50歳の現役プロサッカー選手が誕生

　中山雅史、武田修宏、清原和博、松岡修造、貴闘力、大林素子、北斗晶――。彼らには、かつてスポーツ選手として活躍していたという以外に、もう一つ共通点がある。1967年生まれという点だ。現役を引退し、タレントや解説者として第２の人生で活躍しているものが多い中、同年代で今も現役アスリートとして走り続けている選手がいる。Ｊリーグの横浜FCに所属する『カズ』ことFW三浦知良だ。

　2月26日、カズは50歳の誕生日を迎えた。そして、この日に開幕した2017シーズンのJ2リーグ戦、松本山雅FC戦に先発し、後半20分までプレーしている。チームはMF野村直輝のゴールで１－０の勝利を収め、カズの誕生日に花を添えた。

　日本のみならず、海外からも多くの注目を集めたバースデーマッチを終えたカズは「本当に幸せ」と、語っている。

スタジアムに入った時、たくさんの人たちが「おめでとう」と声も聞こえましたし、紙で出してくれたりもして。「一生現役」というのも出ていたと思う。試合前だったけど、ちょっと涙が、泣きそうになっちゃいましたね（笑）。自分自身では誕生日というより、とにかくこの試合に勝ちたいという気持ちでずっと準備してきました。でもやはり50歳で、こうしてピッチに立って、選手たちと一緒に戦えることは本当に幸せです。

日本サッカー界を牽引するキング・カズ

　通っていた高校を中退し、ブラジルへ渡ったカズは18歳のときにプロサッカー選手になった。Jリーガーが平均25歳で引退している中、カズはプロ生活だけで32年目を迎えている。当然、全盛期ほどの体のキレはないものの、豊富な経験でカバー。第一線で活躍を続けるプロサッカー選手として、日々の節制を怠らず、自分の子供と同じくらいの年齢の選手たちと、厳しいトレーニングに励んでいる。

　開幕戦を終えたカズは、「60歳まで現役を続けたいね」と、自身の次なる目標を口にしていた。同世代の多くの人たちが、『中年の星』であるカズの活躍に期待を寄せている。しかし、俳優の坂上忍は、同じ1967年生まれのカズが現役であり続けることに、「ああいう50歳の人がいると迷惑なんですよ」と、28日放送の『バイキング』（フジテレビ系）で冗談交じりの拒否反応を示した。

　スタジオに笑いが起きる中、「50であの腹筋やられちゃあさ！　こっちなんてブヨブヨだもん！」と、坂上はその真意を語り、独自の言い回しでカズを称えると、これには芸人で1973年生まれの小藪千豊も同調。「まだ同じ年だからいいじゃないですか。僕ら7つぐらい下なのに（腹筋は）ブヨブヨですから。こっちの方が迷惑」と訴え、スタジオを盛り上げた。

　Jリーグ誕生以前から、日本サッカー界を牽引してきたカズは、今後もまだまだ日本サッカー界の顔であり続けそうだ。