文=池田敏明

オセアニアはニュージーランドとパプアニューギニアによる決定戦か

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 2018年ロシア・ワールドカップのアジア最終予選は残り3節と佳境を迎え、南米予選では4節を残した段階でブラジルがいち早く本大会出場権を獲得した。他の大陸予選は現在どのような状況で、本大会出場の可能性があるのはどこの国なのか。オセアニアとアフリカについて予想してみよう。

 オセアニアは現在、3次予選が行われているが、グループAではニュージーランドがすでに全試合を終え、代表決定戦進出を決めている。10年南アフリカW杯に出場し、昨年のOFCネイションズカップで優勝するなどオセアニア地区での実力は抜きんでており、3次予選でも3勝1分けと盤石の戦いぶりを見せた。

 一方のグループBは、すでに4試合を戦い終えたタヒチが勝ち点6で首位に立っているが、直接対決2試合を残すパプアニューギニアとソロモン諸島が勝ち点3差で追いかけている。有利なのは2位のパプアニューギニアだろう。昨年のOFCネイションズカップで準優勝した国であり、オセアニアではニュージーランドに次ぐ実力を持っている。ソロモン諸島との2試合で1勝1分けならタヒチを逆転できるため、高い確率で代表決定戦に進むと見る。

 優勝決定戦はニュージーランドとパプアニューギニアの対戦となる可能性が高いが、両者はOFCネイションズカップ決勝でPK戦にもつれ込む接戦を演じている。ただ、当時は開催国がパプアニューギニアで、今回はホーム・アンド・アウェーの対戦であることを考えると、やはりニュージーランドに分があるのではないだろうか。

 ただ、オセアニア代表になったとしても、大陸間プレーオフの相手は南米予選5位のチーム。どこが相手になっても、特にアウェーゲームでは相手サポーターから宿泊施設周辺で大騒ぎされたり、試合中にありとあらゆる罵詈雑言を浴びせられたりとピッチ内外で様々な“洗礼”を受けることになるため、本大会出場は難しいと言わざるを得ない。

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“常連国”カメルーンとガーナは厳しい状況

 アフリカは4チームずつ5グループに分かれて戦い、各グループ1位が本大会出場権を手にするレギュレーション。アフリカの強豪と言えばカメルーンやコートジボワール、ナイジェリア、ガーナが連想されると思うが、これらの国は従来の主力選手が相次いで代表を引退し、世代交代を図りながら予選を戦うという難しい状況を強いられている。

カメルーンでは14年8月にサミュエル・エトオが、15年1月にアレクサンドル・ソングが代表からの引退を表明。コートジボワールでは14年8月にディディエ・ドログバ、16年9月にヤヤ・トゥーレが代表のユニフォームを脱ぎ、今年1月にはサロモン・カルーも代表チームとの決別を宣言した。

連覇の夢が潰えた24日夜、31歳のFWカルーは代表引退を表明した。同選手は「2度もファイナルに進むことができたし、1度は優勝することができた。今回はうまくいかなかったね」と、2015年のアフリカ制覇に触れた上で、今大会を振り返った。
FWカルー、コートジボワール代表から引退…アフリカ選手権連覇の夢潰え | サッカーキング

 コートジボワールはグループに恵まれたこともあり、1勝1分けと好スタートを切った。ピエール・エメリク・オーバメヤンを擁するガボンが対抗馬となる可能性は高いが、2引き分けとスタートダッシュに失敗してしまった。8月9月にはコートジボワールとの直接対決2連戦が控えているが、ジェルヴィーニョやウィルフリード・ボニーといった経験豊富な選手が中軸を担うコートジボワールに一日の長があるだろう。

 カメルーンとナイジェリアは同グループとなり、2引き分けのカメルーンに対してナイジェリアは2連勝と明暗がくっきり分かれている。ナイジェリアは昨年のリオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得したメンバーが多くプレーしており、大黒柱のジョン・オビ・ミケルも健在だ。現時点で最も安定的に力を発揮できるチームと言える。8月、9月にはカメルーンとの2連戦が控えており、ここで連勝すれば本大会出場はほぼ確定するだろう。

 グループDは今年のアフリカ・ネーションズカップで3位に入ったブルキナファソが首位。同大会のベスト18(ベストイレブンに控え7人を含む)にバートランド・トラオレやシャルル・カボレら4人が選出されており、個人能力の高さを生かしたサッカーは確かな破壊力を備えるが、今予選の南アフリカ戦ではPKを2度も失敗し、守備も安定を欠くなど不安要素も多い。初の本大会出場を実現させてほしいところだが、やはり百戦錬磨の南アフリカが逆転で出場権を手にするのではないだろうか。

 グループEは本命視されていたガーナが苦戦する一方、エジプトが2連勝と安定感抜群の戦いを繰り広げている。そしてグループAは、コンゴ民主共和国とチュニジアの直接対決の様相を呈している。2試合で6得点という自慢の攻撃力で首位に立つコンゴ民主共和国に対し、チュニジアは2試合連続無失点と守備の安定感が抜群。複数の選手が連動してボールホルダーを囲い込む守備戦術に対戦相手は手を焼いており、コンゴ民主共和国も苦戦は必至。こちらも8月、9月に直接対決2連戦が控えており、チュニジアが2連勝、あるいは1勝1分けで順位を入れ替え、そのまま粘り強い戦いぶりで本大会出場権を得ると見ている。

 総評すると、オセアニアからはニュージーランドが大陸間プレーオフに進出するが南米代表に敗れて出場国なし、アフリカからはチュニジア、ナイジェリア、コートジボワール、南アフリカ、エジプトの5カ国が出場すると予想する。


池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。