J.スピースが伝授 「バンカー脱出2つのお助けショット」
文:ジョーダン・スピース(ゴルフダイジェスト誌の選手兼編集者) いい感じでプレーをしていると、何だか急に調子が狂い始めるときがあるよね?ゆるいショットが出始めて、3パットをしてしまい「あと1回ミスをしたら、このラウンドは台無しだ!」というところまで追い詰められる。落ち着け…と自分に言い聞かせはするものの、その状況で自分の心をそうそうコントロールできるはずもない。例えば、とても難しいグリーン回りのリカバリーショットを打たねばならないとなると、緊張感はいつにも増して高まる。当然だが自分の力で切り抜けるしかない。そんなときは「完璧なショットを打つ」という想いに、心を躍らせるんだ。今年の夏、僕を優勝に導いた2つのホールアウトで、僕はそういう心持ちでプレーをした。ひとつは「全英オープン」(7月)を優勝した際の、ロイヤルバークデールの10番グリーン奥からのショット、もうひとつは「トラベラーズ」(6月)を制した際のプレーオフ、1ホール目のバンカーショットだね。 選択肢が限られているとき、僕は大抵の場合はロブウェッジを使う。普通にバンカーショットを打つのと同じようにロブショットを打つので、それが一貫性を保つ上で助けになっていると思う。クラブフェースを開き、緩めた手首の速いスナップでボールをカットし、クラブヘッドが両手を追い越すように打つんだ。バンカーが得意なプレーヤーは、何種類も得意なショットを持っている。だけど通常のバンカーショットの他に、たった2種類の別パターンを持っているだけで、とても役に立つ。僕のお勧めは、ダフって転がす「チャンク&ロール」と、薄めに打ってスピンを効かせる「ニップ・スピナー」の2つ。ここぞというときに備えて練習しておいてほしい。きっとこのショットがピンチから救ってくれるはずだよ。 構成:マックス・アドラー グリーン回りのバンカーショットには、スイングの速さと、クラブヘッドを砂のどこから入れるかという2つの要素がある。ダフって転がすショットを打つ場合、薄くヒットする可能性をゼロにするため、クラブヘッドはボールのはるか後方(5~7センチくらい)で砂を爆発させる。速く振って砂をたくさん飛ばさなくてはならないんだ。このショットの出番は、左足上がりの上り傾斜、あるいはボールが砂に埋まって目玉になっているときだね。 打ったボールは高く上がって、スピンが効いていないから、グリーンに着地するとパットのように傾斜通りに転がるんだ。セットアップの際は、傾斜に関係なく前足に多く体重をかけるようにする。普通のバンカーショットと同じように、少しオープンに構えてスタンスなりにスイングしよう。ダウンスイングはハードに振らないといけない。傾斜がクラブの勢いを止めようとするけれど、それに負けては駄目なんだ。両肩と腕を力強く使い、砂を爆発させて振り抜こう。 これはピリッとしたショットだね。トップ気味に入って、ボールがグリーンを越えてしまうリスクが高いから、プロでさえ少しためらうほどだよ。もし本当にこのショットをするのなら、怖いくらいボールのすぐ後ろの砂を叩くことが必須になる。だいたいボールの後ろ1センチくらいだね。速いスピードでクラブフェースを通さなければならないのだけど、このショットは大きな筋肉ではなく、腕の力で速度を出すんだ。 これはどんなスタンスの場合でも重宝するショットだけど、最も必要となるのはバンカーで左足下がりというケースだね。下りの傾斜からだけど、ボールにスピンを効かせて、グリーンに落ちたら止めなければならない。通常のバンカーショットと同じように、ボールをスタンスの真ん中に置く上で、おそらくスタンス幅を広げて、前肩を沈ませる必要が出てくると思う。インパクト後、クラブヘッドは地表に沿って低く速く保たなければいけないからね。ひと息つくのはその後だよ。 ※これはジョーダン・スピースによる、ゴルフダイジェスト独占のレッスン記事です。(米国ゴルフダイジェスト誌 2017年9月号掲載)