ひとつ前のお話はこちら©︎カネシゲタカシ

沖縄で途方にくれてしまったベイスたん。
それでもベイスターズの試合のチェックは、欠かしません。
国吉投手の、プロ入り初完封で、見事な勝利だったね!

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くいしんぼうのベイスたんは、おほしさまやシウマイをたべると
いろんなことを忘れてしまいます。

でも、いまは迷子だからね。
おまわりさんに、いろいろきいてみようね。


「おまわりさん、こんばんはやよ!」

「やあ、見かけない顔だね。こんばんは。」

「はい、こんばんはー!(ぺこり)」

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「ベイスたん、はますた、いきたいやよ!
どうやっていったら、いい?」

「『はますた』っていうのは、
もしかして横浜スタジアムのことかい?」

「そうやよ!ベイスターズのおうえんにきたやよ!
ベイスたん、ベイスターズ、すきー!」

「うーん、ここからだと乗り物に乗って行く必要があるけど、
お金はあるかい?」

「『おかね』ってなぁに?」

ベイスたんは、おまわりさんからお金について学びました。

「あやや!ベイスたん、おかねもってないやよ!
こまったやよぉ~(ぺくぺくっ)」

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「シ…シウマイでかい?」

さすがにおまわりさんも、びっくりしてしまいました。
でも、しばらく考えてから言いました。

「うんうん、そうだよね。
ハマスタに行きたい子は放っておけないよね…。

よし、さすがに横浜まではムリだけど、
おじさんは鹿児島行きのフェリーのチケットを持っているから、
特別に交換してあげよう」

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なんとおまわりさんはシウマイ1ケで、
とても高価なフェリーのチケットを3枚もくれました。

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フェリー乗り場に走っていくベイスたんたちを見送ったおまわりさん。
おもむろに電話をかけはじめました。

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なんと、おまわりさんは、友利ピッチングコーチのお友達だったのです。

それでベイスたんたちを、放っておけなかったんだね。
おまわりさんもまた、ベイスターズを愛する者の一人だったようです。


さあ、フェリーのチケットを手に入れたベイスたんたちは、
一路鹿児島を目指します。
少しずつだけど、また一歩ハマスタに近づいたよ。
よかったね、ベイスたん!

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カネシゲ タカシ

漫画家・コラムニスト。1975年生まれ、大阪府出身。 「週刊少年ジャンプ」にてデビュー。 現在は「週刊アサヒ芸能」や「スポーツナビ」に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。 著書・共著に『みんなのプロ野球川柳』、『みんなの あるあるプロ野球』(ともに講談社)、『ベイスたんやよ!』(KADOKAWA)、『野球大喜利 ザ・レジェンド』(徳間書店)などがある。 元よしもと芸人。