文=池田敏明

 ラグビーのことをよく知らない人でも、五郎丸歩の顔と名前、そしてキックの前に見せる独特のルーティンワークを知っている人は多いはずだ。2015年に行われたラグビーワールドカップで日本代表の躍進に貢献し、ラグビーの人気と知名度アップに多大な貢献を果たした。現在はフランス1部のトゥーロンというチームに所属しているが、どうやら現在、行われている16-17シーズン終了をもって契約を解消するようで、日本に復帰する可能性もあるという。

ラグビーのフランス1部リーグ、トゥーロンのムラド・ブジェラル会長は12日、所属するFB五郎丸歩(31)と来季の契約を更新しないことを明らかにした。同日、ラジオ・モンテカルロが公式サイトで伝えた。同会長は「彼との契約を更新しない。彼はとどまることを望んでおらず、われわれも同じ」と語った。
五郎丸、今季限りでトゥーロンを退団 トップリーグ復帰の可能性も - ラグビー - SANSPO.COM(サンスポ)

 日本への復帰となれば古巣のヤマハ発動機ジュビロに戻るのが自然な流れだが、実力に加えて抜群の人気や知名度を誇る彼を他のチームが引き抜く可能性もゼロではない。果たして来シーズン、五郎丸はどのチームのジャージを着ることになるのか。

 ところでラグビーと言えば、多くの人が赤い丸の中にキーウィの横顔がシルエットで描かれるブランドのロゴをイメージする人が多いだろう。高校時代、多くのラグビー部員がこのブランドをつけたジャージやエナメルバッグを身に着けていた。これはラグビーの本場、ニュージーランドで生まれた「Canterbury(カンタベリー)」というブランドのロゴで、ラグビー業界ではNIKEやadidasといった世界的ブランドよりも広いシェアを誇っており、世界中でこのブランドのジャージが着用されている。

 日本のラグビーはトップリーグに16チーム、そして17-18シーズンから新たに創設されるトップチャレンジリーグに8チームが参加しているが、果たしてCanterburyのシェアはどの程度になるのだろうか。すでに16-17シーズンは終了しているので、17-18シーズンのトップリーグ、トップチャレンジリーグ参加チームについて見ていこう。

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 トップリーグでは、ヤマハ発動機ジュビロ、トヨタ自動車ヴェルブリッツなど6チームがCanterburyのジャージを着用している。adidasが4チーム、MIZUNOが3チーム、UNDER ARMOURが2チームなので、やはりCanterburyが最大のシェアを占めていることになる。興味深いのは五郎丸の古巣、ヤマハ発動機ジュビロだ。ヤマハ発動機サッカー部が前身であるサッカーJ1リーグ、ジュビロ磐田と「ジュビロ」というチーム愛称を共有しているが、サプライヤーはジュビロ磐田のPUMAに対してヤマハ発動機ジュビロはCanterbury。ヤマハ発動機ジュビロも元々はPUMAのジャージを着用していたが、11年にサプライヤーが変更になっている。

 ちなみに、ラグビーの国際大会「スーパーラグビー」に日本から参加しているヒト・コミュニケーションズ・サンウルブズもCanterburyと契約している。日本代表もCanterburyだ。一方で、ニュージーランド代表「オールブラックス」はadidasのジャージを着用している。99年6月まではCanterburyと契約していたが、同年7月からadidasのジャージを着用し続けており、現在の契約金は年間約20億円程度と見られている。Canterburyとイングランド代表の契約金が約9億円と言われているだけに破格の金額だ。ラグビー界にとって、オールブラックスはそれだけ価値の高い存在と言える。

 クボタスピアーズはオーストラリアのスポーツアパレルブランド「BLK(ブラック)」のジャージを着用している。11年設立という新興勢力だが、フィジーやサモア、アメリカの代表チームも同ブランドのジャージを着用しており、今後、さらにシェアを伸ばす可能性もある。

 トップチャレンジリーグでは、8チーム中3チームがCanterburyのジャージを着用している。その他を見ると、ラグビーファン以外には見慣れないブランドが並んでいる。九州電力キューデンヴォルテクスの「Cotton TRADERS」は1987年に設立されたイギリスのブランドで、日本国内では釜石シーウェイブスRFCがジャージを着用する「SCEPTRE(セプター)」とライセンス契約を結んでいる。その「SCEPTRE」は大正10年創業という老舗スポーツ用品メーカーで、ラグビー用品の他にサッカーボールも製造・販売している。中部電力ラグビー部の「KooGa」もイギリスのラグビー専門ブランドだ。

 マツダブルーズーマーズについては、16-17シーズンはジャージにサプライヤーのロゴが掲出されていなかった。新たに創設されたトップチャレンジリーグで戦う17-18シーズンは、どのブランドのジャージを着用することになるのだろうか。


池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。