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チケット完売、有利なのはG大阪!?

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――お二人の中で、もっとも印象に残っている過去の大阪ダービーは、どの試合ですか?
C大阪・西海 12年3月17日の第2節、2―1と競り勝った試合が印象に残っていますね。前年にACLラウンド16でもガンバに勝っていたとはいえ、リーグ戦で見れば、03年以来、大阪ダービーでは一度も勝てていませんでした。この試合では終了間際に、酒本(憲幸)の右クロスから、昨年の飛行機事故で亡くなったケンペスが移籍後初ゴールで劇的な決勝点を決めて、長居がお祭り騒ぎになったんです。

G大阪・飯間 奇遇やな。オレも最近10試合のリーグ戦でのダービーで、唯一の敗戦となった、その試合のインパクトが強い。過去10年、ガンバの指揮を執った西野朗(現日本サッカー協会技術委員長)からセホーン&呂比須ワグナー体制になったシーズンで、試合前から物々しい雰囲気があった。そのダービーまで、チームは公式戦3連敗。西野サッカーへの望郷の念を忘れられないサポーターからは解任動議も出てた。そんな中、後半ロスタイムにケンペスに決勝弾を浴びたもんなぁ。その後、公式戦5連敗を喫した時点で松波正信コーチ(現C大阪ユース監督)を昇格させたけど成績は上向かず、結局チームはJ2に降格。いま思えば、あのダービーで勝ち点1でも取れていたら、運命が変わったのかなと思うし、それだけダービーは大きな試合なんやと感じたわな。

C大阪・西海 急にどうしちゃったんですか!? いや、でも、セレッソも過去のデータを見ると不安があるんですよね。3万5000人以上を動員したホームゲームは未勝利なのですが、当然、3年ぶりのダービーは多くの注目を集めていて、チケットも試合4日前に完売しました。ところがチームはホームでの大舞台に弱いというか、注目され過ぎると力を発揮でいないというか…。観客数が3万人を超えたホームゲームは勝率が圧倒的に悪くて、3万3208人を集客した今季開幕戦のジュビロ磐田戦を0-0で終えたときも「またか…」と至る所でため息が漏れました。「サポーターがいっぱい来てくれた試合で勝ったら、リピーターも増えるのに…」。多くのクラブスタッフが思い続ける願いを、今こそ叶えて欲しいです。

互いに「ターニングポイント」にしたい今回のダービー

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――両チームはJ3にU-23のチームもありますし、下部組織から多くの有力選手を輩出しています。今シーズンも台頭している若手はいますか?
G大阪・飯間 U-20代表のDF初瀬(亮)とMF堂安(律)。もともとサイドバックの初瀬は今季からインサイドハーフでもプレーしている。第2節の柏戦では長沢(駿)へ絶妙なクロスを送ってゴールをアシストした。戦術理解度が高く、両足で正確なキックも蹴れる。だんじり祭りで有名な大阪府岸和田市出身で、気が強いのも特徴やわ。
 堂安は途中出場がメインだけど、第5節のアルビレックス新潟戦では流れを変えて逆転勝利を呼び込んだ。ちなみに「去年に比べたら戦えるようになっている」と長谷川監督の評価もうなぎ登りなっとるで。積極的な仕掛けで相手守備陣に混乱をもたらし、他の選手へのマークを軽減させている点も見落とせへんな。

C大阪・西海 大阪ダービーに出場するかは分かりませんが、今年、パフォーマンスの高さを示しているのが22歳のボランチ秋山(大地)です。セレッソ大阪U―18時代にはザルツブルク(オーストリア)に移籍した南野拓実と同期で、秋山も注目はされていましたが、ケガが多く出場機会は少なかったんです。それでもボールを奪いきる能力は日本代表の山口と同レベルで、その守備力をユン・ジョンファン監督も高く評価しています。ルヴァン杯などでは主将も務めていますし、今季、一皮むける可能性を秘めています。
 また、チャンスをつかんだ大卒2年目の木本の活躍が目覚ましいですね。第4節のサガン鳥栖戦で山下が負傷交代したことからセンターバックで緊急出場しました。その試合でいきなり決勝点をアシストすると、続く第5節の横浜F・マリノス戦では決勝点を挙げています。いきなり出てきた感は強いですけど、U―23チームとしてJ3で戦った昨年から積み重ねてきたものをピッチで表現しています。ボランチもこなせる選手だけに技術があり、攻撃の起点となるビルドアップ能力にも注目して欲しいです。

G大阪・飯間 下部組織出身の若手が、どうなっていくかも、この2チームは楽しみだね。3年ぶりの大阪ダービーは関西圏だけではなく、全国的な注目を集めている。今野(泰幸)が不在なのは残念だけど、3月のアジア最終予選の日本代表に選ばれた選手が、両チーム合わせて4人(今野、倉田、清武、山口)もおるし。負傷でメンバーを外れた東口(順昭)や井手口(陽介)も含めると、豪華なメンバーの競演が待っている。関西人が大好きな〝お祭り〟になるんは間違いない。まあ、大阪ナンバーワンを決めることも大事だけど、関西サッカーのレベルの高さを見せつけるためにも全国へ向けた熱い試合になることを願っとるけどな。

C大阪・西海 セレッソとしては、もう勝つだけですよ。おそらく拮抗した試合にはなりますが、今年のセレッソ大阪がひとつの武器としているのがセットプレー。山村、ヨニッチ、杉本の高さは脅威となっていますし、きゅう覚に優れた木本もいます。ここまでの6試合で奪った全6ゴールのうち、実に5ゴールがセットプレー絡み。流れの中から崩すのが理想ですが、セットプレーは困ったときの頼みの綱です。
 セレッソは13年にJ1で4位となり、優勝候補に挙げられた翌年にJ2降格。J2で戦ってきたこの2年間は、やはり長かった。でも、昇格プレーオフの末に再びたどり着いたJ1で、3年ぶりに大阪ダービーを迎えることができた。もちろんプレッシャーは相当なもんがあるでしょうけど、選手には、この舞台でプレーできる喜びや楽しさをピッチで爆発させて欲しいですね。

――関西ダービーが待ち遠しいですね。最後に言い残したことがないように、一言ずつ意気込みをお願いします!
G大阪・飯間 負けた江蘇蘇寧戦は、戦前からツキがなかった。悪天候で飛行機の到着が大幅に遅れ、アデミウソンも前日練習で負傷。さらに帰国時は東口ら4選手を置き去りにしてバスが出発するアクシデントも発生した。でも、これで〝負の流れ〟はすべて洗い流されたんちゃうか。もう、あとは上がっていくだけやろ。3冠を取った14年は4月の最初の試合が大阪ダービーで、後半から遠藤をボランチで起用して流れが変わった。これが転機となって「ボランチ遠藤」の形ができあがり、チーム状態も上向きになっていった。公式戦2連敗中だけど、今シーズンもセレッソ大阪戦がターニングポイントになるはずやわ。もっとも過去の対戦成績を見れば、19勝4分け9敗。ガンバにとってセレッソは、お得意様だからね!

C大阪・西海 むむむ。言いましたね。両クラブが獲得してきたタイトルの差に加え、クラブOBでレジェンドの森島寛晃氏も「ガンバの方が先にJリーグに加盟したというのもある」と言うように、いつも大阪ダービーでは「セレッソ大阪は挑戦者」といった構図があります。かつて南野が「大阪といえばセレッソと言われるようにしたい」と強烈にライバル視したように、クラブにとって、初タイトルと同じぐらい「ガンバ超え」は悲願です。今回のダービーを、その足がかりにしますよ!!

C大阪担当=西海康平
1981年9月18日、兵庫県宝塚市生まれ。06年からスポーツニッポン勤務。08年からサッカー担当。これまで京都、G大阪、C大阪、神戸、広島、日本代表などを担当

G大阪担当=飯間健
1977年9月24日、香川県高松市生まれ。02年からスポーツニッポン勤務。06年からサッカー担当。名古屋、G大阪、浦和、鹿島、日本代表などを担当する


VictorySportsNews編集部