アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は2024/25年シーズンから衣替えし、ACLエリートと、ACL2に改編された。アジア最強クラブを決める大会がACLエリートで、24クラブが頂点を目指して争う。日本からはJ1王者のヴィッセル神戸や横浜F・マリノス、川崎フロンターレが参戦。広大なアジアが舞台となるため1次リーグから決勝トーナメント1回戦までは東西地区に分かれて争い、ベスト8以降が4月25日から5月3日にかけてジッダ(サウジアラビア)にて集中開催される。本家の欧州CLと同じように、1次リーグは組み分けせずに「スイス方式」で実施。大会の価値を高めようと、優勝賞金は昨季の400万ドル(約5億6000万円)から2・5倍の1千万ドル(約14億円)と大幅にアップするなど改革を進めて、魅力ある大会への脱皮を図っている。

 ロナウドの華麗な経歴は言うまでもないが、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)で1度、その後に移籍したレアル・マドリード(スペイン)で4度の計5度も欧州CL制覇を経験している。2022年のワールドカップ(W杯)カタール大会後にサウジアラビアへと移籍し、今年2月に40歳すなわち「不惑」となった。それでも、屈指の点取り屋としての存在感は色褪せることなく、今大会はチーム最多の7ゴールをマークして大会の得点ランキング5位(1位は横浜F・マリノスのアンデルソンロペスらの9ゴール)につける。ゴール後に跳び上がってから両手を振り下ろすパフォーマンスも健在。年俸2億ユーロ(約320億円)という破格の待遇で欧州からサウジアラビアに迎え入れられたポルトガル代表FWは、クラブに初の栄冠をもたらすべく、高いモチベーションで臨んでくるだろう。

 サウジアラビアのサッカー熱はすさまじく、2027年にはアジア・カップを開催、2034年ワールドカップ(W杯)招致にも成功した。国を挙げてサッカーをはじめとしたスポーツに力を入れており、ロナウドらスター選手を高額な年俸で招き入れるのもその一環といえるだろう。アルナスルにはリバプール(イングランド)などでプレーしたサディオ・マネら欧州CLでも活躍した面々が所属しており、潤沢な資本をバックにした強力なチームづくりでアジア王座を狙っている。

 準々決勝で対戦するのが、昨季ACLで準優勝だった横浜F・マリノスだ。ACLEの準々決勝を前に、今季就任したばかりのスティーブ・ホーランド監督を解任。Jリーグではわずか1勝で最下位に低迷しており、チーム状態は万全からはほど遠い。ただ、ロナルドにとって準々決勝は昨季のACLでPK負けしてアジアの頂点への道を阻まれた「鬼門」。一発勝負だけに、勝負はどちらに転ぶか分からない。

 日本勢はもう一クラブ、川崎フロンターレもベスト8に勝ち残っている(ヴィッセル神戸は決勝トーナメント1回戦で姿を消した)。横浜F・マリノス―アルナスルの勝者は、準決勝で川崎フロンターレ―アルサド(カタール)の勝者と顔を合わせることが組み合わせ抽選の結果で決まっている。川崎がベスト4入りすれば、日本勢対決となるか、あるいはロナウドがまたしても立ちはだかるということになる。

 国際大会で日本勢がロナウドと真剣勝負した例を紐解いてみたい。

 まず思い出されるのは2008年のクラブワールドカップ(W杯)で、横浜市の日産スタジアムでガンバ大阪がマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に挑んだ一戦だ。遠藤保仁が得意のPKを決めるなど食い下がったが、マンチェスターUの攻撃力ははね返せずに3―5で敗戦。この試合ではロナウドも1ゴールを挙げている。

 もう1試合も日産スタジアムを舞台にしたクラブW杯で、鹿島アントラーズがレアル・マドリードを追い詰めた試合だ。決勝という舞台で、柴崎岳が2ゴールを挙げて一時は2―1でレアルをリード。しかし、ロナウドが得点して同点となると試合は延長へ。その後、世界的スターは2点を加えてハットトリックの活躍を見せて4―2でレアルが鹿島を振り切った。


 今回もロナウドは日本勢に立ちはだかるのか-?

 準々決勝の横浜F・マリノス―アルナスルは27日午前4時30分からで、勝ち上がった場合の準決勝は5月1日の午前1時30分から行われる。


VictorySportsNews編集部