今回もまた、しぶしぶ前週を振り返る……
いやあ、場を盛り上げますねえ、我がタイガース。
普通の球団ですと、まあそんな風に余裕をかまして言えるのですが、とにかく過去いろいろと「やってくれた」球団だけに、余裕なんてまったくありません。あえてここでは、過去どんな「やらかし」があったか振り返りません。なぜなら、今の阪神なら大丈夫と信じている(信じていたい)からであります。
2週連続で月曜に試合があった変則日程ですが、火曜から月曜までで前週は5試合。0-5から逆転した広島戦、快勝したヤクルト戦は連勝しましたが、火曜の読売戦は菅野の好投の前に完封負け、DeNAには今永、ウィーランド両先発からの連続完封リレーで2つ落としました。
つまり、クライマックスシリーズを争う直接対決が3試合あって、それを全部完封負け、しかも全部本拠地甲子園球場での試合だったのですから、そりゃもうモヤモヤするわけです。
いかにも冷静ぶって書いていますが、ワタシゃはらわたが煮えくりかえっているんですよ。本当は……。きいいいい!!しっかりせえい!!
安藤引退会見での「ひとこと」が気にかかる
一番の問題は甲子園で打てない、勝てないということ。これは本当に困りものですね。もちろん相手投手とのかねあいもあるでしょう。でも、勝ちたい、打ちたいという気持ちが空回りして、悪い結果を招いてしまっているようにも感じます。
ここで、心にひっかかっている、ある「言葉」をピックアップします。
03年、05年、2回の優勝の原動力となった安藤優也投手が9月15日に現役引退を発表しました。安藤投手といえば、アウトローの隅っこに、ストレートとスライダーを出したり入れたりする絶妙のコントロールでしびれさせてくれました。
リリーフとしてキャリアをスタートさせ、その後先発に転向、08年からは3年連続で開幕投手を務め、エースとしてチームを背負いましたが、ケガや不振から、またリリーフに転向し、また一花咲かせるという粘り強い16年間のプロ野球人生でした。
そんな安藤投手が引退会見で、「16年間熱い、そして温かい応援をありがとうございました」と言ったあと、こう続けました。
「時には叱咤激励、厳しい言葉もいただきましたけれど、後輩たちにはなるべく厳しい言葉は我慢してもらって、温かい言葉で応援してあげてください」安藤優也選手が現役引退を発表(球団公式サイト)
引退会見という場では異質とも感じられる安藤からファンへのお願い。
選手にとって受け取り方はいろいろでしょうが、少なくとも甲子園球場で浴びた「罵声」によって、安藤は「つらい」「苦しい」と感じたのでしょう。
「プロ野球選手なんて、罵声を浴びてナンボ」確かに。しかし、頑張れよ、応援しているぞという気持ちがみじんも感じられない「冷たい声」を本拠地で注がれることほどつらいことはなかったでしょう。安藤投手が何度もそんな目にあっていたことを知っていますので、ファンとして感じるものがありました。
時代が変わり、人間が優しくなってきました。これからの選手たちは、ますます「冷たい声」に傷つく世代になっていくのではないでしょうか。
甲子園で勝てない阪神。もちろん問題の本質は、野球の技術論でしょう。でも、ここで力が発揮できていないことについては、ファンのあり方も考えなきゃいけないとあらためて思いました。
今年の貯金は「四球貯金」
しかし! 今、選手はそんなこと言ってられませんよ。今季、1試合でも多く試合をするために、ここで必死にやらないと。
パニックに陥る前に、打撃陣はなぜ今季ここまで貯金を作ることができたか、冷静に分析してみましょう。
その答えは四球の多さにあります。そんなに強打者がそろっているわけでもないのに、なぜ多く四球が取れたのか。そこを考え直してほしいのです。
私は、(1)ポジション争いの必死さから出た積極性、(2)カウントに応じた打席での対応、(3)自分の持ち味と役割を認識した打撃があったことを指摘したいと思います。
せっかくもらったチャンス、甘い球は1球も逃したくない。そんな気迫が投手に伝わりボール先行になるケースが多かった。そして追い込まれて簡単に三振では首脳陣の印象が悪くなるため、とにかく粘ってチャンスを見出す姿勢が若手にも中堅にも見られました。とくに上本博紀や大和などは、厳しい球をファウルで逃げて投手に球数を投げさせ、攻略の糸口をつかんでいました。
四球を狙いにいってとるというよりも、「いい打席」にしてもっとチャンスをもらえるようにしたいという気持ちが四球につながっていました。そしてそれが貯金につながっていました。今はそれを思い出してほしいと思います。