジャパンオープンやパン・パシフィックオープンテニスへの初出場にも期待が膨らむ。
卓越性を追求し、社会に貢献するというLifeWearの哲学を体現していくことになるであろうラドゥカヌの活躍と新たなフェーズでのスタートを期待せずにはいられない。