デンマークのスポーツブランドhummel(ヒュンメル)は、インクルーシブサッカー大会「ゴチャタノ」を3月上旬に都内で開催した。知的障がいのある人とない人が混成チームを組み、勝ち負けを競わない形式のイベントで、ドイツブンデスリーガの1. FCケルンからの参加者も含め選手・スタッフを合わせて約200名が参加した。
安心感の中で多様な個性が輝く工夫
「ゴチャタノ」は「ごちゃ混ぜを楽しもう」という趣旨のもと、知的障がい児・者サッカースクール「トラッソス」とヒュンメルが始めたサッカーイベントだ。2018年にスタートし、2024年からはドイツ・ブンデスリーガの1. FCケルンと、ドイツ学校「東京横浜獨逸学園(DSTY)」が参加する日独交流バージョンへと発展している。
参加者は10名1チームの混成チームに分かれ、バランスボールや風船、特大の楕円型ビーチボールなどを使ってサッカーを行う。通常のボールとは異なる動きをするため、サッカー経験者でも思い通りに扱えず、予想外のプレーが続出する。スポーツが得意でない参加者も自然に楽しめるよう工夫が凝らされている。
今回のイベントでは、スタッフを含めて21種類のユニフォームシャツがチームごとに用意された。ヒュンメルのカスタムオーダーサイト「オンリーヒュンメル」を通じて参加者が事前にデザインしたものだ。
単色のビブスやTシャツではなく、チーム別のユニフォームを用意するのはゴチャタノのこだわりである。見通しが立てにくかったり人見知りがあったりしても、同じデザインのユニフォームを着ていれば「この人たちが仲間だ」と視覚的に理解できる。楽しむ前に安心感を醸成し、個性を尊重する雰囲気をつくり出すための工夫だ。
2003年にトラッソスを立ち上げた吉澤昌好氏は次のように述べた。
「ケルンさんとの取り組みも3回目となり、『ごちゃ混ぜサッカー×コミュニケーション』という関わりが深まっているように思います。もちろん、初参加のお子さんも多くいるのですが、みんなでつくっている心地良い雰囲気のお陰で入っていきやすくなっていると感じています」
画像提供:株式会社エスエスケイ言語も障がいも超えて、ごちゃ混ぜを楽しむ
今回、ドイツの1. FCケルンから3名が来日した。言語が通じない緊張をほぐすウォーミングアップをケルンのメンバーが担当し、試合では各チームに分かれてともにゲームを楽しんだ。
ケルンのサッカースクールでチームリーダーを務めるジモン・シャイベ氏は、「言語を超えて同じルールに立てる。誰でも、誰とでもできる。ゴチャタノは参加者がハッピーで笑顔になれるイベントで、これがフットボールの力だと強く感じました」と振り返る。昨年に続いて参加した9歳のミラン君は「普段できない大きなボールが楽しいんだ。学校でやってるサッカーではできないことだし」と話した。
ヒュンメルは「Change the World Through Sport(スポーツを通して世界を変える)」をビジョンに掲げ、人権・ジェンダー・平和をテーマにした活動を行っており、ゴチャタノはそのビジョンを体現するイベントとして成長を続けている。2026年5月には日本DCD学会学術集会の市民公開イベントとしても開催されることが決定しており、学術的な観点からの関心も高まっている。スポーツを通じてインクルーシブな社会を体感できる場として、さらなる広がりが期待される取り組みだ。
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