文=池田敏明

ソフトバンクは1億円超えが12人!

 日本のプロスポーツ界で、最も高給を稼げる業界は野球界だろう。労働組合日本プロ野球選手会の2017年度の調査では、平均年俸が7000万円を超えた球団もあったという。

 日本プロ野球選手会は1日、加入選手を対象とした年俸調査の結果を発表し、支配下登録選手の今季平均年俸ではソフトバンクが現行の調査方法となった1988年以降で初めて7千万円を超える7013万円で2年連続のトップとなった。12球団の支配下選手734人の平均は昨季から114万円増の3826万円だった。  巨人が6043万円で2位、阪神が4162万円で3位となり、上位3球団の順位は昨年と変わらなかった。昨季セ・リーグを制した広島は、推定年俸6億円だった黒田博樹元投手が引退した影響もあり、344万円減の2767万円で11位となった。DeNAは2600万円で6年連続の最下位だった。  1軍平均(今季開幕時出場登録選手)ではソフトバンクが1億2644万円で1位。巨人が9010万円、昨季日本一の日本ハムが7643万円で続いた。  年俸1億円以上の選手は昨年から8人増えて72人で、球団別ではソフトバンクの13人が最多。500万円未満の選手も18人増え62人となった。
ソフトバンクが2年連続トップ 選手会の年俸調査  :日本経済新聞

 福岡ソフトバンクホークスは年俸1億円を超える選手が日本人だけで12人もおり、彼らが平均年俸の額を引き上げている。最も低い横浜DeNAベイスターズですら2600万円。サラリーマンの平均年収が400万円強であることを考えると、かなりの金額と言える。

 契約更改の際、選手たちの年俸は主に前年度の実績によって設定される。もちろん前年以上の活躍が求められるわけだが、では高額年俸を受け取る選手たちは、それに見合ったコストパフォーマンスを見せているのだろうか。2017年はまだシーズン途中なので、2016年のセントラル・リーグとパシフィック・リーグにおける投手、野手の年俸上位10人の成績から考察してみよう。

1億6000万円、高くついたポレダの1勝

©共同通信

 セ・リーグの投手部門では、昨年限りで現役を引退した黒田博樹(広島東洋カープ)が6億円で最高年俸だった。黒田は昨年、24試合に登板して10勝を挙げているので、単純計算になるが1試合あたりの2500万円、1勝あたり6000万円となる。

 ちなみに、黒田のチームメートで、16勝を挙げて最多勝に輝いた野村祐輔の昨年の年俸は5200万円で、1試合あたり208万円、1勝当たり325万円。文字どおり“桁が違う”のだが、もちろんグラウンド上の数字だけですべてが評価されるわけではなく、黒田が背負っていた重責やチームに与える影響力を考えると、この差も納得と言えるだろう。

 ランキング上位の選手はおおむね期待どおりの活躍と言えるが、アーロン・ポレダ(読売ジャイアンツ)は1億6000万円の年俸をもらっていながらわずか5試合の登板、1勝どまりと期待外れだった。ケガの影響もあったとは言え、1勝を挙げるのに1億6000万円もかかっていては、自由契約も致し方のないところだ。

 パ・リーグの投手部門ではデニス・サファテ(ソフトバンク)と金子千尋(オリックスバファローズ)がともに年俸5億円だったが、よりコストパフォーマンスが高かったのは43セーブを挙げてセーブ王に輝いたサファテだろう。金子は7勝に終わっており、1勝あたり7100万円以上かかっている。これは黒田よりも高額だ。シーズン15勝以上を挙げられる能力のある投手だけに、現状のような複数年契約でなければ年俸が大幅ダウンとなっても仕方のない成績だった。

 金子以上にコストパフォーマンスが悪かったのは松坂大輔(ソフトバンク)だ。2014年オフに3年総額12億円、1年あたり4億円という大型契約を結んだが、15年は登板ゼロ、16年もわずか1試合のみ。しかも1イニングを投げただけで、打者10人に対して3安打4四死球5失点と散々な内容。契約最終年となる今年もいまだ登板しておらず、ソフトバンクとしてみれば、戦力としては12億円の投資が何一つ結実していないことになる。同じ4億円ながら15勝を挙げ最多勝に輝いたチームメートの和田毅とは好対照な結果となってしまった。

ブランコの一発は8333万円!

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 続いて野手部門を見てみよう。投手に比べて出場試合数が多いため、どの選手も1試合あたりの報酬は100万円台から300万円台で推移している。セ・リーグでは、史上初の2年連続トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成した山田哲人(東京ヤクルトスワローズ)は1試合あたり165万円、ホームラン1本あたり578万円と、他の選手に比べてコストパフォーマンスが高かった。

 パ・リーグの年俸上位選手はホームランバッターばかりだが、本塁打1本あたりの報酬で考えると、857万円のエルネスト・メヒア(埼玉西武ライオンズ)、960万円の中田翔(北海道日本ハムファイターズ)がすこぶる優秀だ。

 一方で、トニ・ブランコ(オリックス)はわずか27試合出場、3本塁打と何もかもが期待外れ。ホームラン1本あたり8333万円は、ホームランバッターではない栗山巧(埼玉西武)や今江敏晃(千葉ロッテマリーンズ)の6666万円を下回る。中日ドラゴンズ時代は鋭いスイングで豪快なホームランをかっ飛ばす選手だったが、昨年は明らかに体重過多で往年のパンチ力はなく、2億5000万円の年俸に見合う実力ではなかった。

 もちろんマウンドに立つだけ、バッターボックスに入るだけがプロの仕事ではないし、年俸の金額はすべて推定であり、ここから税金が引かれるため、実際に手元に入る金額はさらに少なくなるのだが、一流の選手たちが1試合プレーするだけでどれほどの金額を稼ぎ出しているかの参考になるだろう。1つの勝利、1本のホームランにどれほどの価値があるのかを実感すれば、ファンの応援にもますます熱が入るかもしれない。

池田敏明

著者プロフィール 池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。