文=斉藤健仁

日本の出場権獲得は、開催国だからではない

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 抽選会には、すでにラグビー・ワールドカップ(W杯)出場を決めている12チームの指揮官(スコットランド代表のみ強化担当)が出席し、抽選をサポートするプレゼンターとして、ラグビーの国際統括組織である「ワールドラグビー」のビル・ボーモンド会長、ワールドラグビーの殿堂入りを果たしている元日本代表WTBで関西協会の坂田好弘会長、女子レスリングのオリンピック金メダリストの吉田沙保里らが参加する。

 ラグビーW杯は、20チームが5チームずつ4つのプール(=予選リーグ)に分かれ、優勝杯「ウェッブ・エリス・カップ」を争うフォーマットになっている。すでに12チームの出場が決まっているのは、前回W杯の予選プール戦で3位に入ったチームは、次大会のシード権が獲得できるシステムだからだ。

 つまり、日本代表は開催国枠ではなく、15年W杯で3勝を挙げて初めてプール3位に入ったため、19年W杯出場権を得ていたというわけだ。もし、15年W杯でプール4位以下だった場合、日本代表は開催国ながら、今回の組合せ抽選会に参加していなかった算段が大きく、15年W杯のエディー・ジャパンの躍進の大きさを感じざるを得ない。

 その12チームは5月1日現在の世界ランキング順に、下記のように4チームずつ3つの「バンド」に分けられている。残りの8チームが入るバンド4とバンド5に関しては現在、世界各国で予選が行われているが、今回の組合せ抽選会で、世界各国の予選を勝ち抜いたチームがどのプールに入るまで決定される。

 この1年間あまりのテストマッチの結果、W杯で2連覇中のニュージーランド、前回W杯準優勝のオーストラリアはもちろんこと、エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が率いるイングランドが2位に、アイルランドも4位となってバンド1入りを果たした。スコットランドも過去最高の5位となってバンド2に入る一方、15年W杯で3位に入った南アフリカは調子を落としてバンド2に入り、同大会4位のアルゼンチンもぎりぎりでバンド2に入れずバンド3に回った。

バンド1:ニュージーランド(1位)、イングランド(2位)、オーストラリア(3位)、アイルランド(4位)

バンド2:スコットランド(5位)、ウェールズ(6位)、南アフリカ(7位)、フランス(8位)

バンド3:アルゼンチン(9位)、日本(11位)、ジョージア(12位)、イタリア(15位)

バンド4:オセアニア1、アメリカ1、欧州1、アフリカ1

バンド5:オセアニア2、アメリカ2、プレーオフ(欧州2対オセアニア3)の勝者、最終予選の勝者

※()は5月1日付けの世界ランキング

最悪はニュージーランド、南アフリカ……

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 バンド3の日本代表は、バンド1から1チーム、バンド2から1チームと同組になることが決まっている。また、バンド3の日本代表以外のアルゼンチン、ジョージア、イタリアの3チームとは同組にはならない

 つまり、日本代表はニュージーランド、南アフリカと同組になる可能性もあれば、6月にテストマッチで対戦するアイルランド、15年も同組だったスコットランドと同組になる可能性もある。こうして見ていくと、バンド2に回ることになった優勝2回の南アフリカの存在がどのチームにとっても脅威だ。

 また、バンド4、5にどのチームが入るかもだいたい予想がついている。バンド4のオセアニア1、バンド5のオセアニア2、そしてプレーオフに回っておそらく勝ち上がるオセアニア3は、昨年と今年7月に開催予定で、フィジー(世界ランキング10位)、サモア(同14位)、トンガ(同13位)による「パシフィック・トライ・ネーションズ」で決まる。W杯常連の3チームだが、15年は揃ってプール4位に沈んでしまった。

 2年間の総合成績によって上位2チームがW杯の出場権を得るが、昨年大会では15年W杯で「死の組」に入ったフィジーが2連勝し、トップに立った。フィジーは日本よりも上位で、昨年11月26日のテストマッチで25―38と敗れている。そのフィジーがバンド4のオセアニア1の最右翼だ。また、バンド5のオセアニア2、そしてプレーオフにも、サモアもしくはトンガが入ることは間違いないだろう。

 もし日本が、バンド1のニュージーランドかイングランド、バンド2の南アフリカ、バンド4のオセアニア1のフィジー、バンド5でオセアニア2のサモアと当たることになったら、それは、まぎれもなく「死の組」となる。

理想はアイルランド、スコットランド……

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 一方、バンド4のアメリカ1は、アメリカとカナダのホーム&アウェイで争われ、今年の7月に決まる。ランキング的にはアメリカが有利だろうか。もしカナダも負けても、ウルグアイなどに勝てばW杯出場権を獲得し、バンド5のアメリカ2に入る。バンド4の欧州1は来年に決まるが、6月に日本が熊本でテストマッチを行うルーマニアが有力で、アフリカ1は世界ランキングからするとジンバブエが有力視されている。

 つまり、抽選次第で日本は、アイルランド、スコットランド、ルーマニア、カナダと同組になる可能性もあり、前述したニュージーランド、南アフリカ、フィジー、サモアと比べると、ずいぶん戦いやすい組合せとなろう。

 5月10日は、組合せ抽選会では日本がバンド1、バンド2のどの強豪国と対戦するかと同時に、オセアニア1、オセアニア2、プレーオフがどのプールに入るのかにも注目してほしい。

 日本ラグビー協会は19年W杯の目標として「ベスト8以上」を掲げている。予選プール戦で3勝を挙げて、初の決勝トーナメント進出を実現させるには運も必須だ。バンド2の南アフリカ、バンド4のフィジー、バンド5に入ることが有力のサモアとトンガとの対戦は避けたいというのが本音だろう。吉田沙保里選手や関西協会の坂田会長の右手に期待したい。

斉藤健仁

著者プロフィール 斉藤健仁

1975年生まれ。千葉県柏市育ちのスポーツライター。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパンの全57試合を現地で取材した。ラグビー専門WEBマガジン『Rugby Japan 365 』『高校生スポーツ』で記者を務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。『エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡』(ベースボール・マガジン社)『ラグビー日本代表1301日間の回顧録』(カンゼン)など著書多数。Twitterのアカウントは@saitoh_k