文=池田敏明

現地時間、深夜に発表された契約

2017年7月14日、本田圭佑がメキシコの強豪パチューカと契約を結んだことが明らかになった。パチューカは1901年に創設されたメキシコ最古のクラブで、CONCACAFチャンピオンズリーグ(2008年まではCONCACAFチャンピオンズカップ)で5度の優勝を誇る名門でもある。本田にとって名古屋グランパスの大先輩でもある福田健二が05年に在籍していたクラブとして記憶している方もいるだろう。

「初めまして。本田圭佑です。パチューカと契約しました。とても満足しています。みなさんよろしく」。本田はクラブのツイッターアカウント上で、スペイン語でそのように挨拶した。現地の発音にならって「本田」を「オンダ」と発音するあたりからは、すでにスペイン語の学習を始めていることがうかがえた。

本田との契約はメキシコ時間の14日深夜に行なわれたが、現地のメディアは大きな驚きとともに、このニュースを大々的に報じた。スポーツ情報サイト『メディオティエンポ』は「日本の“ボンバー”本田圭佑、パチューカの新戦力に」という見出しをつけ、トップ扱いで本田の移籍を次のように伝えている。

「パチューカが真夜中に極東からの“爆弾”を投下した。メキシコにとっては金曜日の深夜、トゥーソス(パチューカの愛称)は日本代表のキャプテンである本田圭佑が、2017年前期シーズンに向けての新戦力となったことを明らかにした」

SNS上では歓迎のコメントも

©Getty Images

この記事の中では、本田について「2014年からプレーしていたACミランから加入した。2010年から14年途中まではCSKAモスクワに所属していた」と紹介し、2010年南アフリカ・ワールドカップと14年ブラジルW杯に出場したことについても言及。

パチューカとの契約期間などについては「今のところは分からない」としながら、「メキシコサッカー界にとっての一大センセーションであることは間違いない」と結んでいる。

その他、『ミレニオ』紙や『レコルド』紙など、各紙の電子版ともに、スポーツセクションのトップ扱いで本田の移籍を報道。『エル・ウニベルサル』紙の電子版では「本田は現在の移籍市場でガラタサライやLAギャラクシーなど、数々のクラブとの間で移籍の噂があった」と記しており、パチューカへの移籍は噂にも上っていなかったことをうかがわせた。

ちなみに、パチューカはツイッターアカウント(@Tuzos)で、契約発表の1時間前に「新しい仲間を先にちょっとだけお見せします」と、ユニフォームの一部や本田の画像の一部を紹介する動画を公開したのだが、熱心なファンはすぐにそれらの画像の元データを探し出し、新戦力が本田であることを嗅ぎ当てていた。

パチューカが契約発表の1時間前に公開した新加入選手紹介の動画

深夜の発表だったこともあり、SNSでのツイートの数はこの原稿を書いている時点ではやや控えめだが、「トゥーソスが本田圭佑を連れて来た。まさに爆弾! なんて素敵な日!」、「トゥーソスと本田圭佑、深夜に最高の契約。リーグ戦の試合を見たい」といった歓迎のコメントも見られる。パチューカは人口27万人の小さな街だが、突如現れたビッグネームに沸き立ち、賑やかな週末になることは間違いないだろう。


池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。