激戦が予想される3年ぶりの大阪ダービー
©Getty Images――いよいよ週末に大阪ダービーが行われます。この大一番に向けて両チームの士気も高まっているのではありませんか?
C大阪・西海 3年ぶりの大阪ダービーですからね。しかもホームゲームとあってセレッソ側は、選手だけでなくクラブ全体にやる気がみなぎっていますよ。前節の鹿島戦が終わった直後から、選手たちはガンバ大阪戦を意識した発言をしていますし、クラブOBのユン・ジョンファン監督も現役時代に大阪ダービーを経験していて、その重要性を理解しています。ガンバは現在、公式戦2連敗ですし、リーグ戦3連勝中のセレッソが有利でしょう!
G大阪・飯間 ユン・ジョンファンの堅守速攻のスタイルが浸透してきて調子を上げているセレッソは、確かに脅威やな。でも、チーム状況も相手の状態も関係ないのがダービーマッチやで。確かにガンバは公式戦2連敗中だけど、長谷川(健太)監督は「一瞬でチームの流れが変わる試合。それくらいのウエートを占めている」と、むしろこのタイミングでセレッソ大阪とのダービーを迎えられることを歓迎している雰囲気やからね。13日の練習前の円陣でも「ダービー」の位置づけを強調していたようだった。遠藤(保仁)は「たくさんのお客さんが入る中で試合ができるのは嬉しい」と口にしとるし、下部組織出身でプロ初の大阪ダービーとなる井手口(陽介)も「良い雰囲気でやれると思う。楽しみ」と意気込んどる。それに江蘇蘇寧戦は腰痛を患った倉田(秋)をメンバー外にして、足に違和感を抱える藤春(廣輝)もベンチスタート。決して江蘇戦を捨てていたわけやないけど、ダービーを万全で迎えるための温存とも取れる。ここに一つ照準を合わせているのは間違いない思うで。それにしても、セレッソはどうしてそんなに好調なん?
C大阪・西海 第3節からトップ下で先発起用されている山村(和也)の存在が大きいですね。開幕直後、ユン・ジョンファン監督の指導もあり、守備は安定していたのですが、攻撃は厚みがなく課題だらけでした。しかし、第3節から山村がトップ下で先発起用されると、前線の収まりどころが増えて、かつプレスも効果的になってきました。高い位置でボールを奪い、そこからの速い攻めも見られるようになっていて、それが3連勝の要因となっています。ガンバはどうなんですか?
G大阪・飯間 前節はサンフレッチェ広島に0-1で敗れたけど、実は3バックシステムの相手には1勝もできてへん。ただ、4バックの相手には5戦5勝と無類の強さやねんな。セレッソも4バック。そういう相手に対しては攻撃時に3、4人がゴール前に入り込むことができている。負傷者は多く、ここに来て疲労も見え隠れしとるけど、例年以上に全員がハードワークできているから、激しい試合になるやろね。
試合のカギとなる山村と遠藤のマッチアップ
©Getty Images――今シーズン、両チームの中心選手は誰でしょうか?
G大阪・飯間 やはり遠藤やね。今シーズンのガンバは、4-3-1-2と3-3-2-2という新しいシステムを2つ導入しているけど、遠藤はそのどちらでも中盤の底でパスをさばく〝レジスタ〟の役目をこなしている。ACLも含めると、すでに4アシスト。例年はスロースターターのイメージが強かったけど、今季は開幕から好調を印象づけている。開幕直後に連勝できたのも、遠藤のパフォーマンスが大きいわな。
C大阪・西海 現段階でいえば、セレッソのキーマンは、やはり山村になると思います。これまではボランチやセンターバックが本職でしたが、ユン・ジョンファン監督にサッカーセンスを評価されて、開幕前から攻撃的なポジションで試されてきました。前線からプレスをかける際には杉本(健勇)とともにキーマンになっています。ここまで2得点と決定力も発揮しています。なぜか、ゴール前で山村にボールが集まるんですよね。山村と遠藤のマッチアップ、そしてどちらが持ち味を発揮できるかは、この試合を大きく左右するポイントになりそうですね。
G大阪・飯間 ガンバの中盤には、倉田もいるからね。日本代表にも復帰したし、古巣との試合ということで、気持ち的にもノリノリになっている。江蘇蘇寧戦は欠場したけど、居残りトレーニングをしてコンディションは上向き。新潟戦では巧みなトラップでDF2人を翻弄して1得点をマークした。本人は「アジア最終予選で出場させてもらったし(3月23日・UAE戦)、余裕が生まれるようになった」と話してんけど、28歳になって個人として一段階上の選手になっとるで。
C大阪・西海 ガンバには、アデミウソンもいますからね! 試合を見ていても、明らかに昨年より動きがキレていますし、ひとりでもゴールを奪える力はすさまじい。かつてユース年代のブラジル代表で背番号10を背負っていたのも、今年のプレーを見れば納得できます。
G大阪・飯間 ただ、そのアデミウソンがコンディション不良なんだよなぁ……。って、知ってて言うとるやん! でも大丈夫。ガンバには赤崎秀平がいるから。オレは鹿島担当も経験したけど、今シーズン途中に鹿島から期限付き移籍してきたストライカーの高い能力は知っとる。ここまでリーグ3試合途中出場で計16分間とプレー時間は少ないけど、長谷川監督も実力は認めている。現在、チームは公式戦2試合連続で無得点だけど、赤崎の裏への抜け出し、非凡なシュートセンスというのは、今のガンバ大阪のFW陣にはない武器だけに、ダービーで移籍後初得点を決めて、ファン・サポーターのハートを射止めて欲しいわ。セレッソは、清武(弘嗣)のコンディションは、どれくらいまで上がっとんの?
C大阪・西海 それはトップシークレットですよ(笑)! ただ、ケアをしながら入念に調整を重ねていて、メンバー入りしそうだということは伝えておきます。監督の信頼も厚いですし。個人的に期待しているのは、新外国人選手のヨニッチです。ユン・ジョンファン監督のセレッソは、まずは守備から入るチームになりました。今回、初めて大阪ダービーを迎えるヨニッチの出来が勝敗を左右すると思っています。対人の強さ、高さ、カバーリング能力、そして得点力。ここまでの6試合ではMVPと断言していい働きをしていますし、そのパフォーマンスを継続してくれれば、後ろは安定して、攻撃も活性化すると思います。
C大阪担当=西海康平
1981年9月18日、兵庫県宝塚市生まれ。06年からスポーツニッポン勤務。08年からサッカー担当。これまで京都、G大阪、C大阪、神戸、広島、日本代表などを担当
G大阪担当=飯間健
1977年9月24日、香川県高松市生まれ。02年からスポーツニッポン勤務。06年からサッカー担当。名古屋、G大阪、浦和、鹿島、日本代表などを担当する